日産ステージア RX300 2WD(5AT)【ブリーフテスト】
日産ステージア RX300 2WD(5AT) 2001.11.06 試乗記 ……374万円 総合評価……★★★★ハートに不良を
このクルマはスカイライン/ローレル系のプラットフォームを使った派生車種だ。先代(=旧型)のときは燃料タンクを後席背後(=トランク奥)から床下へ引っ越しさせたりのムリやり大改造型だったが、ベースとなるスカイラインがフルモデルチェンジしたから、もちろん今回そんなことはない。同じ理由で客室も広くなった。旧型の狭さは、誇張でなく悪夢のようだった。全体として、母体となる基本ハードウェアの構成が大幅にマトモになったぶん正直に派生車種もマトモになっている。大筋、非常にメデタイ。
ところで。ステージアという商品は、その出自からして企画モンめいている。イカモノ。ワゴンが売れ筋、ということでスカイラインまたはローレルのワゴンでしかないクルマをわざわざ独立ブランドにデッチ上げたのだから、そういわれても日産は反論できまい。で、そこをどうこういうつもりは別にない。むしろ、せっかくのイカモノ性なのだからDNAの貴重な一部として保存してほしいくらいだ。どうせなら。
そういう意味で、今回ターボはヨカッタ。詳しくは下を読んでいただくとして、あれがなかったら新型ステージアは実質ただのスカイラインワゴンで終わっていたと思う。以前はクルマのほぼすべてがグレまくっていたが、こんどのは全体として見事に更生を果たしつつハートの部分に不良を残している感じだ。少なくともターボは。
スカイラインとローレルが揃ってドン底にあった時期を、初代ステージアは商売上それなり頑張ってカバーした。独自のお客もついた。彼らを裏切っちゃイカン、というプレッシャーが開発チームには強くあったようで、それもよかったのかもしれない。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ステージアは、1996年にスカイライン/ローレルのシャシーにボルボ調ボディを載せたツーリングワゴンとして登場。意外な好評を博し、2001年10月16日、めでたく第2世代デビューとあいなった。ボディサイズ拡大を最小限に抑える一方、ホイールベースを延長、居住性の向上に努めた。ベースとなったスカイライン同様、エンジンは直6からV6に変更、3リッターNAと2.5リッターターボが5段AT、2.5リッターNAが4段ATと組み合わされる。駆動方式は、3リッターがFRのみ、2.5はNA、ターボともFRほか4WDが用意される。
(グレード概要)
2代目ステージアのグレード構成は、ラグジュアリーな「RX」(3リッターNA/2.5リッターNA)、スポーティな「RS」(2.5リッターNA/ターボ)、そして車高を上げたオフロード調スペシャルモデル「AR-X FOUR」(2.5リッターターボ)の3つに大きくわかれる。RZ300は、ノーマルワゴン系としては最上級車種。本革ステアリングホイール(オーディオスイッチ付き)、同じくシフトレバー(木目調パネル)、木目調ドアグリップ、BOSEシステム(6CD+カセット+ラジオ+6スピーカー+ウーファー)など、装備が奢られる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
スカイラインとほとんど同じ。表面の意匠をわざわざ変えないのはトヨタとは対照的で、「ココロは2つない」という意志の表明と受け止めたい。つまり、プラスに評価したい。全体の見た目の印象は1980年代のモーターショー用プロトタイプみたいで独特のものがあるが、マスとしてのカタチや位置は適切。ピラーの角度や位置も悪くない。ハンドルの位置調整に連動して動く計器盤や掌で動かせる空気吹き出し口のルーバー(ユニバーサルデザイン!)等、親切心がデザインにおいて実体化されているのもイイ。唯一ちょっと残念だっったのはボンネットの見た目で、フェンダーの峰がなくなってしまったためスカイラインほどは見切りがシャキッとしていない。
(前席)……★★★
これまたスカイラインと同じ。運転席でいうと、前後やリクラインや全体の角度を調整するための電気モーターを起動するスイッチ類が座面の左サイドに配置されている。これもデザイン上のコダワリ。助手席でいうと、そのスイッチ類はドライバー側からいちばん近いところにある。一人で乗っていて助手席を動かしたくなるケース(視界に入ってジャマくさい位置にあったり等)はけっこうあるもので、そういうときにはこれはラクでイイ。
反面、かけ心地に関する部分ではイマイチ。座面クッションのなかにスイッチ機構が埋め込まれているのだから当然といえば当然であることに、横Gがかかるとそのカタい部分にお尻が当たるのがわかる。心地よくない。全体としても、前から見てタルんだ電線のような感じに湾曲した座面の形状はあまり嬉しくない。座っていてお尻が痛くなるようなことはなかったけれど(短時間だからこれも当然といえば当然か)。なによりこのシート、正確には座面だが、座って運転する気分にイマイチならない。クルマ用っぽくない。
なお、写真のものとはまったく別のカタチをした手動調整式シートがあってそっちはかなりベター。普通にイイ。カタログで調べたところ、RSグレードの標準装着品(=スポーツシート)がそれにあたるとわかった。
(後席)……★★★
とりあえず、前席と同じく旧型の悪夢のような狭さからは解放された。その意味では夢のように快適になった。が、座面背もたれともにクッション形状が平板。たたんで平たくかけて立体的なクッション形状をモノにするのは至難のワザだ(実際スゴく苦労したらしい)。セダンとの格差をそれほどナマナマしくは感じさせなかったけれど、世界にはもっとかけ心地のよい後席をもった(そして畳んだ際の荷室性能との妥協点もより高い)ステーションワゴンが何例かある。新型ステージアに対抗すべく東京モーターショーに慌てて(?)出品されたマークIIワゴンを見てステージア開発関係者は早くも安堵の息をついていたが、しかしコト後席のかけ心地だけでいったらステージアは新型マークIIワゴンに負けている。
市場の声の反映とはいえ、安易にリクライン機構(スカイラインにもある)をつけてしまったのもちょっと残念。寝てヨシ座ってヨシを狙って、結局どっちつかずに終わっている。倒れてくる背もたれから逃げるべくトノーカバー支持ポールの装着穴はあらかじめ後ろ寄りに設けられており、したがって背もたれを座るのに適切な角度にしている場合は無様な隙間ができてしまう。それでは荷物隠しとして機能不完全だと思う。
(荷室)……★★★
ルーフが長く伸び、車両後端でストンとほぼ直角に落ちる。積載性能を考えると、ステージアDNAの重要な一部ともいえるこのカタチは理に適っている(いっちゃえばネタ元はボルボなんですけど)。それにくわえて、今回はテールゲートの開口部をルーフ側へ大きく食い込ませた。車体後部の剛性を確保するのがタイヘンな設計らしいが、そこは頑張った。で、開閉の作業はだいぶやりやすくなった。開いた状態で荷室に腰かけた場合に頭がブツからないのもいい。
荷室側からレバー操作一発で背もたれをバタンとやれるのは、これもステージアの伝統。一見すごく便利なようだが、だったらむしろ助手席背もたれにスライドおよびリクラインの調整スイッチをつけるとかしたほうがよかったかもしれない。倒す際に後席になにがしかの荷物が残っていたらそれをどかさなければいけないし、また助手席がいちばん後ろにスライドしていたりまたその背もたれがハデに後ろへ傾いてたりして倒れてきた後席背もたれと干渉する場合も往々にしてある。折り畳み作業を少しでもラクに、というつくり手の意図はわかるが、せっかくだからもうちょっとロジカルにつきつめてほしかった。
なお、ホイールハウスの出っ張りはマークIIワゴンより小さかった。幕張メッセで担当説明員氏にきいたところ、マークIIワゴンの荷室におけるホイールハウスの出っ張りは「見た目のよさを優先してあえて小さくしなかった」そうだ。つまり、取り外し式の箱がぴったり収まるようにしておきたかったのか。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
スカイラインにもある「3リッター直噴ガソリン+5AT」。希薄燃焼からストイキ燃焼に切り替わるときの段つき感をトルコンのユルさでゴマカシているらしく、乗ってみるとやはり実用域でシャラシャラ。トルクをコントロールしている実感が希薄。15%とかいう燃費の改善しろ(それも主として10・15モードのようなきわめて人工的な環境の下でだろうけど)とひきかえのガマンとしては小さくない。トルクの厚みも、排気量で約200cc小さく車体で約100kg重たいパサートV6ヨンクに明らかに負けている。
その点、ステージア専用の2.5非直噴ターボはスゴかった。過給が効く前と後のギャップのデカさ(ワザとそうしたらしい)はお世辞にもワゴン向きとはいえないけれど、とにかくトルクがモーレツで笑いが止まらなかった。ちなみにターボは「アテーサE-TS」つまりヨンクのみ。たしかにニクではヤバいでしょう、あれは。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
FRということもあって(3リッターモデルはFRのみ)、ワゴン化されても乗った印象はスカイラインほぼそのもの。両方を直接較べたわけではないのでアレだが、乗りアジにおける明確な格落ち感はほとんどなかった。あるいは、私にはわからなかった。「BMW318iは、セダンはすごくイイのにワゴンになるとトタンにアシがカタくなる。あれはイヤでしたね」とは主管の弁。318iツーリング、参考用に買ったそうだ。
前2.1に対して後ろ2.4という空気圧設定は、リアのキャパを少しでも多く確保しておきたという意図のあらわれ。ちなみに、リアサスがハイキャス組み込みになるシャコタカグレード「AR-X」は前後で指定空気圧が違わない。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2001年11月1日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)215/55R17 93V/(後)同じ
オプション装備:TV/ナビゲーションシステム(DVD方式)(20万円)、ETCユニット(24.0万円)、SRSカーテンエアバックシステム+運転席・助手席SRSエアバックシステム+前席アクティブヘッドレスト+後席ELR付3点シートベルト(セット10.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(10)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

森 慶太
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