第681回:あのクルマがフェラーリ超えの23億円!? 2021年のカーオークション高額落札車5選
2022.03.28 エディターから一言 拡大 |
コロナ渦にあって、経済的にも非常に厳しい環境が続いた2021年。だが世界のカーオークションでは、そんな状況など関係ないとばかりに、高額落札モデルが次々に誕生した。ここではそのなかから、落札価格が正式に公開されている2021年の高額モデルトップ5を紹介する。
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10位から6位の高額落札車両は?
まずは準備運動として、10位から6位までを続けて紹介する。10位の座に滑り込んだのは、1958年の「フェラーリ250GTベルリネッタ ツールドフランス」で、オークショニアはRMサザビーズだ。舞台は2021年8月の米モントレーカーウイークの締めくくりとなるイベント、ペブルビーチコンクールデレガンスに合わせて行われたモントレーオークション。落札価格はジャスト600万ドル(邦貨換算で約6億9150万円)であった。
オークションでの高額取引といえば、まずはフェラーリがイメージされるところである。2021年も十分にその面目は保ったといえる。しかしその一方で、過去の落札価格と比較すれば、3億円近く下がっているのが気になるポイントだ。
9位は鮮やかなレッドのボディーカラーが印象的な1955年の「ジャガーDタイプ」だった。こちらも600万ドル(同約6億9150万円)でハンマープライス。RMサザビーズのアリゾナオークションでの落札だった。
続く8位は2010年のF1マシン「マクラーレンMP4-25A」。こちらもRMサザビーズの主催で、シルバーストーンオークションがその会場であった。ハミルトンが同年のトルコGPで勝利したマシンそのものであり、674万1384ドル(同約7億7700万円)で落札したカスタマーには、今後専任のファクトリーチームがメンテナンスや走行時のサポートにあたるという。
そして7位はアートキュリアル社が主催する、パリジェンヌオークションに登場したレーシングマシン「シムカMS670」。落札価格の692万1446ドル(同約7億9800万円)は、このモデルが1972年のルマン24時間レースを制覇したというタイトル料込みのものだろう。
6位の1955年「フェラーリ250GTベルリネッタ コンペティツィオーネ」は、RMサザビーズの本社が出品したモデルだ。生産台数がわずかに3台という希少性から、696万1633ドル(同約8億0230万円)の高落札価格を達成している。
それでは、気になるオークションで高額落札された上位5台のモデルとその価格を見ていくことにしよう。
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第5位:1966年「フェラーリ275GTBコンペティツィオーネ」
まず第5位となったのは、RMサザビーズのモントレーオークションにおいて、770万5000ドル(邦貨で約8億8800万円)で落札された1966年の「フェラーリ275GTBコンペティツィオーネ」だ。
プライベートチームのスクーデリア・フィリピネッティによって、1967年のルマン24時間をはじめ、1969年のスパ24時間、同年のイモラ500km耐久などのレースでもクラス優勝を果たすなど、そのレーシングリザルトはまさに一級。もう数年早いフェラーリバブルの時代ならば、1000万ドルは軽く超える落札価格を記録したに違いない。
フェラーリの価値を決めるのは、特にコンペティツィオーネ(レーシングマシン)の場合は、レストアの仕上がりと実際のレースでのリザルトだ。それを証明してくれるのが、フェラーリクラシケが発行するレッドブック。これにはシャシーとエンジン、トランスミッションなどのナンバーマッチングをはじめ、レストアの内容、そしてそれをフェラーリクラシケが保証するという証明書などからなる書類が含まれている。
つまりレッドブック=フェラーリが、良好なコンディションを持つ正真正銘の本物であると、お墨付きを与えているのである。現在では非常に多くの車両がこの認証を得ており、それがオークションでの安心材料のひとつとなっていることは言うまでもない。
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第4位:1962年「フェラーリ268SP」
第5位の275GTBコンペティツィオーネと同じく、RMサザビーズのモントレーオークションに出品された1962年の「フェラーリ268SP」をここでは続く4位とする。
落札価格は偶然にも770万5000ドル(同約8億8800万円)で、先の275GTBコンペティツィオーネと同額。予想を下回るハンマープライスだった。本来なら両モデルを同順位とすべきかもしれないが、レーシングマシンとしての希少性と年式を考慮した。
参考までにこの268SPは、ファクトリーチームのスクーデリアフェラーリで使用されたほか、アメリカのNARTからのレースに参加するなどそのレーシングヒストリーは魅力的である。
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第3位:1962年「アストンマーティンDB4GTザガート」
第3位には、やはりRMサザビーズのモントレーオークションから、1962年の「アストンマーティンDB4GTザガート」がランクインした。
落札価格は952万ドル(邦貨で約10億0970万円)だった。DB4GTザガートは、1960年から1962年まで39台が製作された。美しさのみならずエアロダイナミクスの素晴らしさから、その後のアストンマーティンとザガートの関係をより深める大きな転機となったモデルであることが広く知られている。
この出品車で注目されるのは、39台中6台しか存在しない左ハンドル仕様であることだろう。それは希少なコレクターズアイテムとしてはもちろん、走りを楽しむカスタマーニーズが大きく広がることも意味している。
インテリアのトリムはファーストオーナーの好みで仕上げられたフィニッシュがそのままの姿で残っており、コンディションもエクステリアと同様に抜群。10億円超えの落札価格も当然といえるのではないだろうか。
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第2位:1959年「フェラーリ250GTスパイダー カリフォルニア コンペティツィオーネ」
第2位は、こちらもオークションの高額落札車としては常連ともいえる1959年の「フェラーリ250GTスパイダー カリフォルニア コンペティツィオーネ」だった。オークショニアはグッディング&カンパニーである。
同社は、ペブルビーチコンクールデレガンスが行われるペブルビーチゴルフリンクスの近くに会場を設け、オークションを開催。250GTスパイダー カリフォルニア コンペティツィオーネは、最初から競技車両として製作された貴重なオープンモデルであり、そのレース参戦歴も含めて注目された。
当然、入札価格は高騰。最終的に落札価格は1084万ドル(同約12億4930万円)にまで達した。フェラーリはやはり、オークションの“華”なのだ。
第1位:1995年「マクラーレンF1」
だが2021年のオークションシーンでは、さらにその上をいく落札価格を記録したモデルがあった。
2位のフェラーリ250GTスパイダー カリフォルニア コンペティツィオーネと同様に、グッディング&カンパニーのペブルビーチオークションに出品された、1995年の「マクラーレンF1」がそれである。クラシックモデルやヴィンテージカーではなく、いわゆるヤングタイマーというべきモデルがなぜ? と思われても不思議はない。
その秘密は「クレイントンブラウン」というマクラーレンF1としては珍しいボディーカラーの採用もさることながら、走行距離がわずかに242マイル(約387km)という奇跡のようなコンディションにあった。そう、1990年代半ばの究極的なスーパースポーツの新車が、まさに時空を超えて突然目の前に現れたと表現したくなるような状況である。
もちろん、この新車同然のコンディションは、来場者のみならず世界中から多くの関心を集めた。注目の落札価格は、予想をはるかに上回る2046万5000ドル(邦貨で約23億5860万円)。これは過去にオークションで売買されたクルマのなかでも、13位に相当する高額での落札であったという。
クラシックカーに興味を持つスーパーリッチの年齢層が広がり、その興味の対象がこれまで以上に新しいモデルへと集中し始めたのか、あるいはフェラーリなどのオークションでの評価がこれまでよりも低くなり始めたのか。コンディション次第では、比較的新しいモデルもオークションの主役になれるという可能性を感じることができた。
オークションを別世界のハナシと片づけてしまうのは簡単だが、オークションには夢のクルマばかりが出品されているわけでない。オークショニアが毎回発行するカタログやウェブサイトを見ながらそれを落札した時のことを妄想したり、あるいは「あのクルマがこんな値段で!?」と金額を眺めたりするだけでも十分に楽しめると思う。
(文=山崎元裕/写真=RMサザビーズ、アートキュリアル、グッディング&カンパニー/編集=櫻井健一)
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山崎 元裕
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