第855回:タフ&ラグジュアリーを体現 「ディフェンダー」が集う“非日常”の週末
2025.11.26 エディターから一言伊豆半島に「ディフェンダー」が集う
首都圏からのアクセスがいい伊豆半島は、ドライブの目的地として人気が高い。小田原から下田まで続く国道135号線を、家族連れやカップルが乗ったさまざまなクルマが南を目指して走る。11月16日は、「ディフェンダー」の姿が目立った。道の駅伊東マリンタウンを過ぎると、右折して大室山方面へ向かう。到着したのは山のふもとに位置する「奏の森リゾート」。前日からディフェンダーのイベント「DESTINATION DEFENDER 2025」が開催されていたのだ。
オーナーやファン向けのイベントで、今年で4回目となる。ライフスタイル体感型のコンテンツが用意されていて、ディフェンダーの世界観をさまざまなかたちで味わうことができる。ステージでオープニングセレモニーが行われる1時間前には、駐車場に何十台もの新旧ディフェンダーがズラリ。すでに「DEFENDAR & BREAKFAST」というプログラムが始まっていた。
10時になるとメインステージで表彰式が行われた。「クラシックカー」「ドレスアップカー」「ロングディスタンス」「オフロードカー」の4部門で投票が行われ、選ばれたオーナーが壇上へ。親睦を深めるための催し物ではあるが、シビアな競争も行われている。
ちょうど1週間前に、山梨県の富士ケ嶺オフロードで競争の要素が強い大会が開催されていた。「DEFENDER TROPHY(ディフェンダートロフィー)」である。2026年秋にアフリカで行われる世界大会に向けて、日本代表を決める予選会だ。参加資格は、23歳以上で運転免許を持っており、簡単な英会話ができて50m泳げること。4つの基準をクリアし、冒険心があることが5つ目の条件だ。
参加者は体力や判断力が試されるハードなミッションで競うものの、それぞれが協力して行動することも求められる。性格の異なるイベントのようだが、競争と協力という意味では同じ考えがベースになっているのだ。この日のステージでは、ディフェンダートロフィーのファイナリストに選ばれた今村直樹さんが登壇してトークセッションで意気込みを吐露。アフリカに行けない人のためには、広場に特別仕様車の「ディフェンダー トロフィーエディション キュレーテッドフォージャパン」が展示されていた。
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斜めになったり、上を向いたり
奏の森リゾートの自然を生かした広大な敷地の中に、ディフェンダーオーナーが楽しめる多種多様な体験型のアクティビティーが用意されていた。ディフェンダーのイラストやロゴを使ったTシャツやメタルプレートを製作して持ち帰ることもできる。キッズは電動のDEFENDARミニカーライド、ミニボルダリングなどで遊んでいた。
もちろんメインとなっているのは、ディフェンダーの試乗プログラムだ。高度なオフロード性能を誇るクルマではあるが、日常ではポテンシャルをフルに発揮する機会はほとんど訪れない。インストラクターのサポートを得ながら、ディフェンダーの本来の機能を知るいい機会である。オーナーではないが、せっかくなので参加させてもらった。
「ツインテラポッド」は最大傾斜上り37度、下り43度のスロープパレットを使うアトラクション。素人には難度が高すぎるため、インストラクターの運転に同乗する。公道ではあり得ない角度の坂を上っていくと、フロントガラスの向こうに見えるのは空だけ。頂点に達すると油圧装置でパレットの向きが変えられて下り坂に。今度は地面しか見えない。ヒルディセントコントロールをオンにすると、アクセルもブレーキも使わずに一定の速度で降りていった。
「ミニテラポッド+バンク」では自分で運転する。バンクに右側のタイヤが乗り上げると、クルマが斜めになったまま進むことに。体感では45度ぐらい傾いているように思えるが、実際にはそこまでの角度はない。モニターに映し出される前輪の映像を見て、安全マージンをとって引かれた白線の内側をゆっくりと前進する。モーグルではタイヤが浮いてしまう場面もあるが、ディフェンダーは各輪の状況を察知して自動的にトラクションをかけてくれる。クルマにまかせておけばあっけなくクリアできるのだ。
特設オフロードコースでは林道にありそうな道がセットされており、インストラクターの横で走り方を学んだ後に自ら運転する。慣れていないドライバーでも安全に走れるようにイージーなコース設定になっているはずだが、キツい傾斜度のタイトなコーナーでは動揺が襲ってきた。土の壁に触れてしまうのではないか、クルマが傾いて倒れてしまうのではないか、と不安になる。ありがたいのは「クリアサイトグラウンドビュー」機能だ。モニターには車両前方下部が透けて見えるような映像が表示されていて、路面を確認しながら進むことができる。
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オーナーのコミュニティーをつくりたい
ディフェンダーのオーナーには、会場付近の一般道や林道を自分のクルマで走る試乗プログラムも用意されている。一般道では助手席に同乗したインストラクターからアドバイスを受けながら運転し、林道では先導車の後をコンボイ走行する。非日常のドライブ体験を安全に楽しむ機会となる。
ジャガー・ランドローバー・ジャパン マーケティングディレクターのマシュー・スリースさんは、このイベントでオーナーのコミュニティーをつくりたいと話す。
「来ていただいた方のほとんどは、これまでお互いを知らなかったはずです。でも、同じ世界観を持つクルマに乗っているんですよね。ディフェンダートロフィーの参加者も同じでした。競争しながらも支え合い、仲間になりました。DESTINATION DEFENDERでも、オーナーの間にその雰囲気を育てていってほしいんです」
ランドローバーでは「House of Brands(ハウス・オブ・ブランド)」という戦略をとっており、ディフェンダーは「レンジローバー」や「ディスカバリー」とは異なる個性を持ったブランドであることを明確にしている。
「それぞれのブランドでイベントを開催しています。ディフェンダーの価値は、タフ&ラグジュアリー。どこへでも行ける、何でもできるクルマですが、快適性にも妥協しない。そして、クルマを超えたパーパスも。赤十字社の活動やアフリカの動物保護の活動をサポートしたりして、社会貢献を行うことを大切にしています。お客さまが仲間のネットワークをつくって活動していただけるようになればハッピーですね」
ディフェンダートロフィーではオフロード競技だけでなく、アフリカで小学校をつくるなどのボランティア活動も行うという。DESTINATION DEFENDERも目指すところは同じ。ディフェンダーを通じて培われたオーナー同士の絆が、ポジティブなパワーを生み出すことを期待したい。
(文=鈴木真人/写真=ジャガー・ランドローバー・ジャパン、webCG/編集=関 顕也)
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鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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