ホンダ・インテグラ タイプR(6MT)【ブリーフテスト】
ホンダ・インテグラ タイプR(6MT) 2001.07.18 試乗記 総合評価……★★★ ……285.0万円
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ホンダらしさ
2001年7月2日、夏だというのに底冷えするわが国クーペ市場に投入された「エキサイティングクーペ」(by ホンダ)ことインテグラ。先代のシャシーをリファインしてオムスビスタイルの高剛性ボディを載せ、ラインナップから落ちたプレリュードの穴を埋めるべく、エンジンを2リッターに拡大した。
「今回は“後方排気”という大胆なことをヤリまして……」と試乗会場でお会いしたエンジニア氏。横置き4気筒エンジンの南北を逆にしてエグゾーストパイプを後方にし、キャタライザーとの距離を近づけて、熱い排ガスによって触媒がより早く働くようにしたわけだ。「ボルボやサターンは既にそうしているよなァ……」と思いながらお話をうかかがう。
新型「インテR」は、6000rpmでハイカムに切り替えるホンダ得意のVTECに、吸排気バルブのオーバーラップ量をコントロールするVTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)を備え、「11.5:1」という高圧縮比から、リッター110ps(!!)にあたる220ps/8000rpmの最高出力と21.0kgm/7000rpmの最大トルクを発生する。申し分ないアウトプット。ただ、排気量が大きくなったせいか、カム切り替え時の音質の変化は地味になった。17インチにアップした足まわりは、もちろんスポーティに締め上げられるが、初代の「ア、ワ、ワ、ワ……」とシェイクされる感じはなくなった。ニュータイプR、全体にひとまわり大人の印象だ。
「演出が足りないんじゃないか、という意見は社内でも出ました」と、リポーターの感想を聞いたエンジニアの方がおっしゃる。「でも、インテRは“本当に”速くないと……」。
性能至上主義のモデルにもかかわらず環境に配慮したエンジン搭載方法を採る。そのことが、1psの上下に一喜一憂し、エンジンルーム内の補機やパイプ類の取りまわしに苦心する現場の技術者には、ひどく“大胆”に感じられたのだろう。一方、サーキットと公道の技術の融合に、リポーターは「ホンダらしさ」を見た。クーペ冬の時代に、サーキットでしか楽しめないクルマを出すところにも。
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【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年7月2日に登場した4代目インテグラ。3代目途中からラインナップに加わり、インテグラを代表する人気車種となった「タイプR」は、今回、当初からカタログモデルとして開発された。ニューインテグラは、ノーマル「iS」とスポーツ系「タイプR」にわかれ、いずれも先代と同じ2570mmのホイールベースに3ドアハッチのボディを載せる。エンジンは、両者同じ2リッターVTECながら、iSは2200rpmまで吸気バルブをひとつ休止させる「低燃費・低排ガス」型(160ps、19.5kgm)、タイプRは6000rpmでハイカムに切り替わる「出力重視」型(220ps、21.0kgm)と、まったく性格が異なる。トランスミッションは、iSに5段MTと4段AT、タイプRには豪華6段MTが用意される。
(グレード概要)
「タイプR」の220ps「VTEC」ユニットは、赤いヘッドカバーをもつ。「iS」は可変吸気システムを備えるが、こちらは高回転重視の「単管等長ショートインテイクマニフォルド」。6段MTは、ロウと2速がトリプル、3から6速がダブルシンクロを採用する。クロモリ鋼を用いた「超軽量フライホイール」もジマンだ。足まわりは、iSより硬められた「ハードセッティング」。フロントヘリカルLSDもタイプRの専用装備である。ブレーキは、ホンダとして初めてブレンボ社と共同開発した4ポットキャリパーをフロントに装着、ストッピングパワーの強化にも余念がない。タイヤサイズは、iSが「195/65R15」、タイプRが「215/45R17」となる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
黒とシルバーを基調としたインパネまわり。立体的に飛び出したメーター類、滑り止めがリズミカルな空調ダイアル、そして丸いエアコン吹き出し口と、質感はそれなりながら、全体にポップなイメージでまとめられる。クルマの性格を反映してか、センターコンソールのカップホルダーは深め。ディーラーオプション(!)の赤いスタータースイッチ(1.5万円)はご愛敬。
(前席)……★★★★★
先代に続き、インテRにはレカロ製バケットシートが奢られる。オムスビ型ダイヤルを回すことでリクライニングが可能。座面、背もたれとも立派なサイドサポートが張り出したシートは、一方、お尻や背中が当たる部分がソフトで、「座り心地」と「ホールド性」を両立させた優れモノ。むやみに着座位置が高くなることもない。じゅうぶんすぎるヘッドクリアランスは「ヘルメットを着用するケースを考慮した」ため……という説明が説得力をもつ。おそるべし“走行会の華”インテR。座席、シフトブーツ、そして直径36cmの小径ステアリングホイールに反復される赤いステッチがうれしい。
(後席)……★★
高くなった車高がいまひとつ活かされていない後席。それでも、頭上に迫るハッチガラスと、まともに座ると頭部側面に接触するCピラーを気にしなければ、身長165cmのリポーターの場合、3点式シートベルトをきちんと締めて座れた。ただし、ヘッドレストはないに等しい。荷室とのパーテションもないので、何か積んでいると気になるだろう。
(荷室)……★★★
床面最大幅133cm、奥行き85cm、高さ40cmと、意外に実用的なラゲッジスペース。リアシートのバックレストが分割可倒式なのも、いざというときに心強い。ノーマルモデルに標準で装備されるハッチゲイト側に付く「ネットタイプ軽量リアシェルフ」は、タイプRの場合1.3万円のディーラーオプションとなる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
6000rpmを境に、カムを切り替えるエクサイティングなホンダVTEC。わかっちゃいるけど魅力的。ハイカム側のエンジンサウンドは、甲高かった先代より、やや太く低い。エンジン回転数6000rpmは、ロウで約50km/h、セカンドで約70km/h、サードで約100km/hにあたる。高速道路での合流が楽しみ? 2代目インテRの目玉「6段MT」は、レブリミット直前の8500rpmでシフトアップしていくと、毎回きれいに6000rpmちょい上にタコメーターの針が落ちるスポーティなもの。シフトフィールもいい。一方、6速100km/hで約3000rpmだから、燃費向上用の7速が欲しいくらい……。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
45タイヤを履き硬めにセッティングされた足まわりだが、クッションの厚いレカロシートの恩恵もあって、街なかでのデートにも使用できる。ただし、たとえば継ぎ目の多い首都高速を60から80km/hといった中速域で走ると、リアからの突き上げがキツい。コースを選ぼう。峠では、路面を掴んで離さないサスペンションとハイグリップタイヤがオドロキ。舵角が大きいと、一瞬ハンドルが戻らないで「ドキッ!」とするキャスターアクションの弱いステアリングは、ちょっとコワい。タイヤを鳴らしてその気になりたいヒトには、ノーマル版「iS」がオススメ。「タイプR」オーナーの方は、サーキットに行くのがいいでしょう。
(写真=須藤章一)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年7月17日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1663km
タイヤ:(前)215/45ZR17/(後)同じ(いずれもブリヂストン Potenza RE040)
オプション装備:プライバシーガラス+Cパッケージ(電動格納式ドアミラー、リアワイパー)+ナビゲーションシステム
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:258.9km
使用燃料:38.8リッター
参考燃費:6.7km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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