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ハーレーダビッドソン・ライブワイヤー(MR)

風の音だけが聴こえる 2020.03.13 試乗記 河西 啓介 勇ましいエキゾーストノートとともに悠々とクルーズする大型アメリカンバイク。そんな既存のイメージと対極にある電動モデルが、ハーレーダビッドソンから誕生した。果たしてどんな走りが楽しめるのか、スペインのワインディングロードで確かめた。
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新しさが伝わるデザイン

2020年2月初旬、スペイン・マラガで開催されたハーレーダビッドソンの国際試乗会に参加した。その眼目はソフテイルファミリーの2020年モデル試乗だったが、2日間のテストライドを終えたあと、短時間ではあるもののハーレー初の電動モーターサイクル「LiveWire(ライブワイヤー)」に乗ることができた。

2014年に「プロジェクト・ライブワイヤー」としてプロトタイプをお披露目し、1年前、ラスベガスで行われる家電見本市「CES 2019」で市販モデルを発表。欧米では2019年秋から販売開始されている。日本人でその市販モデルに乗るのは、今回試乗会に参加したわれわれ(僕を含めた4人)が初めてとなる。

実車を初めて見たときに口をついて出てきたのは「うゎ、カッコいい!」という言葉だった。きっとバイクに興味を持つ10人が居たとしたら、そのうち9人がそう言うだろう。ライブワイヤーはまさにそんな“オーラ”をまとっていた。

“アメリカンクルーザー”の代名詞たるハーレーとはいえ、その車体構成は完全なスポーツバイクだ。アルミフレームを採用し、従来エンジンがあった場所には大きなバッテリーを搭載する。その下にモーターを備え、ベルトドライブを介して後輪を駆動する。エンジンも排気管もないシンプルでスリムな車体デザインからは、これまでのオートバイにはない“あたらしさ”が強烈に伝わる。

右のグリップにあるスタートスイッチを押すと、音もなく“起動”する。クラッチレバーやシフトペダルはないから、このままアクセルをひねれば走りだす。ハーレーのスタッフからは「十分に注意してアクセルを開けろ」と念押しされた。なにしろライブワイヤーは0-100km/h加速3.5秒という最新1000ccスーパースポーツ並みの加速力を持つのだ。

ハーレーダビッドソン初の電動モーターサイクル「ライブワイヤー」。日本では2021年までの導入が目標とされている。
ハーレーダビッドソン初の電動モーターサイクル「ライブワイヤー」。日本では2021年までの導入が目標とされている。拡大
「H-D Revelation」と名付けられたパワートレインは、振動、ノイズ、熱の発生が最小限に抑えられている。一方で、微小なパルスを伝え、走りだせる状態にあることをライダーに知らせる。
「H-D Revelation」と名付けられたパワートレインは、振動、ノイズ、熱の発生が最小限に抑えられている。一方で、微小なパルスを伝え、走りだせる状態にあることをライダーに知らせる。拡大
通信機能の搭載もセリングポイントのひとつ。ナビゲーションシステムが利用できるほか、盗難にあった際には車両の追跡も可能となる。4.3インチのカラーディスプレイは角度調節式。
通信機能の搭載もセリングポイントのひとつ。ナビゲーションシステムが利用できるほか、盗難にあった際には車両の追跡も可能となる。4.3インチのカラーディスプレイは角度調節式。拡大
オイル交換やエアフィルターなど消耗品の交換とは無縁の「ライブワイヤー」。駆動用バッテリーについては、米国の場合で5年間(走行距離無制限)の性能保証が付帯する。
オイル交換やエアフィルターなど消耗品の交換とは無縁の「ライブワイヤー」。駆動用バッテリーについては、米国の場合で5年間(走行距離無制限)の性能保証が付帯する。拡大
「ライブワイヤー」はRDRS(リフレックスディフェンシブライダーシステム)を装備。コーナリングABSとトラクションコントロール、ドラッグトルクスリップコントロールなどを統合制御し、優れた走行安定性を実現する。
「ライブワイヤー」はRDRS(リフレックスディフェンシブライダーシステム)を装備。コーナリングABSとトラクションコントロール、ドラッグトルクスリップコントロールなどを統合制御し、優れた走行安定性を実現する。拡大
走行モードは「スポーツ」「ロード」「レンジ」「レイン」のほか、ライダー自身が設定する3種類の「カスタム」を加えた全7種類から選べる。
走行モードは「スポーツ」「ロード」「レンジ」「レイン」のほか、ライダー自身が設定する3種類の「カスタム」を加えた全7種類から選べる。拡大
サスペンションは前後ともショーワ製。フロントブレーキ(写真)はブレンボのものがおごられる。強じんなアルミ製フレームも走行性能の向上に貢献している。
サスペンションは前後ともショーワ製。フロントブレーキ(写真)はブレンボのものがおごられる。強じんなアルミ製フレームも走行性能の向上に貢献している。拡大
一充電あたり最長235km走れる「ライブワイヤー」。米国の一般家庭に見られる120V電源であれば一晩で、SAE J1772規格の急速充電器を使えば60分ほどで0-100%の充電が可能となる。
一充電あたり最長235km走れる「ライブワイヤー」。米国の一般家庭に見られる120V電源であれば一晩で、SAE J1772規格の急速充電器を使えば60分ほどで0-100%の充電が可能となる。拡大

まるで“飛んでいる”かのような……

ワインディングロードを中心に1時間ほど試乗することができた。それは人生で初めての“電動スポーツライド”体験だった。アクセルを戻すと回生ブレーキが利くので、右手首の動きだけで加減速を操ることができる。クルマで言う“ワンペダルドライブ”の感覚だ。アクセルグリップを“ひねる”というアクションは変わらないが、その感覚はジョイスティックで動きを操るコントローラーのようだ。

低い速度域ではモーターのうなりとタイヤからのロードノイズが聞こえてくるが、ある速度域を超えると“風の音” だけの世界になる。まるで自分自身が道の上を“飛んでいる”ように感じられるのだ。それは電気自動車とも異なる、電動モーターサイクルならではの新鮮で感動的な体験だった。

ライブワイヤーはバッテリー充電を最短60分で完了でき、一充電あたりの最大航続距離は235kmという。価格はアメリカ国内で2万9799ドル(1ドル105円換算で約313万円)から。日本での発売および価格については「未定」となっているが、2021年までの導入を目指している、というのがじっさいのところのようだ。

(文=河西啓介/写真=ハーレーダビッドソン/編集=関 顕也)

ハーレーダビッドソン・ライブワイヤー
ハーレーダビッドソン・ライブワイヤー拡大
フレームに抱かれる車体中央の黒いシェル(冷却フィン付き)には、容量15.5kWhのリチウムイオンバッテリーがおさまっている。車体下部に見えるシルバーのコンポーネンツは駆動用モーター。なお車体色は、試乗車の「オレンジヒューズ」のほか、「イエローヒューズ」や「ビビッドブラック」などがラインナップされる。
フレームに抱かれる車体中央の黒いシェル(冷却フィン付き)には、容量15.5kWhのリチウムイオンバッテリーがおさまっている。車体下部に見えるシルバーのコンポーネンツは駆動用モーター。なお車体色は、試乗車の「オレンジヒューズ」のほか、「イエローヒューズ」や「ビビッドブラック」などがラインナップされる。拡大

【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2135×--×--mm
ホイールベース:1490mm
シート高:761mm
重量:249kg
モーター:永久磁石電動機
最高出力:106PS(78kW)/--rpm
最大トルク:116N・m(11.8kgf・m)/--rpm
一充電最大走行可能距離:235km(MIC Cityテスト値)/158km(WMTCテスト値)
価格:2万9799ドル(1ドル105円換算で約313万円)
※価格は米国仕様車、その他のスペックは欧州仕様車のもの。

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