トヨタ・アリオンA18“Sパッケージ”(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アリオンA18“Sパッケージ”(4AT) 2005.03.18 試乗記 ……243万2850円 総合評価……★★★ 低迷するミディアムセダン市場に、ミニバンのユーティリティーを盛り込んで成功を収めたトヨタ「アリオン/プレミオ」。マイナーチェンジを受けた、アリオンの1.8リッターモデル「A18“Sパッケージ”」に、『SUPER CG』の伊東和彦が乗った。名は体を表す
このクラスのファミリーカー需要では、ミニバンのひとり勝ちが続いている。だからといってオーソドックスな3BOXセダンにまったく勝ち目がないかといえば、決してそのようなことはない。多岐にわたる市場のニーズを考慮したことで、セダンながらワゴン並の荷室を作り出すことを可能にした「アリオン/プレミオ」は、その多機能ぶりを武器に“勝ち組セダン”になったようだ。
「アリオン」とは“All in one sedan”を語源とする造語だそうだが、リアシートの広さとワゴンなみの収納力を実感してみれば、このネーミングが体を表していることがわかる。家族のために5ナンバークラスの質実剛健なセダンの購入を考えている人にとっては、一考に値する1台だ。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「アリオン」は「カリーナ」の後を継ぐミディアムセダンとして、2001年12月にデビュー。兄弟車種に、「コロナ」の後継たる「プレミオ」があり、前者は若々しく、後者はコンサヴァティブなキャラクターをもつ。
ビスタと共用するプラットフォームに、5ナンバー枠に収まる4ドアセダンボディを架装。ミニバンを意識してか、オーソドクスな3BOXスタイルながら、リアシートは20度のリクライニング機構に加え、6:4分割可倒&フォールディング機構を備える。前席ヘッドレストをはずせば、フロントシートを後席座面とフラットにできるなど、ミニバン顔負けのシートアレンジが可能だ。
エンジンは、1.5リッター1NZ-FE型、1.8リッター1ZZ-FE型と、筒内直噴「D-4」2リッター1AZ-FSE型の3種類。トランスミッションは、2リッターがCVT、他のエンジンは4段ATと組み合わされる。FFのほか、1.8リッターモデルには4WDも用意される。
(グレード概要)
アリオンは、排気量順に「A15」「A18」「A20」と分けられ、さらに“Gパッケージ”と“Sパッケージ”装着車が設定される。
「A18“Sパッケージ”」は、1.8リッターモデルにアルミホイールや雨滴感知式ワイパー、ディスチャージヘッドランプなどの上級装備を付与したグレード。メーターはレッド照明のスポーツタイプ、ステアリングホイールとシフトノブは本革巻きを採用するなど、ちょっぴりスポーティな演出が施される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
アリオンのダッシュパネルはウッドを使うなどして、上質感を演出している。デザインは生真面目、さすがトヨタの面目躍如で造りも素晴らしい。計器類の視認性も高く、スイッチなどの操作系も使いやすい。ステアリングはチルト式で、ドライバーの体格に応じて高さの調整が可能だが、これに加えてテレスコピック調整式も採用して欲しいと思った。
(前席)……★★
もっともガッカリさせられたのが前席だ。座面と背面とも、表面がスポンジーであると同時に腰がない。短時間なら構わないが、長く座り続けていると疲れを感じる。せめてもう少し腰の位置を落ち着かせ、背中を横から支えて欲しい。GTカーのようにかっちりとしたシートはアリオンには場違いだが、体の横方向の動きを適度に支えたシートは運転者の疲れを防ぐとともに、クルマとの一体感を高めるはずだ。さらに座面の高さ調整機構にも改善を願っておきたい。現在の後端だけを持ち上げる方式では不充分で、これに加えて前側も調整式として欲しい。シート全体の高さ調整ができる方式ならさらに歓迎だ。
(後席)……★★★★
後席の広さは驚きだ。2700mmとたっぷりとした長さを持つホイールベースを有効に使ったことで、後席の居住空間は実に広々とし、よほどの長身者からも不満の声はないだろう。シートサポートは中庸で、可もなく不可もないが、折り畳み式にしたことによる違和感(折衷感)がないことは美点だ。またドアの開口部は広いばかりか大きな角度で開くため、高齢者や体の不自由な方を乗せるときには重宝する。
(荷室)……★★★★
トヨタ・アリオン/プレミオの最大の「売り」が、豊富なシートアレンジと、ワゴン顔負けの荷室空間を持つことだ。これはトランクと車室の隔壁を取り払うことで実現させたものだが、パタパタと後席を折り畳み、トランクを室内と繋げると、予想外に大量の荷物を積むことができる。それも5ドアハッチバックではなく、オーソドックスな3BOXセダンでこれだけのことをやってのけたアイディアは賞賛に値する。一般的なユーザーがワゴンでなければ困るという状況は希だろうから、必要なときにワゴンに変身できるセダンの方が日常の使い勝手はいいはずだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.8リッターエンジンは低速回転域から充分以上のパワーを発揮し、これ以上の大きなエンジンは必要ないと思う。スーパーECTと呼ばれる4ATとのマッチングも素晴らしい。だが、アイドルアップが煩わしいことは多いに気になった。エアコンのコンプレッサーなどが作動するとアイドリングが上昇するが、このとき軽く踏んでいたブレーキがクリープに負けてズルズルと這い出すことがあり、ハッとさせられ、強くペダルを踏みつけることが多々あった。アイドリングを低くすることは省エネルギーの観点からは避けられぬこととはいえ、時に危険でもある。なにか妙案を講じて欲しい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は長いホイールベースの恩恵でフラット感がある。試乗前にタイヤ空気圧を調べなかったテスターの不手際だが、前輪の空気圧が高かったようで、フロントが跳ねる傾向があった。走る曲がる止まるの3要素は平均点そのもので、ファミリーカーとしてのバランスは高い。
だがステアリングのフィールには不満を覚えた。きわめて軽く、路面の状況をまったくドライバーに伝えないのだ。不正確でないことが救いだが、確信が持てない(頼りない)ために、たとえば首都高速道路のコーナリングでは不安になる。スポーツカーのようなダイレクトな感覚は必要ないが、路面感覚をドライバーに伝えることは、運転に慣れていない人が乗る機会の多いファミリーカーには、安全のための必須事項だと思う。
(文=伊東和彦/写真=峰昌宏)
【テストデータ】
テスト日:2005年2月9日〜14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:868km
タイヤ:(前)195/65R15 91S(後)同じ(いずれもブリヂストンB340)
オプション装備:音声案内クリアランスソナー(4万2000円)/リアフォグランプ(1万500円)/SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(6万3000円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション+音声ガイダンス付きバックガイドモニター+TVアンテナ(30万1350円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:331.8km
使用燃料:24.5リッター
参考燃費:13.5km/リッター

伊東 和彦
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