システム最高出力1000ps!
トヨタの「GRスーパースポーツコンセプト」とは何者だ?
2018.01.17
デイリーコラム
TS050 HYBRIDと主要パーツを共有
東京オートサロン2018でトヨタが世界初公開したTOYOTA GAZOO Racingのコンセプトカー「GRスーパースポーツコンセプト」 に驚いた人は多いだろう。見た目は、プロトタイプレーシングカーそのもの。しかも、これを単なるコンセプトではなく、そしてサーキット専用車ともせず、あくまでロードカーとして市販を前提に開発していると聞き、2度驚いたのではないだろうか。
GRスーパースポーツコンセプトは、ルマン24時間レースを含む、WECの参戦車両である「TS050 HYBRID」とほぼ同じ主要パーツで構成されている。まさに公道に舞い降りたレーシングカーなのだ。最も象徴的なのがパワートレインで、レーシング用のハイブリッドシステム「THS-R」に2.4リッターV6直噴ツインターボを組み合わせる。公表されるシステム最高出力は、なんと1000ps。つまり、「マクラーレンP1」や「アストンマーティン・ヴァルキリー」のようなハイパーカーが、日本からも誕生しようとしているのだ。すでに走行可能なテストカーが組み上げられ、開発が進められているといい、トヨタの本気を示すかのように、デザインコンセプトとともに、ボディーカウルを外した「テストカー」も同時に公開された。デザインを含め、まだ具体的な仕様などは発表されていないコンセプトカー段階ではあるが、2座のキャビンのまわりを覆うように、インタークーラーなどのメカニズムが配置される姿は迫力満点。どのようなロードカーに仕上げられるのか、想像がかき立てられる。
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速いだけでなくおもてなしも得意!?
もちろん単に高性能なだけでなく環境性能にも優れ、熱効率50%を実現。環境負荷の小さい次世代のスーパースポーツを目指している。どのような乗り味なのかは、明らかにされなかったが、東京オートサロンでプレゼンテーションを行った、TOYOTA GAZOO Racing Companyのプレジデントである友山茂樹氏は、富士スピードウェイで体験したTS050 HYBRIDのテスト走行の感想を、「異次元のパワーとスタビリティーがもたらす未体験の楽しさがあった。乗車前の緊張感が吹き飛び、運転中に思わず笑いだしてしまったほどの魅力的な体験だった」と振り返った上で、このTS050 HYBRIDの魅力を可能な限りダイレクトに(GRスーパースポーツコンセプトに)反映させ、そして扱いやすいスポーツカーにしていくとした。また、これまでのように市販車をレベルアップさせてスポーツカーをつくるのではなく、現役のレーシングカーからスポーツカーをつくるという、トヨタにとって初めての挑戦がスタートしたことも強調。開発プロセス自体も大きな挑戦、変革をもたらすものであることを示した。
発売時期や価格、販売台数などほとんどのことは明らかにされていないが、友山プレジデントは、「おそらく、最先端のIT技術を駆使した、安全で環境に優しい、コネクティッドカーになる」ともコメントしている。このモデルは、トヨタ最強のスーパーカーであるとともに、レクサス車のようなおもてなし性能も、きっと持ち合わせるのではないだろうか。TOYOTA GAZOO Racingは今年4月から「ヴィッツGRMN」を限定販売する。メカニズムに大きく手が加えられ、モータースポーツとの結びつきが強いヴィッツGRMNは、TOYOTA GAZOO Racingが目指す方向性を最も分かりやすく感じさせてくれる一台となるはずだ。まずはヴィッツでお手並みを拝見したい。
(文=大音安弘/編集=藤沢 勝)
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