【F1 2022】スペインGP続報:快走ルクレールに不運 フェルスタッペン逆転優勝で首位浮上

2022.05.23 自動車ニュース bg
F1第6戦スペインGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真左から2番目)、2位に入ったレッドブルのセルジオ・ペレス(同左端)、3位でレースを終えたメルセデスのジョージ・ラッセル(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第6戦スペインGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真左から2番目)、2位に入ったレッドブルのセルジオ・ペレス(同左端)、3位でレースを終えたメルセデスのジョージ・ラッセル(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2022年5月22日、スペインのサーキット・デ・バルセロナ・カタルーニャで行われたF1世界選手権第6戦スペインGP。抜群の安定感を誇ってきたフェラーリにまさかの問題発生。スピンやトラブルなど数々のドラマが起きたレースで、チャンピオンがチームプレイから見事な逆転優勝を飾った。

風にあおられてのスピン&コースオフ、そして予選に続くDRSのトラブルなどを乗り越えて3連勝を果たしたフェルスタッペン(写真)。大きなアップグレードなしでスペインGPに臨んだレッドブルだったが、最大のライバルであるフェラーリのシャルル・ルクレールのリタイアにも助けられ、フェルスタッペンは6点リードでドライバーズランキングトップに、またチームも26点差でコンストラクターズチャンピオンシップ首位に躍り出た。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
風にあおられてのスピン&コースオフ、そして予選に続くDRSのトラブルなどを乗り越えて3連勝を果たしたフェルスタッペン(写真)。大きなアップグレードなしでスペインGPに臨んだレッドブルだったが、最大のライバルであるフェラーリのシャルル・ルクレールのリタイアにも助けられ、フェルスタッペンは6点リードでドライバーズランキングトップに、またチームも26点差でコンストラクターズチャンピオンシップ首位に躍り出た。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
メルセデスのラッセル(写真左奥)と丁々発止とやり合うレッドブルのペレス(同右手前)。ペレスは予選で今季初のトップ4落ちとなる5位だったが、スタートでフェラーリのカルロス・サインツJr.が順位を落としたことで4位に。その後もレッドブルの作戦上重要な役割を果たし、チームプレイに徹してフェルスタッペンに先行を許し、自身は2位でゴールした。優勝をチームメイトに譲るかたちとなったことには複雑な思いを抱いているようで、「チームとしての結果には満足している」と表向きには笑顔で答えていたが、無線では「あとで話したい」と伝えていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
メルセデスのラッセル(写真左奥)と丁々発止とやり合うレッドブルのペレス(同右手前)。ペレスは予選で今季初のトップ4落ちとなる5位だったが、スタートでフェラーリのカルロス・サインツJr.が順位を落としたことで4位に。その後もレッドブルの作戦上重要な役割を果たし、チームプレイに徹してフェルスタッペンに先行を許し、自身は2位でゴールした。優勝をチームメイトに譲るかたちとなったことには複雑な思いを抱いているようで、「チームとしての結果には満足している」と表向きには笑顔で答えていたが、無線では「あとで話したい」と伝えていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

“グリーン・レッドブル”登場?

マシンの総合力が試されるバルセロナのコースに、ハースを除く全チームが大小さまざまなアップグレードを持ち込んできた。なかでもひときわ注目を集めたのが、今季過去5戦でたった6点しか獲得できていなかったアストンマーティン。「AMR22」のサイドポッドから、特徴的な無数の排気ルーバーがなくなったばかりか、随所にレッドブル「RB18」を思わせるパーツやフロア構造を採用し、さながら“グリーン・レッドブル”として登場したのだからパドック雀(すずめ)も黙ってはいなかった。

アストンマーティンといえば、レーシングポイントの名で参戦していた2020年に、前年のチャンピオンマシンに酷似した“ピンク・メルセデス”を走らせたことで物議を醸し、ルノーからの抗議を受けた結果、ポイントの減点と罰金という処罰を受けた“前科”がある。今回の変更は、FIA(国際自動車連盟)も事前調査を実施しお墨付きを与えており、またもちろん、アストンマーティン側もこの“コピー疑惑”を否定したのだが、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、同チームの空力部門を率いてきたダン・ファローズらをアストンマーティンに引き抜かれたばかりということもあり、知的財産権の問題として内部調査すると鼻息は荒かった。

起死回生を狙うのはアストンマーティンだけではなく、メルセデスも上下に跳ねる宿痾(しゅくあ)の“ポーポシング”を改善すべく、「W13」のフロントウイングやフロアに手を入れてきた。また開幕から静観を続けてきたフェラーリも、リアウイングやフロアを替えてきた。

ロシアGPのキャンセルを受け空いていた日程は結局埋められず、予定より1戦減って22戦で争われることになった2022年。連戦に次ぐ連戦の多忙極まるシーズンには、予算制限内で計画的に開発をこなさなければならないという、見えない敵との戦いもあるのだ。

アップグレードで復活の兆しをみせたメルセデス勢。なかでもラッセル(写真左手前)は予選4位、レースでは優勝争いにも絡みながら3位表彰台と健闘が光った。予選6位のルイス・ハミルトンは、スタート直後にハースのケビン・マグヌッセンと接触、緊急ピットインで大きく後退しながらも5位フィニッシュ。終盤は水漏れによる警告が出されペースダウンを余儀なくされたが、マシンが上下に跳ねる“ポーポシング”が緩和されドライブしやすくなったことは、何よりも大きな収穫だったろう。(Photo=Mercedes)
アップグレードで復活の兆しをみせたメルセデス勢。なかでもラッセル(写真左手前)は予選4位、レースでは優勝争いにも絡みながら3位表彰台と健闘が光った。予選6位のルイス・ハミルトンは、スタート直後にハースのケビン・マグヌッセンと接触、緊急ピットインで大きく後退しながらも5位フィニッシュ。終盤は水漏れによる警告が出されペースダウンを余儀なくされたが、マシンが上下に跳ねる“ポーポシング”が緩和されドライブしやすくなったことは、何よりも大きな収穫だったろう。(Photo=Mercedes)拡大

スピンから会心の一発、ルクレールが連続ポール

どんな新しいパーツがあっても、またどれだけウイニングマシンに酷似していたとしても、タイムの向上につながるかは別の問題だということを、アストンマーティンが早々に証明してしまう。スペインGP予選では2台ともQ1敗退となり、セバスチャン・ベッテル16位、ランス・ストロールは18位と下位に沈んだのだ。

一方で、アップグレードに好感触を得たのはメルセデス勢だ。ひどいポーポシングは鳴りを潜め、プラクティスでもフェラーリ、レッドブルに次いで上位に顔を出し、予選ではジョージ・ラッセル4位、ルイス・ハミルトンは6位と、2強の真後ろ、つまりは中団トップを堅持した。

ポールポジションはフェラーリのシャルル・ルクレールで、2戦連続、今季4回目、通算13回目の予選P1。Q3最初のアタックでスピン、残る最後のチャンス、プレッシャーがかかるなかで決めた会心の一発で最速タイムを記録した。レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、最後のラップでDRSが開かないトラブルに見舞われ0.323秒差で2位。この2人が最前列に並ぶのは、今季6戦目にして4回目となった。

フェラーリのカルロス・サインツJr.が母国予選最高の3位、レッドブルのセルジオ・ペレスは、高速のセクター1で苦しみ5位だった。アルファ・ロメオのバルテリ・ボッタスは好調さをキープし7位。そしてこの週末、ひとつもアップグレードを申請しなかったハースが、ケビン・マグヌッセン8位、ミック・シューマッハー10位と2台そろってQ3進出し、今季型「VF-22」の素性の良さを示した。他方で、10個もの改良を持ち込んだマクラーレン勢は、ダニエル・リカルドの9位が最上位だった。

首位好走からまさかの転落。フェラーリのシャルル・ルクレール(写真)は、ポールからトップを守り独走状態を築いていながら、27周目、何の前触れもないパワーユニットの異常によりスローダウンし、リタイア。今季これまでチャンピオンシップをけん引してきたが、これでレース前の19点リードがすべて消し飛び、フェルスタッペンに1位の座を奪われ逆に6点差をつけられてしまった。(Photo=Ferrari)
首位好走からまさかの転落。フェラーリのシャルル・ルクレール(写真)は、ポールからトップを守り独走状態を築いていながら、27周目、何の前触れもないパワーユニットの異常によりスローダウンし、リタイア。今季これまでチャンピオンシップをけん引してきたが、これでレース前の19点リードがすべて消し飛び、フェルスタッペンに1位の座を奪われ逆に6点差をつけられてしまった。(Photo=Ferrari)拡大
アルファタウリは、予選で角田裕毅(写真手前)13位、プラクティスでオーバーヒートが起き走行時間が少なかったピエール・ガスリー(同後ろ)は14位と2台ともQ3に進むことはできず。だがレースでは角田が早速ポイント圏内に駒を進め、落ち着いた走りで今季3度目の入賞となる10位でゴール。ガスリーは接触の影響でマシンのダウンフォースが失われ苦戦し、13位完走。チームは6戦して5回入賞、17点を獲得し現在コンストラクターズランキング7位となっている。このうち11点を角田が稼ぎ出しており、2年目の成長がうかがえる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリは、予選で角田裕毅(写真手前)13位、プラクティスでオーバーヒートが起き走行時間が少なかったピエール・ガスリー(同後ろ)は14位と2台ともQ3に進むことはできず。だがレースでは角田が早速ポイント圏内に駒を進め、落ち着いた走りで今季3度目の入賞となる10位でゴール。ガスリーは接触の影響でマシンのダウンフォースが失われ苦戦し、13位完走。チームは6戦して5回入賞、17点を獲得し現在コンストラクターズランキング7位となっている。このうち11点を角田が稼ぎ出しており、2年目の成長がうかがえる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

ルクレール、首位快走中にまさかの……

もともとタイヤに厳しいコース特性に加え、決勝日は気温36度、路面温度は48度と暑く、レースではタイヤマネジメントが勝敗を左右するといわれた。過去2戦でタイヤに苦しんできたフェラーリにとっては、改良型マシンの試金石となるような一戦となった。そしてルクレールは、ポールから首位快走を続け、跳ね馬の上出来な仕上がりを世に知らしめるのだった。

66周レースのスタートでは、1位ルクレール、2位フェルスタッペンの後に3位ラッセル、4位ペレスが続き、蹴り出しが悪かったサインツJr.は5位に落ちた。直後にハミルトンとマグヌッセンが接触し、ハースはコースアウト、メルセデスも緊急ピットインを余儀なくされ、大きく後退したハミルトンは無線でリタイアをほのめかしたものの、諦めるなとのチーム側の励ましを受け周回を続けた。このレース続行の判断は結果的に良い方向に転び、7冠王者は5位まで挽回してチェッカードフラッグを受けることになる。

リードを広げていたルクレールに対し、後ろのライバルたちは強い風にあおられ相次いでグラベルに飛び出してしまう。まずは7周目、サインツJr.がターン4でスピン、コースアウトして11位に後退。そしてその2周後には、同じターンでフェルスタッペンも曲がりきれず、2位から4位に順位を落とした。

フェルスタッペンは程なくして僚友ペレスを抜き3位に上がると、1秒前のラッセルに照準を合わせる。14周目、ラッセルとフェルスタッペンは同時にピットに入りソフトからミディアムに換装すると、僅差のままコースに戻ったのだが、いよいよオーバーテイクを仕掛けようとしたフェルスタッペンのDRSが、予選に続き、またぐずりだした。気まぐれで開いたり、開かなかったりするDRSにいら立つフェルスタッペンは、ラッセルのかたくなな防戦にも遭い、なかなか前に出られないでいた。

そんな後ろの争いもどこ吹く風、先頭をひた走るルクレールは、22周目にソフトからミディアムにスイッチすると、誰にもトップを譲ることなく、ラッセル&フェルスタッペンの5.7秒前でコースに復帰。このままルクレールが優勝するかと思われた27周目、安定感あるフェラーリが突如壊れた。パワーユニットに起因するトラブルでフェラーリは失速、昨季からのルクレールの連続完走は「16」で途絶えた。

“グリーン・レッドブル”登場? 今季開幕から出遅れたアストンマーティンは、「AMR22」に大がかりな改修を施し、ほぼ“Bスペック”といっていい仕様でスペインに乗り込んできた。サイドポッドからリアにかけてのフォルムなど随所に“レッドブルらしさ”が散見され周囲も色めきたったのだが、ルールメーカーのFIA(国際自動車連盟)は事前調査の結果、禁止されている「リバースエンジニアリング」(既成物を観察、分解するなどして構造を理解する手法)や知的財産権の問題はないとしている。実際のコース上では、その外見ほど目立った結果は残せず、予選では2台ともQ1落ちとなるセバスチャン・ベッテル16位、ランス・ストロール(写真)18位(フェルナンド・アロンソのパワーユニット交換で繰り上がり17位)。レースではベッテル11位、ストロール15位。(Photo=Aston Martin)
“グリーン・レッドブル”登場? 今季開幕から出遅れたアストンマーティンは、「AMR22」に大がかりな改修を施し、ほぼ“Bスペック”といっていい仕様でスペインに乗り込んできた。サイドポッドからリアにかけてのフォルムなど随所に“レッドブルらしさ”が散見され周囲も色めきたったのだが、ルールメーカーのFIA(国際自動車連盟)は事前調査の結果、禁止されている「リバースエンジニアリング」(既成物を観察、分解するなどして構造を理解する手法)や知的財産権の問題はないとしている。実際のコース上では、その外見ほど目立った結果は残せず、予選では2台ともQ1落ちとなるセバスチャン・ベッテル16位、ランス・ストロール(写真)18位(フェルナンド・アロンソのパワーユニット交換で繰り上がり17位)。レースではベッテル11位、ストロール15位。(Photo=Aston Martin)拡大

3連勝のフェルスタッペンがタイトル争いで首位に

ルクレールの脱落で、ラッセル1位、フェルスタッペン2位、ペレス3位。前のメルセデスを抜けないとみたレッドブルは作戦を変更し、29周目にフェルスタッペンをピットに呼び、ソフトタイヤを与えて4位でコースに戻した。フェルスタッペンは最速タイムで猛追し3位に上がると、ペレスに抜かれたラッセルとのギャップをどんどん削り取り、ラッセルが2度目のピットインをしたことで2位、ペレスもタイヤを交換したことで首位に浮上した。

もちろんフェルスタッペンのソフトタイヤはゴールまで持つはずがなく、44周目に3度目のタイヤ交換を実施。これでペレス1位、フェルスタッペン2位、ラッセル3位となると、その5周後にはペレスがチームメイトにトップを譲るかたちで2位に下がり、フェルスタッペンの3連勝がこうして達成された。

2位ペレスは、後ろに十分なマージンを築いていたため、ソフトに履き直して2位のまま最速タイムを奪取。レッドブルは、第4戦エミリア・ロマーニャGPに次ぐ今季2度目の1-2フィニッシュを飾り、そしてメルセデスは3位にラッセルが入ったことで、その復活を高らかに告げたのだった。

たった3戦前のオーストラリアGPまでは、ルクレールに46点ものビハインドを背負っていたフェルスタッペンが、3連勝でルクレールから首位を奪い、レッドブルも26点ものリードをフェラーリに対して築いたのだから、タイトル争いの行方などまだまだ分からないということ。次はルクレールの地元モナコGP。ホームでのリベンジに期待がかかる。モナコGP決勝は5月29日に行われる。

(文=bg)

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