トヨタ、燃料電池で動く「クルーガーV」を公開

2001.03.12 自動車ニュース 青木 禎之

トヨタ、燃料電池で動く「クルーガーV」を公開(3/12)

トヨタ自動車は、2001年3月1日、2日に開催された「燃料電池自動車国際シンポジウム」(主催:国土交通省)において、新型の燃料電池ハイブリッド車「FCHV-3」を公開した。

「FCHV-3(Fuel Cell Hybrid Vehicle-3)」は、「近年SUVに対し、CO2削減の要請が高まっていることを念頭に」(トヨタ)、クルーガーVをベースに開発された燃料電池ハイブリッド車。なぜ「ハイブリッド」かというと、動力源に、小型発電装置たる燃料電池と、従来型電気自動車同様、蓄電用の2次電池(ニッケル水素電池)を備えるからである。

通常は、水素吸蔵合金タンクに貯蔵された純水素を燃料に、トヨタ独自の燃料電池スタックで最大90kWの電力を発生させて走行する。一方、ブレーキング時にはモーターを発電器として使用、制動エネルギーを電気に変換して2次電池に収納する。いわゆる「回生ブレーキ」である。
燃料電池をメインに、助っ人たる「2次電池」を状況に応じて充放電させることで、少しでもエネルギーを無駄なく使って(または拾って)走ろうというわけだ。

パワーユニットは、永久磁石式モーターで、最大出力80kW、最大駆動トルク260Nmをもたらす。最高速度150km/h以上、航続距離300km以上が謳われる。この夏、公道での実走試験が予定される。

トヨタは、1992年から燃料電池車に関する研究を本格的にはじめた。96年には、燃料の水素を吸蔵合金に貯蔵するタイプの燃料電池ハイブリッド車を開発、97年には、メタノールから水素を取り出して走る、いわゆる「メタノール改質型」燃料電池を搭載した実験車を「世界で初めて」(トヨタ)発表した。また、2001年1月からは、「ガソリンを進化させたクリーンハイドロカーボン燃料(CHF)」(同)にも着手、ガソリンに代わる燃料の研究開発に力を入れる。

「内燃機関」に替わる次世代のパワーソースが、「燃料電池」になることは、ほぼ確定した。問題は、「燃料である水素をどのように保管するか」である。トヨタは、「直接水素を燃料とする燃料電池車が(中略)将来の燃料電池車の主流になる」(トヨタ)としながらも、気体のまま保持する「水素吸蔵合金」はじめ、「液化水素」「メタノール改質」「ガソリン改質」など、いずれの開発も押し進めて万全のかまえである。
(webCG 有吉)

 
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