第5戦スペインGP「ハミルトン4連勝で首位へ」【F1 2014 続報】
2014.05.12 自動車ニュース ![]() |
【F1 2014 続報】第5戦スペインGP「ハミルトン4連勝で首位へ」
2014年5月11日、スペインのサーキット・デ・カタルーニャで行われたF1世界選手権第5戦スペインGP。ヨーロッパ・ラウンドの最初のレースでは、予想通り、最速メルセデスを駆る2人のドライバーによる激しい優勝争いが繰り広げられたのだが、連勝中のルイス・ハミルトンを、僚友ニコ・ロズベルグが止めることはできなかった。
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■重要な欧州ラウンド初戦
3週間のインターバルを経て、F1は“ホーム”であるヨーロッパへと戻ってきた。第5戦スペインGPの舞台は、今年で24回目の開催となるバルセロナ。高速コーナーから低速コーナーまで取りそろえ、さらには長いストレートもある、バラエティーに富んだ顔を持つサーキットであり、その性格からテストにも多用されていることで知られる。
例年この欧州ラウンド初戦は、各陣営が大幅なマシンアップデートを実施して迎える。トータルなバランスが要求されるコースでのレースだから、シーズンの今後を占う上でとても重要な意味を持つことも、よく知られた話だ。さらにここで勝ったドライバーがタイトルをとった数は実に14回にものぼるというから、ここでの勝利は極めて重い意味を持つ。
これまで4戦全勝中のメルセデスは、ライバルチームをさらに突き放したい一方で、チームメイト同士が静かに、しかし激しく火花を散らしている。開幕戦を制したポイントリーダーのニコ・ロズベルグに、自身初の3連勝で4点差まで詰め寄ったルイス・ハミルトン。2008年チャンピオンのハミルトンはここで首位の座を奪うことを、また1982年の王者ケケを父に持つロズベルグは、つかみかけた流れを再び自らに引き寄せることを目標とする。
さらにフェラーリのフェルナンド・アロンソの活躍にも注目だ。前戦中国GPで今季初表彰台3位に終わったスペインのヒーローは、ちょうど1年前に母国で手にして以来となる、勝利を狙いたいところだ。
過去4年タイトルを総なめにしたレッドブルは、弱点のルノーエンジンの改良が進んだもよう。チームボスのクリスチャン・ホーナーいわく「中国GPのストレートでは22km/hも遅かった」という状況を脱すれば、空力性能が高いとされる「RB10」にも勝機はある。心配の種は、ここ2戦でチームメイトのダニエル・リカルドに負けているセバスチャン・ベッテル。リカルドを前に、というチームオーダーにスムーズに対応し切れていないようで、チャンピオンの心中に何が起きているか気がかりである。
さらに、パワフルなメルセデス・ユニットで勢いに乗るコンストラクターズランキング3位のフォースインディア、過去2戦無得点で失速気味のランキング5位マクラーレン、そして昨季9位から現在6位と飛躍が著しいウィリアムズと、中団グループの激しい争いに、マシン改善がどう影響を与えるのか。
そしてGPウイークが始まると、最速のマシンがさらに速さに磨きをかけていることが明々白々となったのだった。
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■ハミルトン、5戦して4回目のポールポジション
過去17年間でポールシッター14勝。ポールポジションの勝率が高いバルセロナにあって、スターティンググリッド最前の位置は勝利に直結する道といってもいい。その予選最速のドライバーは、今回もハミルトンだった。
予選Q1、Q2とトップはロズベルグ。しかしQ3に入るとハミルトンが開眼し、後続に0.168秒の差をつけ、今季4度目、自身通算35回目のポールポジションを獲得してしまった。
ロズベルグは2番手。本人にとっては会心の1周だったというが、終わってみれば僚友に先を越された。表情からにじみ出るショックを硬い笑顔で必死に隠していたのが印象的だった。
予選3位は、上位常連といってもいいレッドブルのリカルド。しかしハミルトンからは実に1秒以上も離されているという事実に、メルセデスの優位性がまざまざと表れていた。チームメイトのベッテルはセッション序盤にマシントラブルでストップ、赤旗を誘引してノータイムの10番グリッド。その後ギアボックス交換を実施したことでペナルティーを受け、さらに5グリッド後ろの15番手からスタートすることになった。
ウィリアムズのバルテリ・ボッタスが4番グリッド、ここにきて調子を上げてきているロータス勢はロメ・グロジャンが今季最高の5番グリッドを得た。フェラーリは2台が“定位置”に並び、キミ・ライコネン6位、アロンソは7位。マクラーレンのジェンソン・バトンは8番手タイムを刻み、ウィリアムズのフェリッペ・マッサがその後ろ9番手、ベッテルの降格でフォースインディアのニコ・ヒュルケンベルグが10番グリッドに収まった。
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■1秒強速いメルセデス、2台のスリリングな攻防戦
優勝争いは、案の定メルセデスの2人に絞られた。スタートで首位を守ったハミルトン、2位に続くロズベルグ。2本の“銀の矢”は1周につき1秒以上という異次元のペースで後続を突き放し、2位ロズベルグと、4位から3位に上がったボッタスのギャップは、9周して早くも10秒にまで広がった。
66周レースの序盤、最速マシン同士のトップ争いは2秒前後の間隔で推移。1位ハミルトンが19周目に最初のピットストップを行うと、最初のスティント同様にミディアムタイヤを装着しコースへ戻ったが、その後ピットへ飛び込んだロズベルグは、ミディアムからハードにスイッチした。第3戦バーレーンGPと同じように、2人は異なる作戦で優勝を狙ったのだった。
1位ハミルトンと2位ロズベルグの第2スティントはほぼ同じようなペースで進み、3秒台後半の差。これが43周目にハミルトン、続いてロズベルグがタイヤを交換しともに第3スティントに突入すると、いよいよ両車が接近し始める。
首位を守らんとするハミルトンはハード、追うロズベルグは、セオリーでは速いミディアム。タイム差は4秒台から52周目には2秒台、58周目に1秒台と徐々に狭まり、残り数周の時点でDRS圏内の1秒以内に突入した。
しかし、バーレーンと同じように、ロズベルグがハミルトンを抜くことはなかった。チェッカードフラッグが振られた時、両車の差は0.6秒。ロズベルグはレース後「あと1周あれば」と悔しがり、ハミルトンは「ニコからの激しい突き上げで決して簡単(な勝利)ではなかった」と振り返った。
メルセデス、4連続の1-2フィニッシュ。そのいずれもでハミルトンが前、ロズベルグは後ろだった。チャンピオンシップではついにロズベルグが2位に落ち、ハミルトンが3点差ながらトップに躍り出た。
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■リカルド、ついに表彰台へ
スタートでボッタスに抜かれ4位に落ちたリカルド。前を行くウィリアムズはパワフルなメルセデス・ユニットを搭載、ルノー勢のレッドブルは接近するもなかなか抜かせてもらえずにいたが、14周目にリカルドが最初のピットストップを終えるとアウトラップでプッシュ、ボッタスの前に出ることに成功した。
3位に上がったレッドブルにメルセデスを追う力はなく、最終的に50秒近くも差をつけられたものの、リカルドは開幕戦オーストラリアでの失格により夢に終わった自身初表彰台を、5戦目にしてようやく勝ち取ることができた。
そして開幕から精彩を欠いていたベッテルにも復調の兆しが見えてきた。金曜日はマシントラブルでほとんど走ることができず、また土曜日の予選ではギアボックスを交換する事態に陥り、ペナルティーを受け15番グリッドと後方からのスタートとなってしまったチャンピオン。レースではアグレッシブな3ストップ作戦で入賞圏内に駒を進め、残り3周となった時点でボッタスを抜き4位に。レッドブルは3-4フィニッシュでメルセデスに次ぐポジションにつけることができた。
5位ボッタスの後ろでは、フェラーリの2台による接近戦が行われていた。予選でチームメイトに負けたアロンソは、スタートからライコネンの後塵(こうじん)を拝していたが、ライコネンが2ストップだったのに対しアロンソは3ストップを取ったため、フレッシュなタイヤで終盤を走ることができたアロンソが残り3周でライコネンをオーバーテイク、結果6位でゴールすることができた。しかしウィナーのハミルトンからは90秒近くも離され、7位のライコネンに至っては周回遅れという屈辱に耐えなければならなかったスクーデリアに、明るい材料はなかったといっていいだろう。
今のところ、メルセデスを止められそうなライバルは皆無だが、シルバーアローの独走劇のなかに、ハミルトンとロズベルグによるチーム内競争の激化がある。次はモナコGP。シーズンをおもしろくするためにも、昨年優勝したロズベルグの活躍に期待したいところだが……。決勝は5月25日に行われる。
(文=bg)
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