日産ステージアAR-X FOUR(4WD/5AT)【ブリーフテスト】
日産ステージアAR-X FOUR(4WD/5AT) 2004.12.17 試乗記 ……402万2550円 総合評価……★★★★ 2004年8月にマイナーチェンジをし、ターボエンジンを捨てておとなしくなった印象の「日産ステージア」。その中でも異彩を放つ、ワイルドなクロスオーバーSUVタイプの「AR-X FOUR」に、自動車ジャーナリストの森口将之が乗った。
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優しさがほしい
プラットフォームの共通化は、いまや自動車メーカーにとっての必須科目である。日産もその例にもれず、最近登場した後輪駆動のモデルは、「セドリック/グロリア」の後継車である「フーガ」から、「スカイライン」や「フェアレディZ」まで、すべてFMプラットフォームを共用している。またそれらは、VQという名のV型6気筒エンジンを心臓に持っている点でも共通している。
ステージアもその1台だ。位置づけとしては「スカイラインワゴン」で、インテリアには共用パーツも多く見られる。しかしこれまでは、2.5リッターのターボエンジンなど、独自のメカニズムも持っていて、それがスカイラインとは違うパーソナリティをアピールするスパイスになっていたような感じがした。
そのステージアがマイナーチェンジを受けた。フェイスリフトとともに目立つのは、2.5リッターターボエンジンがラインナップから落とされたことだ。代わりに設定されたのは、自然吸気3.5リッター。いまや「フェアレディZ」から「ティアナ」「ムラーノ」から「エルグランド」まで使われている、おなじみすぎるユニットだ。
今回試乗した1台は、車高を上げ、大径タイヤを組み合わせたクロスオーバー4WDの「AR-X FOUR」。乗り味は予想どおりだった。旧型のAR-Xに乗ったということもあるが、同じエンジンやプラットフォームを用いる、スカイラインやフェアレディZやフーガに乗った経験から、頭の中に思い描いていたインプレッションとあまり違わなかったのだ。
ひとことでいえば、オトコっぽい。漢字で書けば、“男”ではなく“漢”。ある意味で日産らしいし、フーガの「GTスポーツパッケージ」や、「スカイラインクーペ」にはぴったりハマる味つけだ。しかしステージアはワゴンであり、主役はドライバーだけじゃない。ましてやAR-Xはクロスオーバービークル。オフタイムのパートナーとして活躍するシーンが多いわけだから、なおさら優しさや暖かさ、癒しやなごみが感じられる性格であってほしい。
マーチやキューブがファーストフードだとすれば、このクラスのクルマはリッパにレストランのレベルにあると思う。お店としての統一感ももちろん大切だけれど、それ以上に、ひとつひとつの料理の世界にも気を配ってほしい。そうすれば、今度はあれを食べてみようかなあと、何度も足を運ぶようになるわけだし。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
初代ステージアは1996年にデビュー。直6ユニットとFR/4WDを組み合わせたツーリングワゴンとして人気を博した。2001年10月に2代目へ進化。スカイライン同様、直6からV6ユニットへ移行したのに加え、FRプラットフォームの「FMパッケージ」を用いる。ボディサイズ拡大を最小限に抑える一方、ホイールベースを延長、居住性の向上に努めた。
2004年8月にマイナーチェンジを受け、エンジンを2.5と3.5リッターエンジンの2本立てとした。それぞれにFRと4WDのグレードがあり、さらに3.5リッターには、車高を高くしたクロスオーバーSUVの「AR-X FOUR」がラインナップされる。
(グレード概要)
「AR-X FOUR」は、「スバル・レガシィ」でいうところの「アウトバック」に相当する、クロスオーバーSUVグレード。専用となる、樹脂製のフロントバンパー&オーバーフェンダーを備え、180mmのロードクリアランスを持つ。18インチのオールシーズンタイヤを履き、4WDシステムは前後輪の駆動配分を電子制御する「スノーシンクロモード付きアテーサE-TS」。電動SUPER HICASによる4輪操舵も適宜行われる。エンジンは3.5リッターのみとなる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
マイナーチェンジ後のステージアは、インテリアカラーがブラックとシルキーエクリュの2タイプから選べるようになった。試乗車はシルキーエクリュで、明るく暖かみがあってワゴンらしい。センターのアルミ調パネルの質感が上がったことも目につくが、それ以外の部分のクオリティはいまひとつ。こうした変更点を含めて、スカイラインとまったく同じデザインというのも気になる。センターパネルやステアリング上にあるスイッチはどれも操作しやすく、メーターの視認性も良かった。
(前席)……★★★★
試乗車はオプションのレザーシートを装備していた。クッションの厚みはあまり感じないが、形状に不満はなく、ゆったりした掛け心地で、リラックスした気分で過ごせる。パワーシートの調節スイッチは座面の脇にあって、わかりやすい。AR-Xは車高が高いぶん、乗り降りは普通のステージアより楽に感じられた。
(後席)……★★★★
座面は平板で、フロアに対してやや低め。よって、ももの裏が浮いてしまうのが気になった。背もたれはリクライニング可能なので、多くの人が快適なポジションを見つけられるはずだ。広さはこのクラスの平均レベルで、身長170cmの自分が前後に座った場合、ひざの前には約20cmの空間が残り、頭上もワゴンということで余裕があった。
(荷室)……★★★★
フロアは高めながら、幅や奥行きはボディサイズ相応にあるという、ボルボV70に似た空間。多くのユーザーはこれで満足するだろう。開口部脇のレバーでリアシートの背もたれを倒したり、アンダートレーのリッドを開けたりできるのは便利だった。リアゲートはガラスハッチ付きなので、狭い場所での荷物の出し入れに重宝しそうだ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.5リッターターボから3.5リッター自然吸気になったことで、低回転でのトルクやレスポンスはアップして、2000rpmも回せば流れに乗って走れるほどになった。全開加速もかなりの勢いだが、ターボの押し出すようなダッシュのほうが、印象としては強かった。音は過給器つきの旧型のほうが静かだった。この3.5リッターは何に積まれても、グォーッというオトコっぽいサウンドを響かせる。もう少し繊細な音質に調律してほしいところだ。5段ATは、マニュアルモードの反応が鋭いのが好印象。スポーティなドライビングも楽しめる。エンジンを回し気味にしていたほうがシフトショックが出ないというのは、日本車としては珍しい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は全体的にドタバタしていて、とくに低速では、小刻みにブルブル震えるような揺れが目立つ。硬めのサスペンション、重いホイール、薄いタイヤの組み合わせが、こうしたフィーリングを生み出してしまっているようだ。ホイールを小径にし、ハイトのあるタイヤを組み合わせれば、もう少しマイルドにできるのではないだろうか。ただし高速道路では、旧型よりもフラットな乗り心地だった。ハンドリングに不満な点はなし。ボディの大きさや重さは感じるものの、曲がり始めれば素直にラインをトレースしてくれる。車高の高さが気になることもない。ダイナミックなドライビングが楽しめる国産ワゴンという評価は、以前と同じだった。
(写真=峰昌宏/2004年12月)
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【テストデータ】
報告者:森口将之
テスト日:2004年11月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年式
テスト車の走行距離:5222km
タイヤ:(前) 225/55R18(後)同じ
オプション装備:カーウイングス対応TV/ナビゲーションシステム+ETC=30万9750円/スーパーファインコート=3万6750円/Sパック=5万8800円/セーフティパック=9万9750円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:218.3km
使用燃料:35.7リッター
参考燃費:6.1km/リッター

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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