トヨタがルマン24時間レースで2連覇達成

2019.06.17 自動車ニュース
ルマン24時間レースを制した、No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)。
ルマン24時間レースを制した、No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)。拡大

2019年6月15日~16日(現地時間)、フランスのサルトサーキットで第87回ルマン24時間レースが開催され、S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ組のNo.8 トヨタTS050ハイブリッドが優勝。昨年に続く2連覇を達成した。

2019年6月15日15時、トヨタのマシンを先頭に長丁場のレースがスタートした。
2019年6月15日15時、トヨタのマシンを先頭に長丁場のレースがスタートした。拡大
小林可夢偉がステアリングを握る7号車は予選トップ。決勝においても長時間にわたって1位をキープし、優勝は目前かと思われたが……。
小林可夢偉がステアリングを握る7号車は予選トップ。決勝においても長時間にわたって1位をキープし、優勝は目前かと思われたが……。拡大
クラスはLMP1、LMP2、LMGTE Pro、LMGTE Amに分かれており、ピュアレーシングカーから市販車に近いスタイルのものまで、さまざまなマシンがコース上を混走する。
クラスはLMP1、LMP2、LMGTE Pro、LMGTE Amに分かれており、ピュアレーシングカーから市販車に近いスタイルのものまで、さまざまなマシンがコース上を混走する。拡大

No.7 トヨタTS050ハイブリッドのピット。夜を徹して秒刻みのピットワークが行われる。


	No.7 トヨタTS050ハイブリッドのピット。夜を徹して秒刻みのピットワークが行われる。
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こちらはLMGTE Amクラスのチャンピオンとなったキーティング・モータースポーツのマシン「フォードGT」。
こちらはLMGTE Amクラスのチャンピオンとなったキーティング・モータースポーツのマシン「フォードGT」。拡大
総合6位でLMP2クラスを制した、No.36 アルピーヌA470ギブソンのゴールシーン。周回数は368周だった。
総合6位でLMP2クラスを制した、No.36 アルピーヌA470ギブソンのゴールシーン。周回数は368周だった。拡大
ゴール後にパレードランを行って勝利をよろこぶ、No.8 トヨタTS050ハイブリッドのドライバーたち。
ゴール後にパレードランを行って勝利をよろこぶ、No.8 トヨタTS050ハイブリッドのドライバーたち。拡大
ポディウムの中央には、前回2018年のレースと同じメンバーが立ち、トロフィーを掲げた。
ポディウムの中央には、前回2018年のレースと同じメンバーが立ち、トロフィーを掲げた。拡大

最後の最後までわからない

2018年にルマン24時間レースを制したトヨタ8号車は、13.626kmのコースを388周した。これまでの最多周回数は、アウディが2010年に記録した397周である(コース全長は現在より3m長い)。トヨタは前人未到の400周を目指して、87回目の開催となる伝統のルマン24時間レースに臨んだ。最多周回を更新すればおのずと勝利は手に入る見込みだったが、セーフティーカーが少しでも長く導入された時点でチャンスを失うほどの、ギリギリのターゲットだった。

4周目、ポールポジションからスタートし、トップを快走するトヨタ7号車のM.コンウェイが3分17秒297のファステストラップを記録した。2015年にアウディR18 e-tronクワトロ(A.ロッテラー)が記録した3分17秒475を破り、新しいラップレコードを樹立した。このことは、トヨタがレース序盤から快調に飛ばしていることを意味した。2番手にはトヨタ8号車がつける。レース開始から4時間を経過した時点での周回数は68周で、24時間で408周するペースだった。

レースが5時間を過ぎた頃から展開が荒れ始めた。ルマン初挑戦の星野 敏が駆るNo.88 ポルシェ911 RSR(LMGTE Amクラス/デンプシー・プロトン・レーシング)がNo.64 シボレー・コルベット(LMGTE Amクラス)と接触。64号車はコンクリート壁に激突し、大破した。その直後、No.3 レベリオン(LMP1クラス)が単独クラッシュを演じ、立て続けにセーフティーカーが導入される。

セーフティーカー導入とピットストップのタイミングが交錯して、トヨタ8号車と7号車の順位が入れ替わり、8号車が僅差で7号車をリードし101周目に突入した。この時点で3番手から6番手までのLMP1プライベーター勢は1周遅れとなっていた。

その後、再び7号車がトップに立つと、8号車を従えるようにして周回。8号車に最高速が伸びないトラブル(ドアが壊れ、きちんと閉まらず空気抵抗を増やしていたのが原因)が発生したためギャップは約2分に広がった。このままフィニッシュすれば7号車が優勝。レース前、「何がなんでも勝ちたい」と語っていた小林可夢偉にとっては、念願のルマン初優勝となる。

ところが、ルマンはそう簡単に7号車を勝たせてくれなかった。レースが残り1時間になろうとする頃、J-M.ロペスが駆るトヨタ7号車が突如スローダウン。7号車のステアリングホイールに「PUNCTURE(パンク)」の文字が表示されていた。2分あった8号車との差は見る見る縮まり、ピットロード入り口の手前で、中嶋一貴がドライブするトヨタ8号車が、7号車をかわしていった。

実は7号車が4輪すべてのタイヤを交換する1周前、右フロントのスローパンクチャーが発生していると判断し、1輪だけ交換してコースに復帰していたのだった。ところが実際にスローパンクチャーを起こしていたのは左フロントだった。情報を正確につかみきれず、パンクしていないタイヤを交換してコースに送り出していたのだった。今回もまた、トヨタはヒューマンエラーの呪縛から逃れることはできなかった。「焦る必要はなかったので、最初から4輪換えていればよかった。あの時点までは天国。そこからは地獄」と、村田久武TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表は悔しがった。

最初にフィニッシュラインを通過したのはトヨタ8号車で、2年連続のルマン24時間制覇となった。周回数は385周で、記録更新はならなかった。トヨタ7号車は16.9秒差の2位でゴール。3位はSMPレーシング11号車で、6周遅れだった。この結果、トヨタ8号車のドライバー(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)が、LMP1クラスのドライバーズチャンピオンになった。

木村武史、ケイ・フランチェスコ・コッツォリーノのNo.57 フェラーリ488 GTE(LMGTE Am/カー・ガイ・レーシング)はクラス6位、石川資章のNo.70 フェラーリ488 GTE(LMGTE Am/MRレーシング)はクラス11位、星野 敏のNo.88 ポルシェ911 RSRはリタイア(79周)に終わった。

決勝結果(トップ6)

1. No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)385周
2. No.7 トヨタTS050ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス)385周
3. No.11 SMPレーシング BRエンジニアリングBR1 AER(V.ペトロフ/M.アレシン/S.バンドーン)379周
4. No.1 レベリオンR13ギブソン(N.ジャニ/A.ロッテラー/B.セナ)376周
5. No.3 レベリオンR13ギブソン(T.ローラン/N.ベルトン/G.メンゼス)370周
6. No.36 アルピーヌA470ギブソン(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ)368周

クラス別トップ

・LMP1クラス:No.8 トヨタTS050ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/F.アロンソ)385周

・LMP2クラス:No.36 アルピーヌA470ギブソン(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ)368周

・LMGTE Proクラス:No.51 フェラーリ488 GTE EVO(A.ピエール・グイディ/J.カラド/D.セラ)342周

・LMGTE Amクラス:No.85 フォードGT(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)334周

(文=世良耕太/写真=TOYOTA GAZOO Racing、フランス西部自動車クラブ<ACO>)

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