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第679回:SUVの歴史を築きブームをけん引してきたレジェンドSUV 5選

2022.03.14 エディターから一言
ブームを超えて、もはやスタンダードとなりつつあるSUV。そのSUVの歴史を築いてきた名作を5モデル紹介する。
ブームを超えて、もはやスタンダードとなりつつあるSUV。そのSUVの歴史を築いてきた名作を5モデル紹介する。拡大

今やブームの域を超えて、乗用車の一ジャンルとして完全に地位を確立した感のあるSUV。特にプレミアムブランドでは、ラインナップの中核にもなりつつあるようだが、今回はそんなSUVの歴史を築いてきた名作を、5モデル紹介しよう。

1960年代に、北米で販売促進を目的に展開された「ウィリス・ジープ ワゴン」のポスター。高い実用性や多様性、頑丈なスチールボディー、4WDによる雪道やぬれた路面での優れた走破性などがうたわれている。SUVの語源には諸説あるが、1980年代のアメリカ発祥とされることが多い。
1960年代に、北米で販売促進を目的に展開された「ウィリス・ジープ ワゴン」のポスター。高い実用性や多様性、頑丈なスチールボディー、4WDによる雪道やぬれた路面での優れた走破性などがうたわれている。SUVの語源には諸説あるが、1980年代のアメリカ発祥とされることが多い。拡大
1981年に、「レンジローバー」が仏のファッション誌『Vogue』の誌面を飾った。当時、ランコムとイェーガーの1981年春コレクションを紹介するのに最適な“モデル”として起用されたという。撮影車両は「ヴォーグブルーメタリック」に塗られ、クルミのドアキャップやカーペットが敷かれたラゲッジスペース、特別設計のピクニックバスケットなどを備えていた。
1981年に、「レンジローバー」が仏のファッション誌『Vogue』の誌面を飾った。当時、ランコムとイェーガーの1981年春コレクションを紹介するのに最適な“モデル”として起用されたという。撮影車両は「ヴォーグブルーメタリック」に塗られ、クルミのドアキャップやカーペットが敷かれたラゲッジスペース、特別設計のピクニックバスケットなどを備えていた。拡大

SUVという呼び名はアメリカが発祥?

現代につながるSUVをさかのぼってみると、その歴史は第2次大戦後からスタートしたものであり、ほかのジャンルと比べてしまうと決して古いものではない。また、「スポーツ・ユーティリティー・ビークル(Sport Utility Vehicle)」の頭文字から命名されたSUVの定義は比較的あいまいなもので、対象となるモデルもかなり広範囲にわたるようだ。

もともとは、本格的なオフロード走行も可能なクロスカントリービークルに、快適で豪華なキャビンを組み合わせたものをRV(Recreational Vehicle=休暇や楽しみのためのクルマ)と呼んでいたが、いつしかそれがSUVと呼ばれるようになった。SUVの語源やどのモデルが使用し始めたかには諸説あるが、1980年代のアメリカ発祥とされることが多い。

今世紀以降は乗用車のモノコック用プラットフォームを流用し、リフトアップされたサスペンションと大径のホイール&タイヤを組み合わせたモデルが多数を占めている。今回はそんなSUVの歴史をひも解いていく。

ウィリス・ジープ ワゴン
ウィリス・ジープ ワゴン拡大
1946年にジープの多目的車両として登場した「ステーションワゴン」。当初は後輪駆動車のみのラインナップだったが、1949年に四輪駆動車が追加設定された。写真は1949年モデル。
1946年にジープの多目的車両として登場した「ステーションワゴン」。当初は後輪駆動車のみのラインナップだったが、1949年に四輪駆動車が追加設定された。写真は1949年モデル。拡大
当時のステーションワゴンは木製の外板が主流で、「ジープ ステーションワゴン」のスチールボディーは、丈夫でメンテナンスが容易だと評判になった。ウッディーな外装のデコレーションは、根強い木製ボディーの人気に対応したものといえる。
当時のステーションワゴンは木製の外板が主流で、「ジープ ステーションワゴン」のスチールボディーは、丈夫でメンテナンスが容易だと評判になった。ウッディーな外装のデコレーションは、根強い木製ボディーの人気に対応したものといえる。拡大

SUVの元祖「ウィリス・ジープ ワゴン」

今からちょうど80年前、第2次世界大戦の真っただ中である1941年にアメリカで誕生した軍用小型機動車「JEEP(ジープ)」は、連合軍の勝利の一端を担ったとまで称される成功作となった。

その走破性と利便性は第2次大戦後にも重宝がられ、戦時中から開発・生産を受託していたメーカーのひとつ、ウィリス オーバーランド社が、独自に商標登録したジープを民生向けに生産し始めた。

そして新たなモデル展開も行った。そのなかにはフリーランスの工業デザイナー、ブルックス・スティーヴンスの提案に基づいて開発され、1946年に発売されたスチール製クローズドボディー版「ジープ ワゴン」も含まれていたことから、これがSUV前史の幕開けともいわれているようだ。

ちなみに、そこからさかのぼること11年の1935年には、シボレーが初代「サバーバン」を発売しているが、こちらは旧式の後輪駆動トラックにワゴンボディーを架装したにすぎないことから、ここではジープ ワゴンをSUV創成期の開祖とさせていただいた。

フォード・ブロンコ
フォード・ブロンコ拡大
1966年に登場したフォードのオフローダー「ブロンコ」。初代モデルは1977年まで生産されたロングセラーモデルとなったが、1996年の5代目モデルを最後にいったんその歴史を閉じた。
1966年に登場したフォードのオフローダー「ブロンコ」。初代モデルは1977年まで生産されたロングセラーモデルとなったが、1996年の5代目モデルを最後にいったんその歴史を閉じた。拡大
SUV人気の高まりを背景に、ラダーフレームを採用する本格クロカンとして2020年に「ブロンコ」が復活。北米ではバックオーダーを抱えるほどの人気を博している。
SUV人気の高まりを背景に、ラダーフレームを採用する本格クロカンとして2020年に「ブロンコ」が復活。北米ではバックオーダーを抱えるほどの人気を博している。拡大

21世紀に完全復活「フォード・ブロンコ」

多目的小型トラックや4WD機動車由来のクロスカントリーカーに、乗用車としても使用可能なボディーを組み合わせたのではなく、企画の初期段階から乗用車としての資質を織り込んで開発された最初のモデルは、1965年に“1966年モデル”としてデビューしたフォードの初代「ブロンコ」といわれている。

母国アメリカで「アーリーブロンコ」と呼ばれる初代ブロンコは、ドライブトレインの一部で、同じくフォードの「F-100」トラックのコンポーネンツを流用するものの、ボディーはもちろんのことフレームやサスペンションも専用設計とされた。

また1966年には、直6エンジンに加えて、パワフルなV8も選択可能となり、それまでオンロードでの遅さが指摘されていたクロスカントリーカーのイメージを拭い去ることにも成功したのだ。

2020年夏には、アーリーブロンコのスタイルを現代によみがえらせた6代目ブロンコと、よりコンパクトでシティー派の「ブロンコスポーツ」もデビュー。このモデルの偉大な足跡が、再び脚光を浴びることになった。

ランドローバー・レンジローバー
ランドローバー・レンジローバー拡大
1970年にサルーンとステーションワゴン、クロスカントリーモデルの役割を1台に詰め込んだマルチパーパス車として登場した「レンジローバー」。次第に高級化が進み、1984年には4ドア版も追加設定された。
1970年にサルーンとステーションワゴン、クロスカントリーモデルの役割を1台に詰め込んだマルチパーパス車として登場した「レンジローバー」。次第に高級化が進み、1984年には4ドア版も追加設定された。拡大
極めてシンプルな初代「レンジローバー」のインテリア。汚れても水洗いできるように、シートやカーペットはビニール製だった。
極めてシンプルな初代「レンジローバー」のインテリア。汚れても水洗いできるように、シートやカーペットはビニール製だった。拡大
初代「レンジローバー」は、乗用車「ローバー3500」で使用されていた最高出力132PSの3.5リッターV8 OHVを搭載。4段ギアボックスと、2段トランスファーによるフルタイム4WDシステムが組み合わされていた。
初代「レンジローバー」は、乗用車「ローバー3500」で使用されていた最高出力132PSの3.5リッターV8 OHVを搭載。4段ギアボックスと、2段トランスファーによるフルタイム4WDシステムが組み合わされていた。拡大

高級SUVの元祖「ランドローバー・レンジローバー」

現在の「ランドローバー・レンジローバー」の源流は、1948年に初登場した元祖「ランドローバー」のシリーズ1。アメリカのジープに触発された多目的クロスカントリーカーで、トラクターとしても重用。「あらゆる作業に適応する農民の従僕」を自認しながらも、その後ロングホイールベース版などの登場で、次第に乗用車としても進化していく。

1960年代に入ると、イギリス上流階級の先鋭的な若者の間で、都市部でもランドローバーを愛用するのがちょっとしたブームとなった。その機運を敏感に察したローバーの伝説的エンジニア、スペン・キングは、都市部での乗用にも適した快適でスタイリッシュなクロスカントリービークルの開発に着手。その成果として1970年に登場したのが、いまなお歴史的名作と称賛される初代レンジローバーである。

コイルスプリング式サスペンションや大パワーを発生するV8エンジンを、スタイリッシュなボディーと組み合わせ、「遅くてうるさくて乗り心地が悪い」というクロスカントリーカーの常識やイメージを覆すことになる。

イギリスの上流階級から火のついたレンジローバーの人気は、程なく全世界に波及。アメリカ勢よりは若干デビューは遅いものの、現代的なSUVの開祖、あるいは“高級SUV”というジャンルに限定するならば、間違いなく元祖というべき名作となった。

1980年代以降はイギリス王室御用達の証しである「ロイヤルワラント」を獲得。「砂漠のロールス・ロイス」なる愛称とともに敬愛を集めている。

トヨタ・ハリアー
トヨタ・ハリアー拡大
1997年にデビューした「トヨタ・ハリアー」。発表時には、高級乗用車の基本性能とSUVの機動性や機能性を併せ持つ、新ジャンルの「スポーツユーティリティーサルーン」と紹介されていた。
1997年にデビューした「トヨタ・ハリアー」。発表時には、高級乗用車の基本性能とSUVの機動性や機能性を併せ持つ、新ジャンルの「スポーツユーティリティーサルーン」と紹介されていた。拡大
初代「ハリアー」のインストゥルメントパネル。5.8インチディスプレイやCDオートチェンジャー、8個のスピーカーで構成される「JBLプレミアムサウンドシステム」などを搭載していた。
初代「ハリアー」のインストゥルメントパネル。5.8インチディスプレイやCDオートチェンジャー、8個のスピーカーで構成される「JBLプレミアムサウンドシステム」などを搭載していた。拡大

シティー派SUVの先駆者「トヨタ・ハリアー」

トヨタのSUV人気をけん引する「ハリアー」の初代モデルは、6代目「カムリ」のプラットフォーム上に構築されたSUVとして、1997年12月に日本国内デビュー。翌1998年には「レクサスRX300」として、アメリカをはじめとする海外へも輸出・販売がスタートした。

初代ハリアーは、現代のSUVカテゴリーではクラスを問わず大多数を占めている、通常の乗用車にクロスカントリー要素を付与した「クロスオーバーSUV」という新たなジャンルを開拓した、先駆的モデルのひとつといえよう。

同じ時期には、ホンダも「CR-V」でFF小型車由来のモノコックを持つクロスオーバーSUVを成功させているものの、2リッター直4ないしは3リッターV6を搭載する高級車カテゴリーに打って出たハリアー/レクサスRXは、スタイリッシュなボディーデザインと優れたユーティリティーが相まって、SUVの本場である北米を中心に大ヒット。21世紀を迎えると、全世界のメーカーから同じコンセプトのフォロワーが発売されることとなった。

やや過小評価されている感はあるが、世界に誇るべきパイオニアの一台なのである。

ポルシェ・カイエン
ポルシェ・カイエン拡大
2002年3月のジュネーブモーターショーで発表されたポルシェ初のSUVが「カイエン」だ。写真は2006年に追加設定された、最高出力521PSの4.5リッターV8ツインターボを搭載する「カイエン ターボS」。
2002年3月のジュネーブモーターショーで発表されたポルシェ初のSUVが「カイエン」だ。写真は2006年に追加設定された、最高出力521PSの4.5リッターV8ツインターボを搭載する「カイエン ターボS」。拡大
スポーティーなポルシェのイメージでデザインされた「カイエン」のインストゥルメントパネル。姉妹車であるフォルクスワーゲンの「トゥアレグ」との差異化も明確に行われている。
スポーティーなポルシェのイメージでデザインされた「カイエン」のインストゥルメントパネル。姉妹車であるフォルクスワーゲンの「トゥアレグ」との差異化も明確に行われている。拡大

スポーツカー仕立てのSUV「ポルシェ・カイエン」

2002年に登場したポルシェの初代「カイエン」は、それまで2+2ないしは2シーターのスポーツカーのみを送り出していたポルシェが、初めてチャレンジしたSUVである。

そのプラットフォームや基本設計は、「フォルクスワーゲン・トゥアレグ」と共通のものとされた。しかし、ポルシェ社自ら「新時代のスポーツカー」とアピールしたように、長らくスポーツカーの象徴であり続けた「911」シリーズ由来のスタイルやパフォーマンスをSUVに投影することによって、それまでにはなかったキャラクターの持ち主となる。

特にV8ツインターボエンジンを搭載する最高級・最高性能バージョンの「ターボS」では521PSのパワーを発生。現在に至るSUVパワーウオーズの幕を開くことになったのだ。

いまでは、同じフィロソフィーのまま小型化した「マカン」とともに、ポルシェの屋台骨を支える大ヒットモデルとして君臨。ハイパフォーマンスSUVのリーダーであり続けている。

(文=武田公実/写真=ステランティス、フォード、ジャガー・ランドローバー、トヨタ自動車、ポルシェ/編集=櫻井健一)

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