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ハスクバーナ・スヴァルトピレン250(MR/6MT)

粋でイキイキ! 2020.07.02 試乗記 後藤 武 ハスクバーナの新型ストリートバイク「スヴァルトピレン250」に試乗。“401”や“701”といった既存のモデルよりも排気量は小さいが、侮るなかれ。その走りはツウも納得するだけの刺激に満ちたものだった。

独特な味がある

斬新なデザインで人気となったスヴァルトピレンに250が登場した。このマシン、実はバイク好きな友人たちの間でも話題になっていて「試乗したら、どんな感じか教えて」と連絡がくるくらいだった。

エンジンはとても元気がいい。シングルの鼓動感もあるし低中速トルクもあるから、ストリートでは回転を上げなくても気持ちよく走ることができる。けれど本領を発揮するのは8000rpmぐらいから。パワーが盛り上がって鋭く加速していく。ノイジーな感じもなく澄んだフィーリングで、この回転域では非常に気分がいい。パワー感は250トップクラス。ビッグバイクから乗り換えても、まったく不足を感じない。

レブリミットは1万1000rpmぐらい。ただ、気持ちよく引っ張っていくと唐突にレブリミッターが利いてしまう。個人的にはリミッターはあまり利かせたくないので排気音やタコメーターに注意して乗っていた。それくらい勢いよく回ってしまうエンジンだということだ。

バックトルクリミッターは付いているけれど、作動は控えめ。普段のライディングではシフトダウンの時、クラッチレバーにカツンと軽いショックがあるのでバックトルクリミッターが作動したことを知る程度。乱暴にシフトダウンした時のホッピングを抑えてくれるような感じだ。

ハンドリングのキャラクターは、兄貴分たちとよく似ている。車体が軽く、ライダーの着座位置が高いからバンキング自体は軽快。ただ、トレール(タイヤの設置点とステア中心軸の距離。安定性を左右する)が大きめに設定されているため、フロントタイヤの安定感が高く、フロントが少し粘る感じがする。他のバイクにはあまり見られない味付けだが、安心してコーナーに飛び込んでいくことができる。

“黒い矢”を意味する「スヴァルトピレン」。250ccクラスのエンジンを搭載した今回のモデルは、2020年4月に発表された。
“黒い矢”を意味する「スヴァルトピレン」。250ccクラスのエンジンを搭載した今回のモデルは、2020年4月に発表された。拡大
軽量・高剛性なトレリスフレームに抱かれたエンジンは249ccの単気筒。滑らかな回転フィールを持ち味としている。
軽量・高剛性なトレリスフレームに抱かれたエンジンは249ccの単気筒。滑らかな回転フィールを持ち味としている。拡大
ヘッドランプはLED式。伝統的な“丸目”を思わせるデザインが採用されている。
ヘッドランプはLED式。伝統的な“丸目”を思わせるデザインが採用されている。拡大
メーターパネルはモノトーンの液晶タイプ。小ぶりな防風スクリーンもオプション設定されている。
メーターパネルはモノトーンの液晶タイプ。小ぶりな防風スクリーンもオプション設定されている。拡大
アップライトなポジションとパンチのある走りが持ち味の「スヴァルトピレン250」。コーナーでの安定性は意外なほど高い。
アップライトなポジションとパンチのある走りが持ち味の「スヴァルトピレン250」。コーナーでの安定性は意外なほど高い。拡大
「スヴァルトピレン250」にはボッシュ製のABSが標準装備されている。
「スヴァルトピレン250」にはボッシュ製のABSが標準装備されている。拡大
スタイリッシュなデザインのハイライトとされる黒塗りの17インチホイール。写真のフロントにはBYBRE製のブレーキが組み合わされる。
スタイリッシュなデザインのハイライトとされる黒塗りの17インチホイール。写真のフロントにはBYBRE製のブレーキが組み合わされる。拡大
個性的なデザインの樹脂製タンクカバー。その形状に合わせたラゲッジラックは標準で備わるアイテムだ。
個性的なデザインの樹脂製タンクカバー。その形状に合わせたラゲッジラックは標準で備わるアイテムだ。拡大
タンデム乗車が可能なシート。車体左前方にレイアウトされたキーロックを解除することでリア側の座面が取り外せる。
タンデム乗車が可能なシート。車体左前方にレイアウトされたキーロックを解除することでリア側の座面が取り外せる。拡大
マフラーはその短さが印象的。写真のノーマル仕様のほかに、アクラポヴィッチのオプションマフラーも用意される。
マフラーはその短さが印象的。写真のノーマル仕様のほかに、アクラポヴィッチのオプションマフラーも用意される。拡大

ビギナーでもベテランでも

興味深かったのはABSの味付け。最初はABSが作動していなのかと思ってしまったくらいにキックバックが少ない。いろいろなやり方でテストしてみるとABSの作動振幅が広く、なめらかに作動している。ゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと下がっていくような感じだ。もちろんABSの利き方には問題がなく、何度も繰り返してテストしてみたが毎回安定した制動が可能だった。

ストリートを走っていてひとつ気になったのは、ハンドルの切れ角が少ないことだった。Uターンをする時は、ハンドルやスロットル、クラッチなどいろいろと操作しなければいけないし、ホイールのジャイロ効果も少ないからふらつきやすい。上手にUターンをしたいのであれば、ハンドルを曲がる方向にフルロックさせてしまえば、ふらつきは少なくなるし、ステアリング操作に気を使わなくてよくなるからスロットルとクラッチの操作だけに専念できる。

ステアリングが十分に切れているとバンク角はクラッチとスロットルの操作でコントロールできる。パワーをかければバイクが起き上がるからだ。ところがハンドルの切れ角が少ないと旋回半径も大きくなってしまうし、パワーをかけても車体が起き上がらないからUターンが難しくなってしまうのである。仮に足をついたままUターンをするとしても同じことだ。曲がれる半径はハンドルの切れ角によって決まってしまうから、やはりストリートであればある程度は切れた方が扱いやすい。

普段の取り回しでもハンドルの切れ角は多いほうが扱いは楽なことは確実。せっかく車体が軽いのに切れ角が少ないともったいないと思ってしまう。スヴァルトピレン250のハンドルを切ってみると、まだクリアランスには余裕がある。もう少しこの部分を詰めたら取り回しとUターンは、もっと楽にできるようになる。自分がオーナーだったらストッパーを少し削って調整してしまうだろう。

スタイル優先のバイクのように見えるかもしれないけれど、実際は相当ポテンシャルが高いし街中でも乗りやすい。ビギナーでも苦労することなく乗ることができるマシンだが、個人的には魅力的なセカンドバイクを探しているベテランにぜひ乗ってみていただきたい。バイクにうるさいライダーでも十分に満足できるマシンである。

(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=関 顕也)

ハスクバーナ・スヴァルトピレン250
ハスクバーナ・スヴァルトピレン250拡大
フローティング式のフェンダーが目を引くリアまわり。チェーンやスプロケットまでブラックで統一されている。
フローティング式のフェンダーが目を引くリアまわり。チェーンやスプロケットまでブラックで統一されている。拡大

【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:--mm
シート高:835mm
重量:153kg
エンジン:249cc 水冷4ストローク単気筒DOHC 4バルブ
最高出力:31.3PS(23kW)/--rpm
最大トルク:--N・m(--kgf・m)/--rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:59万9000円

後藤 武

後藤 武

ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。

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