第67回「ダイハツ・コペン ローブ」
2014.09.19 水野和敏的視点骨格は新しくなったが……
軽自動車では、相変わらず「ダイハツ・タント」「スズキ・ワゴンR」「ホンダN-BOX」などの実用的なトールワゴンが人気を博しています。しかし、走る楽しさをテーマにしたモデルも、少数ながら存在します。今年の6月に発売された2シーターのオープンスポーツカー「ダイハツ・コペン ローブ」もそんなジャンルのクルマです。先代モデルと同様に、自動で開閉する折り畳み式のハードトップを持ち、トランスミッションには5段MTとCVTが用意されます。今回試乗するのはCVTモデル。車両本体価格は179万8200円です。
さて、早速、車両を見ていきましょう。デビュー前から喧伝(けんでん)されていたように、このクルマの特徴は「着せ替え」ができる、つまり外板を交換できることにあります。その下には、ダイハツが「D-Frame」と呼ぶ新しい骨格構造が隠れています。
ただ、パッと見ただけでも、私にはこの骨格の、特にキャビン後方のボディー構造に対して、いくつかの疑問が浮かび上がります。
そのひとつめが、キャビンとトランクを結ぶ部分です。幅の広いルーフ収納スペースに場所を取られてしまい、平板一枚という感じの薄いメンバー類で構成された構造になっている上に、このメンバーを左右でつなぐクロスメンバーもスペースの関係で通常の軽自動車より小さな断面構造となっています。これはあたかも「トランクがキャビンの後端にぶら下がっている」と思ってしまうような設計です。ルーフ部分の構造体のないオープンカーの場合、本来であればこの部分は、通常の軽自動車より補強されていなければならないはずですが……。
そしてふたつめが、リアのショックアブソーバーの車体取り付け点、つまりショックアブソーバーという入力が一番大きな部品を取り付ける場所が車体の一番後ろにあり、車体を曲げる力が最も大きく入る配置と設計になってしまっている点です。コペン ローブはオープンカーであるために、ルーフを支えるピラーも事実上、ありません。
この車体構造では、操安性を考えた場合、素晴らしくしっかりと作られたフロントに対して、リア部分だけが旋回中によじれて変形するため、リアが比較的簡単にブレイクアウトしてしまうことが予想されます。また、通常の直進状態での乗り心地も、絶えずお尻の下から「ブルブルと突き上げられる感じ」の振動が発生することが予想されます。
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