ヤマト、トヨタ、日野がEVの実証運行を開始
2013.03.01 自動車ニュースヤマト運輸、トヨタ、日野が“EVトラック”の実証運行を開始
ヤマト運輸とトヨタ自動車および、日野自動車の3社は2013年3月1日、電動小型トラックの実証運行試験を3月中旬に開始すると発表した。
今回の実証運行は、日野自動車が開発した電動トラックを、ヤマト運輸が実際の集配業務に使用するというもの。試験期間は約1年の予定で、東京都板橋区と同町田市のヤマト宅配便センターに、それぞれ1台ずつ、計2台が導入される。
運行に使用される車両は、積載量1トンの小型トラックで、床下のフレームにリチウムイオンバッテリーを、キャビンの下に電動モーターを搭載。最大の特徴は前輪駆動を採用している点で、ドライブシャフトやリアのデファレンシャルなどを省くことにより、対地上高440mmという低い荷室床面高を実現している。(現行の「MPバン」が860mm、「クイックデリバリー」が800mm)
荷室容積も9.8立方メートルと、「クイックデリバリー」の約1.2倍を確保。荷室内には冷蔵室や冷凍室などを備えており、低温度帯配送サービスの「クール宅急便」にも対応している。
3社は今回の実証運行を通して、電動トラックの集配業務に対する適応性や実用性を検証し、商品化へ向けた改良に役立てていくとしている。
■作業効率の向上やCO2の抑制などに期待
現在、ヤマト運輸では「使わない(車両台数の抑制)」「使うならエコ(低公害な集配車両の導入)」「使い方(エコドライブの推進、走行距離の短縮)」という3つの戦略を通して、集配業務におけるCO2排出量の低減を推し進めている。
特に集配先が密集する「高密度エリア」では、各拠点から車両で運んできた荷物をFC(フィールドキャスト)と呼ばれる複数のスタッフに受け渡し、台車や自転車を使って一気に配達するチーム配送を実施。業務の効率化と迅速化、CO2の削減を図っている。
2台の電動トラックは、このチーム集配の業務において実証運行を実施。ヤマト運輸では、低床な荷室を生かした荷積み、荷降ろし作業の効率化や、給油などの手間の簡素化、CO2の削減効果などに期待を寄せている。
■電動トラックの商品化へ向け、さまざまなデータを収集
トヨタおよび日野自動車は、将来の宅配事業車両について、近距離ではEV、中距離ではハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、長距離ではHVやディーゼル車が主流になると予想。2011年の東京モーターショーに前輪駆動のEVバンコンセプトを出品し、その後も試作車として認可・登録済みの車両を完成させるところまで開発を進めていた。
今回、実証運行に提供される電動トラックは、1日の走行距離が20〜30kmという、都市内での運用を想定して設計されたもので、最高出力70kW(94ps)、最大トルク280Nm(28.6kgm)の電動モーターで前輪を駆動する仕組みだ。バッテリーは蓄電量28kWh、電圧300Vのリチウムイオン式で、走行の他、冷蔵庫や冷凍庫などの稼働もこの電力でまかなわれる。
1年にわたって行われる今回の実証運行では、EVのパワートレインや超低床プラットフォームなどの使い勝手に加え、季節の変化がもたらす電力消費やバッテリー性能への影響、1年後のバッテリー性能などについても評価を実施。今後の研究開発の参考とする予定だ。
(webCG)
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