日産いわき工場が、震災前の生産能力を回復
2011.05.17 自動車ニュース日産いわき工場が“復活宣言” V6エンジンのフル生産が可能に
日産自動車は2011年5月17日、東日本大震災で被災した同社のいわき工場(福島県)が、震災前の生産能力を回復したと発表した。
日産のいわき工場は、国内で唯一となる、同社のVQ型V6エンジン製造拠点。今年3月に発生した東日本大震災、つづく4月の大規模余震の影響で生産キャパシティが絞られていたものの、このたび復旧作業を終え、本来の能力を回復した。
“復活宣言”となった5月17日には、同社のカルロス・ゴーン取締役社長兼CEOも工場を訪れ、「震災にめげず最短時間で工場を復活させるという約束をみなさんが守ってくれたことに、大変感動した」「このいわき工場は、日本の震災復興のシンボルと言ってもいいだろう」と、現場の社員に最大級の賛辞を送った。
工場はいま、地盤沈下した床を底上げしたり、コンクリートで地割れを埋めるなどして、一応の修復を済ませてはある。
ただし、そこは1000分の1mm単位の精度が要求されるエンジン工場。ゴーン社長によれば、(地震で機器類がズレ動かないように)さらなる予防措置が必要で、今後、最大30億円を投じて地盤を強化するなどの耐震強化策を講じる予定だという。
また、工場の生産能力は回復できても、一部サプライヤーで部品供給に遅れが生じているなどの理由で、当面フル生産が行われるわけではない。
この点ゴーン社長は、「生産拠点の移動などは必要ないが、1社が1拠点だけで製造しているパーツに関しては、何らかの代替供給ルートを求めることになるだろう」とコメント。
「夏を迎えるにあたって電力供給など状況は変わるかもしれないが、これから節電プランを検討し、生産能力の維持に努めていきたい」と、復興に向けて、さらに前向きに取り組む姿勢を示した。
(webCG 関)