2021年注目のF1ドライバー角田裕毅が会見 「ハミルトンの7冠を抜きたい」

2020.12.21 自動車ニュース
2021年にアルファタウリ・ホンダからF1デビューを飾ることになった角田裕毅選手(写真)。
2021年にアルファタウリ・ホンダからF1デビューを飾ることになった角田裕毅選手(写真)。拡大

2020年12月21日、2021年にアルファタウリ・ホンダでF1デビューを飾る角田裕毅(つのだゆうき)選手のオンライン取材会が開催され、現在の心境やレースに向けての抱負が語られた。

7年ぶりの日本人F1ドライバー角田裕毅

モータースポーツに興味がある人ならともかく、「角田裕毅」というレーシングドライバーの一般的な知名度はまだ高くはないだろう。

2000年神奈川県生まれの20歳。年端もいかぬ4歳からカートを始め、全日本カート選手権などで活躍したという、王道ともいえるキャリアのスタートであった。彼の活動をサポートするホンダとの付き合いは、2016年に鈴鹿サーキットレーシングスクール卒業後、ホンダの若手ドライバー育成プログラムに入ってから。同年FIA F4選手権にスポット参戦し四輪デビューを果たし、2017年から2年間フル参戦。2018年にはFIA F4でシリーズチャンピオンに輝いた。

2019年からはフィールドを海外に移し、この時からF1でホンダとパートナーを組むレッドブルのジュニアドライバーにもなる。FIA F3シリーズ9位、ユーロフォーミュラ・オープンで4位という成績をおさめ、今年はF1直下のカテゴリー、FIA F2に打って出た。

F2では、かつて佐藤琢磨とともに英国F3チャンピオンを獲得したこともあるトレバー・カーリン率いるカーリンから参戦。世界中から百戦錬磨の若手が集う同シリーズで、シーズン当初は安定感を欠くも徐々に勝負勘をつかみだし、シルバーストーンでの第5戦、レース2で初優勝。最終戦までにポールポジション4回と3勝、ドライバーズランキングで3位という好成績を残した。

F1ドライバーになるためには、「スーパーライセンス」が必要となる。FIA(国際自動車連盟)は2016年から、世界各国の各カテゴリーごとにポイントを振り分け、一定期間で一定数以上のポイントを獲得したドライバーにこのライセンスを与えるルールとしているが、今季の活躍もあり、角田はこの条件を満たすことができた。

さらにレッドブルの“ドライバー人事担当”ともいえるドクター・ヘルムート・マルコのお眼鏡にかなったことで、2021年、晴れてアルファタウリ・ホンダからF1デビューを飾ることとなった。F1のグリッドに日本人ドライバーがつくのは、小林可夢偉以来、7年ぶりとなる。

2020年11月にはイモラで2018年型のトロロッソ・ホンダを走らせ、300km以上のマイレージを稼いでいた角田選手。アブダビGP後の若手ドライバーテスト(写真)では、初めての最新型F1マシンをドライブ。ブレーキキングの際にF2では感じたことがないほどの強大な力がかかるため、フィジカルでの首の強化をシーズンオフの課題としていた。
2020年11月にはイモラで2018年型のトロロッソ・ホンダを走らせ、300km以上のマイレージを稼いでいた角田選手。アブダビGP後の若手ドライバーテスト(写真)では、初めての最新型F1マシンをドライブ。ブレーキキングの際にF2では感じたことがないほどの強大な力がかかるため、フィジカルでの首の強化をシーズンオフの課題としていた。拡大

速さとオーバーテイク、タイヤマネジメント力の高さ

F1最終戦アブダビGP直後に行われた若手ドライバー向けのテストでは、シーズンを戦い終えたばかりのアルファタウリをドライブ。精力的に走り込み、5番手タイムを記録した角田選手がこのたび帰国し、記者団の取材に応じた。

12戦、24レースが組まれた今年のF2では、F1参戦に必要なスーパーライセンス獲得を目指し、血気盛んなライバルたちと覇を競い合った。結果、ランキング2位だったカラム・アイロット選手のわずか1点差、タイトルを取ったミック・シューマッハー選手とは15点差となる、シーズン3位の座を射止め、しっかりとスーパーライセンスの条件をクリアした。

自分のどの部分が評価され、F1昇格となったと思うかとの質問には、「F2で3勝できたということもあるが、特に予選での走り、ポールを4回取れたのがマルコさんに気に入ってもらえたと思う」と自己分析をしてみせた。

角田選手の武器は速さだけではない。切れ味抜群のオーバーテイクも彼の持ち味のひとつだ。特に11月のバーレーン戦では、シーズン終盤のプレッシャーからか予選でスピンを喫し最後尾グリッドとなるも、レースとなれば次々と前車をかわして6位入賞を果たしてしまった。単に抜くだけでなく、タイヤマネジメントを怠らなかったからこそなしえた挽回であり、このことがF1でも重要なスキルとなってくるのは言うまでもない。

彼を評価したのはレッドブルだけではない。F2選手権での最優秀新人賞である「アントワーヌ・ユベール・アワード」、そしてFIAの「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」も受賞。「F1をはじめとするルーキーの中から、自分がルーキー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは驚きだった。うれしい気持ちでいっぱい」と喜びを語った。

表情にまだあどけなさが残る20歳。コロナ禍でのロックダウン中には、「友達とオンラインゲームを楽しんだ」とか。モータースポーツを戦ううえでのスキルやノウハウ、そして強いメンタルをあっという間に吸収しては、しっかりと結果を残している、頼もしいドライバーである。
表情にまだあどけなさが残る20歳。コロナ禍でのロックダウン中には、「友達とオンラインゲームを楽しんだ」とか。モータースポーツを戦ううえでのスキルやノウハウ、そして強いメンタルをあっという間に吸収しては、しっかりと結果を残している、頼もしいドライバーである。拡大

「ハミルトンと戦ってみたい」

2021年、ついに最高峰カテゴリーに到達した角田選手は、どのように戦っていくつもりなのだろうか。彼の頭にあるプランを話してくれた。

「シーズン序盤から中盤までは、ルーキーらしく、ミスをしてもいいと思うくらいの走りで限界を探りたい。経験豊富なチームメイトであるピエール・ガスリーから吸収しつつ、自分のポテンシャルでどこまでいけるのかを見極め、そして終盤には、学んだことを成長につなげ、1戦1戦で改善していくような流れとしたい。もちろん優勝したいが、チームのためにポイントを獲得していきたい」

来季、F2からF1に昇格する“仲間”のシューマッハー選手、ニキータ・マゼピン選手はハースからデビューする。今季の戦闘力やランキングからすれば、角田選手のアルファタウリのほうが上であり、レッドブルのジュニアドライバーということで、とても恵まれた環境にいると思われがちである。しかし彼自身「相応の結果が出せないと、(ジュニアドライバー以外の)他のドライバーと変わらない」とし、厳しい現実についてもしっかりとわきまえているのが印象的だった。

戦ってみたいドライバーの筆頭は、「自分が7~8歳の時にマクラーレンをドライブしているのを見たルイス・ハミルトン選手。彼が今年達成した7冠の記録を抜くことが野望ですね」。志は高く、けれどレースでは思い切りよく。失敗から学ぶ謙虚さと、あっという間に吸収してしまう伸び代を感じさせる、頼もしいドライバーである。

(文=bg/写真=Getty Images / Red Bull Content Pool)

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