【F1 2021】最終戦アブダビGP続報:フェルスタッペン、“最強ドライバー”のハミルトンを倒し初戴冠

2021.12.13 自動車ニュース
F1最終戦アブダビGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真)。ファイナルラップでの劇的な逆転で見事ワールドチャンピオンの称号を勝ち取った。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1最終戦アブダビGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真)。ファイナルラップでの劇的な逆転で見事ワールドチャンピオンの称号を勝ち取った。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2021年12月12日、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われたF1世界選手権第22戦(最終戦)アブダビGP。史上2度目の同点決戦は、ファイナルラップの大逆転でドラマチックなエンディングを迎えた。

ポールポジションからスタートしたフェルスタッペン(写真)は、ルイス・ハミルトンにトップを奪われ苦しいレース展開を強いられるも、終盤のセーフティーカーで奇跡の大逆転に成功。2位にハミルトンを従えゴールし、初タイトルを手にした。22戦して表彰台18回、このうち優勝10回、残りはすべて2位。ポディウムに立てなかったのは、タイヤブローに泣いたアゼルバイジャンGP、ハミルトンと接触しリタイアしたイギリスGPとイタリアGP、そしてボッタスに追突され9位に終わったハンガリーGPと、いずれもクラッシュやトラブルによるもの。つまり不測の事態さえ起こらなければ優勝か2位になっていたことになる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ポールポジションからスタートしたフェルスタッペン(写真)は、ルイス・ハミルトンにトップを奪われ苦しいレース展開を強いられるも、終盤のセーフティーカーで奇跡の大逆転に成功。2位にハミルトンを従えゴールし、初タイトルを手にした。22戦して表彰台18回、このうち優勝10回、残りはすべて2位。ポディウムに立てなかったのは、タイヤブローに泣いたアゼルバイジャンGP、ハミルトンと接触しリタイアしたイギリスGPとイタリアGP、そしてボッタスに追突され9位に終わったハンガリーGPと、いずれもクラッシュやトラブルによるもの。つまり不測の事態さえ起こらなければ優勝か2位になっていたことになる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
このレースを最後にF1から撤退するホンダにとって、フェルスタッペンのタイトルは夢のような“お土産”となった。1991年のアイルトン・セナ以来30年ぶり、6度目となるドライバーズタイトル獲得。レッドブルにとっては2013年にセバスチャン・ベッテルが取って以来の栄冠となる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
このレースを最後にF1から撤退するホンダにとって、フェルスタッペンのタイトルは夢のような“お土産”となった。1991年のアイルトン・セナ以来30年ぶり、6度目となるドライバーズタイトル獲得。レッドブルにとっては2013年にセバスチャン・ベッテルが取って以来の栄冠となる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
8つ目のタイトルを目前にして敗れたメルセデスのハミルトン(写真)。予選2位からトップに立ちレースの主導権を握ったが、終盤のセーフティーカーで番狂わせが起き、首位の座とチャンピオンの称号をフェルスタッペンに明け渡した。メルセデスは8年連続でコンストラクターズチャンピオンに輝いた。(Photo=Mercedes)
8つ目のタイトルを目前にして敗れたメルセデスのハミルトン(写真)。予選2位からトップに立ちレースの主導権を握ったが、終盤のセーフティーカーで番狂わせが起き、首位の座とチャンピオンの称号をフェルスタッペンに明け渡した。メルセデスは8年連続でコンストラクターズチャンピオンに輝いた。(Photo=Mercedes)拡大

同点の頂上決戦、待ったなし

最終戦を残すのみとなった段階で、2人のトップドライバーがぴったり369.5点で並ぶというのだから、2021年シーズンがいかに接戦だったかということが分かる。タイトル争いが最終戦にもつれ込んだのは過去何度もあったが、同点決戦は47年前に1回あったきりで、70年を超えるF1の歴史のなかでも2度目という極めてまれなケースであった。

初戴冠を狙う24歳のオランダ人マックス・フェルスタッペンと、前人未到の8度目のタイトルを狙う36歳のイギリス人ルイス・ハミルトン。この2人が、当代きってのグレートドライバーであることに異論の余地はないが、世代も違えば、出自もスタイルも異なるのが実におもしろい。

1985年生まれのハミルトンは、父アンソニーからプレゼントされたカートをきっかけにモータースポーツの世界に足を踏み入れ、マクラーレンの代表だったロン・デニスに才能を買われF1への切符を手にした。デビュー2年目の2008年に早くもワールドチャンピオンとなるも、2013年にマクラーレンからメルセデスに移籍したことで転機が訪れる。その後はメルセデスとともに勝利を重ね、2020年にはミハエル・シューマッハーの大記録7冠に到達。さらに103勝、103回のポール記録など数々の最多レコードを塗り替えてきた。若いころは荒削りだったドライビングも年を重ねるごとに完成度が高まり、昨年サキールGPをコロナ感染で欠場するまでは48戦連続でリタイアなし、表彰台41回という、驚異的な安定感と好成績を誇ってきた。まさに現役最強のドライバーである。

対する1997年生まれのフェルスタッペンは、元F1ドライバーの父ヨスにより、レーサーとしての技能やメンタリティーを徹底的にたたき込まれたサラブレッド。母親のソフィー・クンペンもカート選手として名をはせ、ジェンソン・バトンやヤルノ・トゥルーリらと競い合ったキャリアを持つという、レース一家の出である。2015年、史上最年少17歳165日でトロロッソからF1デビュー。翌年途中にレッドブルに昇格すると、その最初のレースで初優勝を飾るなど早々と非凡な才能を開花。キャリア7年目にして19勝を記録していた。一貫して“スーパーアグレッシブなドライビング”を身上とし、前戦サウジアラビアGPのようにクラッシュや接触で物議を醸すことも多々あるものの、見るものを熱狂させる鮮烈な走りで、次世代チャンピオン候補の筆頭とされてきた。

今季最後の一戦で、より多くのポイントを獲得したほうが栄冠を手にするというシンプルな条件。しかし両者が無得点に終わると、勝利数で1つ多いフェルスタッペンが2021年の覇者となる。新旧トップドライバーによる待ったなしの頂上決戦。このレースを最後にF1を去るホンダにとっても、ラストランで30年ぶりのタイトルを奪い、有終の美を飾りたいところだった。

このレースを3位で終えたのは、予選5位からスタートしたフェラーリのカルロス・サインツJr.(写真)。セルジオ・ペレスのレッドブルがリタイアしたことで表彰台が転がり込み、2015年に同じトロロッソでデビューしたフェルスタッペンの初戴冠をポディウムで祝福した。昨季ランキング6位と絶不調だったフェラーリは、第18戦メキシコシティGPを終えてマクラーレンを抜きコンストラクターズランキング3位に躍り出て、最後までそのポジションを守り通した。(Photo=Ferrari)
 
このレースを3位で終えたのは、予選5位からスタートしたフェラーリのカルロス・サインツJr.(写真)。セルジオ・ペレスのレッドブルがリタイアしたことで表彰台が転がり込み、2015年に同じトロロッソでデビューしたフェルスタッペンの初戴冠をポディウムで祝福した。昨季ランキング6位と絶不調だったフェラーリは、第18戦メキシコシティGPを終えてマクラーレンを抜きコンストラクターズランキング3位に躍り出て、最後までそのポジションを守り通した。(Photo=Ferrari)
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フェルスタッペン、圧巻のラップでポール奪取

2030年までの延長が決まったアブダビGP。2009年の初開催以来、追い抜きが難しい、つまらないと評判が悪かったヤス・マリーナのコースが今年改修され、2つのシケインがなくなり、流れるような高速のターンが採り入れられた。

ハイスピード化されたサーキットでは、メルセデスが若干リードしてプラクティスが進み、いよいよ今年最後の予選へ。チームメイトのセルジオ・ペレスのスリップストリームを使いながら、フェルスタッペンが圧巻の最速タイムをたたき出し、値千金の今季10回目、通算13回目のポールポジションを獲得。Q2でミディアムタイヤを傷めてしまい、決勝は戦略上やや不利なソフトでスタートすることとなったが、それでもタイトルに最も近い場所についたことには違いなかった。

0.371秒遅れて宿敵ハミルトンが2位。素直にフェルスタッペンの速さを認めつつも、最前列からミディアムを履いてスタートするレースでの挽回を誓った。

シーズン終盤調子を落としていたマクラーレンが息を吹き返し、ランド・ノリスが3位。フェルスタッペンをしっかりサポートしたレッドブルのペレスが4位で、メルセデスのバルテリ・ボッタスは6位と不調に終わった。

フェラーリ勢は、カルロス・サインツJr.5位、シャルル・ルクレールは7位。アルファタウリの角田裕毅は、通常の予選で今季初めてチームメイトを上回り8位からレースに臨むこととなった。アルピーヌのエステバン・オコン9位、マクラーレンのダニエル・リカルドは10位からの出走となった。

このレースの助演男優賞は、レッドブルのペレス(写真前)で決まりだろう。予選でフェルスタッペンにスリップストリームを使わせ、チームメイトのポール奪取に貢献。レースでは4位からスタートし、すぐに3位に上昇すると、その後はハミルトン(同後ろ)の行く手を阻むなどフェルスタッペンをサポートした。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
このレースの助演男優賞は、レッドブルのペレス(写真前)で決まりだろう。予選でフェルスタッペンにスリップストリームを使わせ、チームメイトのポール奪取に貢献。レースでは4位からスタートし、すぐに3位に上昇すると、その後はハミルトン(同後ろ)の行く手を阻むなどフェルスタッペンをサポートした。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

ハミルトンがトップ、フェルスタッペンの反撃

最前列にチャンピオン候補2人。役者はそろい、舞台は整った。

雌雄を決する58周のレースは、ミディアムタイヤを履くハミルトンが抜群のスタートでトップに立ったことで、メルセデス陣営に有利に運ぶ展開。レッドブル勢は、2位に落ちたフェルスタッペン、3位に上がったペレスととともに、反撃を仕掛ける立場となった。

一発目の反撃は1周目。フェルスタッペンがターン6でハミルトンのインを突くも、コース外に押し出された格好のハミルトンが首位をキープ。この一件は審議の対象とならず、2位フェルスタッペンは次のチャンスをうかがわざるを得なかったのだが、その機会はなかなか訪れず、逆に先頭のハミルトンは10周して3.3秒、12周して5秒とリードを広げるばかり。

14周目、リアタイヤが苦しくなっていたフェルスタッペンがピットに入り、ソフトからハードに変更すると、メルセデスもカウンターを打って翌周ハミルトンにハードを与え、フェルスタッペンの前に居座り続けた。

レッドブルの2回目の反撃は、ベテランのペレスによる強烈なディフェンスだった。20周を過ぎ、まだタイヤを交換していない暫定首位のペレスの後ろにハミルトンが追いつくと、自らの役割を心得ているペレスは、必死にハミルトンを抑え込もうと抜きつ抜かれつで応戦。その間にフェルスタッペンが見る見る差を詰め、21周目、ペレスに代わってハミルトンの真後ろにつけることができた。

ルーキーイヤーの締めくくり、最終戦アブダビGPで輝いたのがアルファタウリの角田裕毅(写真前)。プラクティスでも好調でチームメイトのピエール・ガスリーを上回り、予選ではガスリーがブレーキ不調でQ2落ちの12位となる一方、角田はミディアムタイヤでQ3に進出し8位と健闘。トラックリミット越えでベストタイムを取り消されなければ6番グリッドにつけたほど力強い走りを見せていた。レースではポイント圏内をキープしながら、セーフティーカーのタイミングで4位に上がり、自身最高位でシーズンを終えることができた。ガスリーは5位入賞。チームはコンストラクターズランキング6位と、昨季より1つ上で一年を終えることができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ルーキーイヤーの締めくくり、最終戦アブダビGPで輝いたのがアルファタウリの角田裕毅(写真前)。プラクティスでも好調でチームメイトのピエール・ガスリーを上回り、予選ではガスリーがブレーキ不調でQ2落ちの12位となる一方、角田はミディアムタイヤでQ3に進出し8位と健闘。トラックリミット越えでベストタイムを取り消されなければ6番グリッドにつけたほど力強い走りを見せていた。レースではポイント圏内をキープしながら、セーフティーカーのタイミングで4位に上がり、自身最高位でシーズンを終えることができた。ガスリーは5位入賞。チームはコンストラクターズランキング6位と、昨季より1つ上で一年を終えることができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
アルファ・ロメオのキミ・ライコネン(写真)は、このレースで20年のGPキャリアに終止符を打った。その才能に最初に目をつけたのは、現役最後の3年間を過ごしたザウバー(つまりアルファ・ロメオ)の創設者ペーター・ザウバー。レース経験が少ないと批判を受けながら2001年にザウバーでF1デビュー、初戦でいきなり6位入賞を果たし、懐疑的な人々を黙らせた。その後マクラーレン、フェラーリと渡り歩き、2007年には1点差でワールドチャンピオンに輝く。今のところフェラーリでタイトルを取った最後のドライバーである。F1の政治的な空気に嫌気が差しラリーなどへ転向するも、2012年にロータスからF1復帰、2014年から5年間再びスクーデリアに在籍した。出走回数349戦は歴代1位。通算21勝、ポールポジション18回、ファステストラップ46回といったそうそうたる記録に、マイペースな本人はほとんど興味を示さない。言動のすべてが個性的で、スキルは天下一品。彼の無線での名言「分かってるから、オレを放っておいてくれ!」をもじり、チームクルーはマシンに「これからは放っておくから」とメッセージを添えて送り出した。最後のレースでは、スタート前にセレモニーが開かれた。予選18位、レースではブレーキトラブルでリタイア。42歳になった「アイスマン」は、多くに惜しまれながら静かにF1ドライバーとしての生活を終えた。(Photo=Alfa Romeo Racing)
アルファ・ロメオのキミ・ライコネン(写真)は、このレースで20年のGPキャリアに終止符を打った。その才能に最初に目をつけたのは、現役最後の3年間を過ごしたザウバー(つまりアルファ・ロメオ)の創設者ペーター・ザウバー。レース経験が少ないと批判を受けながら2001年にザウバーでF1デビュー、初戦でいきなり6位入賞を果たし、懐疑的な人々を黙らせた。その後マクラーレン、フェラーリと渡り歩き、2007年には1点差でワールドチャンピオンに輝く。今のところフェラーリでタイトルを取った最後のドライバーである。F1の政治的な空気に嫌気が差しラリーなどへ転向するも、2012年にロータスからF1復帰、2014年から5年間再びスクーデリアに在籍した。出走回数349戦は歴代1位。通算21勝、ポールポジション18回、ファステストラップ46回といったそうそうたる記録に、マイペースな本人はほとんど興味を示さない。言動のすべてが個性的で、スキルは天下一品。彼の無線での名言「分かってるから、オレを放っておいてくれ!」をもじり、チームクルーはマシンに「これからは放っておくから」とメッセージを添えて送り出した。最後のレースでは、スタート前にセレモニーが開かれた。予選18位、レースではブレーキトラブルでリタイア。42歳になった「アイスマン」は、多くに惜しまれながら静かにF1ドライバーとしての生活を終えた。(Photo=Alfa Romeo Racing)拡大

レッドブルに起きた2つの「奇跡」

レッドブルの絶妙なチームプレイで、トップ争いは振り出しに戻ったかに見えたが、いやいや、7冠王者をなめてはいけない。同じハードタイヤを履く1位ハミルトンと2位フェルスタッペンの差は、2秒、3秒と再び広がりはじめるのだった。

36周目、このレースを最後にF1を離れるアルファ・ロメオのアントニオ・ジョビナッツィがコース脇に止まったことでバーチャルセーフティーカー。状況を打開するため、レッドブルはフェルスタッペンとペレスをピットに呼び、新しいハードを与えた。これでハミルトンのリードは5秒から一気に20秒に開いたが、フェルスタッペンには、ニュータイヤでの追い上げ以外に逆転の術(すべ)はなかった。

フェルスタッペンは、ファステストラップを更新して猛追を始めるが、計算では1周につき0.8秒も速くないと追いつくことはできない。しかも、相手がタイヤマネジメントにたけたハミルトンとなれば、レッドブルが逆転するには奇跡が必要と思われた。

残り15周で14秒差、ラスト10周で11秒差。そして残り5周となったところで、その「奇跡」が2度も起きた。ニコラス・ラティフィのウィリアムズがクラッシュしたことでセーフティーカーが出ると、レッドブルは躊躇(ちゅうちょ)なく動き、2位フェルスタッペン、3位ペレスにソフトタイヤを装着。先頭のハミルトンはといえば、先んじてピットに入るとリードを失ってしまうため、使い古しのハードでコースにとどまることしかできなかった。

レッドブルの2つ目の奇跡は、FIA(国際自動車連盟)のレースディレクター、マイケル・マシからの、まさに「天からの声」だった。セーフティーカーラップ当初、マシは周回遅れのマシンの先行を許さなかったため、1位ハミルトンと2位フェルスタッペンの間には5台もの隊列が連なっていた。だが徐行中にマシの指示は180度変わり、この5台のみがラップ遅れを取り戻すことを許されたのだ。

この結果、くたびれたハードタイヤのハミルトンの真後ろに、新品のソフトを履くフェルスタッペンがつくという、レッドブルにとってまたとないチャンスが到来した。セーフティーカーが退くと、たった1周だけのスプリントレースがスタート。猪突(ちょとつ)猛進のフェルスタッペンは、ヘアピン状のターン5でついに首位の座を奪い去った。ハミルトンも負けじと並びかけるが、タイヤの違いは歴然としていた。

レース前に握手を交わしたのは、メルセデスのトト・ウォルフ代表(写真左)とレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表(同右)。2014年のハイブリッド規定開始以来、2つの異なるチームがこれだけ拮抗(きっこう)してシーズンを戦ったのは今季が初めてということもあり、チーム首脳間の舌戦もヒートアップした一年となった。イギリスGPでのハミルトンとフェルスタッペンの接触や、パワーユニットやリアウイングの違反を疑う声など、コース外での論争が続いたが、最終戦でも、メルセデスがレース終盤のセーフティーカーの手順を巡り抗議し、FIA(国際自動車連盟)がそれを却下するという、今シーズンを象徴するような出来事が起きていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
 
レース前に握手を交わしたのは、メルセデスのトト・ウォルフ代表(写真左)とレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表(同右)。2014年のハイブリッド規定開始以来、2つの異なるチームがこれだけ拮抗(きっこう)してシーズンを戦ったのは今季が初めてということもあり、チーム首脳間の舌戦もヒートアップした一年となった。イギリスGPでのハミルトンとフェルスタッペンの接触や、パワーユニットやリアウイングの違反を疑う声など、コース外での論争が続いたが、最終戦でも、メルセデスがレース終盤のセーフティーカーの手順を巡り抗議し、FIA(国際自動車連盟)がそれを却下するという、今シーズンを象徴するような出来事が起きていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
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最強ドライバーを倒すということ

フェルスタッペンが先頭でチェッカードフラッグを受けた瞬間、新チャンピオンが誕生した。最終戦のファイナルラップの大逆転、ドラマチックなエンディング、歓喜と絶叫、笑顔と涙。レッドブルやホンダのスタッフ、“オレンジアーミー”ことオランダの大応援団、そして世界中のモータースポーツファンが待ち望んでいた、新たな時代を切り開くであろう王者の出現だった。

最後の1周で8冠の大記録が手からこぼれたハミルトンは、しばしマシンから降りることすらできなかったが、気丈にもフェルスタッペンのタイトルをたたえ、自らの敗北を必死に受け入れようとしているようだった。

数々の記録を打ち立ててきた最強ドライバーのハミルトンを打ち負かすということは、並大抵のドライバーでは成し得ないことだ。2016年にメルセデスでタイトルを勝ち取ったニコ・ロズベルグは、チームメイトであったハミルトンの強さと怖さを十分に分かっていたからこそ、頂点を極めた直後に引退を決断した。1度でもこれだけ大変なのに、2度もハミルトンを破ることはできない、そう思ったからだった。

ハミルトンを王座から引きずり下ろすためには、速さのみならず、長いシーズンにあっても決して自分を曲げず、信じ続けることのできる強靱(きょうじん)なメンタリティーが必要とされるのだ。フェルスタッペンには、そのいずれもが備わっているということに、疑いの余地はないだろう。

レギュレーションが大幅に変わる2022年。ホンダの名前が消えるのは寂しい限りだが、フェルスタッペンのさらなる成長と、ハミルトンの反攻には、大いに期待したいところだ。

(文=bg)

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