新型HV「トヨタ・カムリ」デビュー
2011.09.05 自動車ニュース新型HV「トヨタ・カムリ」デビュー
トヨタ自動車は2011年9月5日、ミドル級セダン「カムリ」の新型を発売した。
■ハイブリッド、一本やり
始祖とされる「セリカカムリ」(1980年)から数えて9代目、純粋な「カムリ」としては8代目となる新型が、日本国内でデビューを飾った。先代モデルの登場からは、6年半ぶりのフルモデルチェンジである。
デザインやパッケージングが改められた――のはさておいて、最新型で注目されるのは、「ラインナップがハイブリッドモデルだけになった」こと。メインマーケットの北米など海外市場と異なり、新型「トヨタ・カムリ」の“通常の”ガソリンエンジン車は、国内では販売されない。
というのもカムリはここ10年以上、海外では人気車種であるものの、セダン市場の縮小が進む日本での反応がいまひとつ。これらやや大きめなセダンに対するニーズはあっても、「どうしても燃費が気になる」「サイズに見合った高級感や特別感がほしい」といった懸念ばかりが先に立つ……そんな日本市場に対する答えが、今回の“ハイブリッド一本化”なのだという。
かようなカムリのグレードは、下から「カムリ ハイブリッド」(304万円)、「カムリ ハイブリッド“Gパッケージ”」(317万円)、「カムリ ハイブリッド“レザーパッケージ”」(380万円)の3種類。月間の目標販売台数は500台となっている。
■変わらぬサイズでさらに広く
トヨタのラインナップのなかで、長年“ミドル級セダンの王道”とされてきた「カムリ」。その伝統を引き継ぐ新型も、ボディーサイズは全長×全幅×全高=4825(+10)×1825(+5)×1470(+0)mmと、先代モデルからほぼ据え置きとされた(カッコ内は先代モデル比)。ホイールベースは全く同じで、2775mm。基本的にこれまでと同じプラットフォームが用いられている。
そのうえで、ワイド感を強調するグリルやヘッドランプ、さらにボディー全体を前傾姿勢に見せるルーフラインやショルダーラインを採用。これまでにない存在感と躍動感を表現したという。
見た目だけでなく、サイドミラー部に気流を発生させるフィンを設けたり、ボディの四隅を平らに整えたりと、Cd値=0.28の優れた空力特性を備えるのも自慢である。
一方インテリアは、寸法上の変化が大きい。ダッシュボードからセンターコンソールにかけてのデザインはこれまでと大きくイメージを違えるものではないが、パッケージングそのものが見直され、後席のニールームは46mmも拡大された。
さらに、乗員がより開放感を感じられるように、Aピラーから天井にかけての形状も変更。遮音ガラスやノイズを抑えるフェンダー、防音構造のダッシュボードなどで静粛性も追求された。
トランクルームの容量は、後席の後ろに大きなバッテリーを積むハイブリッドカーとしては大きめの440リッターを確保。後席の右側のみ背もたれを前方に倒すことが可能で、トランクルームとキャビンを空間的につなげられる。長尺物が積めるというのも、例えば同車のハイブリッドセダン「レクサスHS250h」(トランク容量415リッター/後席固定)に比べて、大きなアドバンテージといえる。
■ハイブリッドで燃費倍増
パワーユニットは、2.5リッターガソリンエンジン(160ps、21.7kgm)にモーター(143ps、27.5kgm)を組み合わせたハイブリッドユニットのみとなる。
ベースとなるエンジンは、先代モデルの2.4リッターエンジンに比べて排気量がアップしただけでなく、ミラーサイクル(吸気バルブを遅閉じして、圧縮比以上の膨張比を得る燃焼方式)やクールEGR(排気の一部を冷却して吸気に回す機構)などの採用で、燃焼効率も向上。加速性能を3リッターガソリン車並みとしながら、10・15モードの燃費値はクラス最高レベルの26.5km/リッター(JC08モードは23.4km/リッター)を実現した。なお、先代モデル(2.4リッターガソリン、FF車)の同値は11.4km/リッターである。
組み合わされるトランスミッションは全車CVTで、駆動方式はFFのみ。いまどきのエコカーと同様に、走行モードは燃費を優先する「ECOモード」やモーターのみで走る「EVモード」が選択可能。ナビゲーションシステムの画面には、燃費などエコドライブに関する詳しい情報も表示される。
そのほか、7つのエアバッグをはじめ、コーナリング中などに車両の姿勢を自動的に安定させる「S-VSC&TRC」や、急ブレーキ時に後続車に注意を促す「緊急ブレーキシグナル」、坂道発進での後退を防止する「ヒルスタートアシスト」などの安全装備も全車標準。あらゆるメニューの充実を図り、国内市場におけるミドル級セダン復権を狙う。
(webCG 関)
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