BMW i8(前編)
2016.12.01 谷口信輝の新車試乗 SUPER GTや86/BRZ Raceなど、数々のモータースポーツシーンで活躍中のレーシングドライバー谷口信輝が、本音でクルマを語り尽くす! 今回はBMWのプラグインハイブリッド・スポーツカー「i8」に試乗する。BMWが示した「スーパースポーツカーの未来形」は、谷口の目にどのように映っているのだろうか。すべてクルマがコントロールしてくれる
箱根でBMW i8の試乗を終えた谷口信輝は、開口一番、こう語った。
「僕は意外といいと思いましたよ」
こうやって文字にすれば素直に褒めているようにも思えるが、実際にその場にいあわせた私には「普段はキレ味のいい谷口にしては珍しく、奥歯にモノが挟まった言い方だなあ」と感じられた。だからといって谷口がウソをついているとはもちろん思えない。ただし、“いい”という結論にたどり着くためには普通のクルマよりもいくぶん複雑な過程をたどらなければいけないために、結果として奥歯にモノが挟まったかのような言い方になってしまった……。私にはそんなふうに思えた。
では、その「複雑な過程」とはどのようなものなのか。ここからは谷口自身に解説してもらおう。
「最初に乗り始めたときは、例えばパワーステアリングがちょっと軽めでフロントの接地感が薄めに思えたり、若干腰高な感じがして、それが微妙な不安感に結びついていたりしたんですよ。ただね、徐々にペースを上げていくと、これが意外となにも起こらない。いや、正直に言うと、かなり思いっきり攻めたんですよ。そうすると、フロントのほうがキャパシティー的に不足しているのか、タイヤがアウトに逃げそうになるんですが、ここで電子デバイスがうまーく介入してきて、ちゃーんとアンダーステアを消してくれる。ドライバーは特別なことをしなくてもすんなり曲がっていく。ちゃんと制御してくれるんですよ」
ペースを上げたときにただ制御が介入するだけだったら、きっと面白くともなんともなかったはず。それでも谷口はi8をきちんと評価していた。その理由は、主にふたつあるように思われた。ひとつは、スタビリティーコントロールなどの制御が極めて精密な点。
「タイヤ的に危ない領域に入りかけたとき、『はい終了!』って感じでブレーキ制御が“グッグッグッグッグ”と入ってくるんじゃなく、すーっと自然と介入してくれる。制御の仕方にいやーなところがまったくないんです」
それともうひとつ大切なのが、限界のずっと手前ではなく、それなりにタイヤをギリギリまで使い切れる点にあるように思われた。
「あのね、結構いい勢いでコーナーに進入していったんですよ。本当だったらブレーキ踏んでから進入したいけれど、勇気出してブレーキペダルに触らないで入っていったんです。で、瞬間的にフロントがアウトに逃げそうな感じはするんですが、そこから先はすべてクルマがコントロールしてくれる。『あれ、行かせてくれるんだ?』ってこっちが拍子抜けしちゃうくらい、そのままいけちゃう。これはすごいですよね」
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
この記事は会員限定公開です。webCGプレミアムプラン会員に登録すると<月額550円(税込)>、続きを読むことができます。
登録初月無料! | クレジットカードで会員登録いただくと、ご契約いただいた日からその月の末日までが無料になります。いつでも解約可能です。 |
---|
- 毎月20本以上、新型車の試乗記が先取りで読める!
- 人気のさまざまな連載エッセイも、いち早く読める!
- 100車種超! 「谷口信輝の新車試乗」がぜんぶ読める!
- あの漫画家・池沢早人師の特集記事も堪能できる!
- 頭脳派レーシングドライバー山野哲也の車評が分かる!
- 『日刊!名車列伝』で世界の名車に毎日触れられる!
- 自動車メーカー関連グッズのプレゼントに応募できる!
- 話題のニューモデルのアツい走りが動画で見られる!