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【スペック】全長×全幅×全高=4894×1894×1365mm/ホイールベース=2855mm/車重=1940kg/駆動方式=FR/4.4リッターV8DOHC32バルブターボ(407ps/5500-6400rpm、61.2kgm/1750-4500rpm)(欧州仕様車)

BMW650iカブリオレ(FR/8AT)【海外試乗記】

ゾクゾクするほどカッコいい 2011.02.08 試乗記 島下 泰久 BMW650iカブリオレ(FR/8AT)

BMWの4座クーペ/カブリオレモデル「6シリーズ」がフルチェンジ。日本導入も近いという「カブリオレ」にいち早く試乗した。
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外も内もリッチ

新型「BMW6シリーズ」は、意外にもクーペより先にカブリオレからの登場と相成った。国際試乗会の開催地は南アフリカはケープタウン。かの地の真冬は、まさにカブリオレの季節だ。

それにしても、どうだこのスタイリング。先代もクリス・バングル節全開のアバンギャルドな格好が堂々たる存在感を示していたが、新型はディテールに関してはもう少しオーソドックスで、より広く好まれそうでありつつ、しかしゾクゾクするほどのカッコ良さに仕上がっている。

最初、言葉を失うほどだった先代との対比から、ついオーソドックスなんて言葉を使ったが、だからといってフツウになってしまったなんてことはない。全長が74mm、全幅が39mm拡大される一方、全高を9mm下げたスリーサイズは4894mm×1894mm×1365mmとさらに伸びやかに。丸目4灯のヘッドランプ、キドニーグリル、L字型のテールランプといったBMWのアイデンティティを感じさせるディテールも、造形はそれぞれ精緻で、細かいところまで凝りに凝っている。こうした細部の輝きが、全体の印象をリッチで周囲を圧倒するものにしているのだろう。

インテリアも実にぜいたくな雰囲気だ。試乗車のそれはダッシュボード含めオールレザー張り。コントラストステッチも華やかさをプラスしている。特徴的な部分といえば、iDriveのモニター部分だろう。これまではインテリアの中でそれほど主張しないように配置されていたのが一転、その存在をアピールするかのようだ。これはユーザーの年齢層の高さが大画面を求めたという、機能面からの要求でもあるそうだ。

ソフトトップは19秒でオープン、24秒でクローズする。40km/h以下での走行中であれば、いずれの動作も可能となる。
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大柄なのによく曲がる

機能の話を続ければ、カップホルダーがATセレクターレバー前方の常識的なところに付いたのは朗報だろう。一方で気になったのは、シートポジションは相当低くできるのに、ステアリングホイールはそこまで低い位置にはできないということ。大柄な体型に合わせた着座高は、筆者には低過ぎということかもしれないが、いつでもドライビングポジションがぴたりと合うBMWだけに、ちょっと気になったところだ。

今回、用意されていたのは「650iカブリオレ」。エンジンはおなじみV型8気筒4.4リッター直噴ツインターボである。ラインナップには他に「640iカブリオレ」もそろうが、今回は用意はなかった。左側通行の南アフリカが舞台ということで、右ハンドル仕様のリポートである。

走りの雰囲気は、「5シリーズ」や「7シリーズ」とよく似ている。無論、ホイールベースがそれらより短い2855mmにとどまることもあり、動きはより軽快で、曲がりたがる傾向ではある。試乗車が装着していたインテグレーテッドアクティブステアリングは、個人的にはコーナリング中に旋回中心が常に移動しているようで落ち着かず、あまり好きではない。しかし、この大柄なボディが信じられないぐらいよく曲がるのはたしかで、ケープタウン近郊のワインディングロードを、慣れない道にもかかわらずハイペースで駆け抜けることができた。

乗り心地は若干硬め。サスペンションの設定を切り替える「ダイナミック・ドライブ」を「コンフォート」にすると、舗装の悪いところでは姿勢が落ち着かず、でもゴツゴツした感じがある。かえって「ノーマル」の方が快適に感じられた。ボディの剛性感が足りないわけではないが、ガチガチというよりは、うまくいなす方向の乗り味と言える。

開けて快感、閉じて快適

動力性能はまったくもって文句なしだ。V型8気筒らしいビートを強調したエグゾーストサウンドはアメリカ市場への強い意識を感じるものだが、オープンにしてそれを鼓膜だけでなく体全体で感じるのは悪い気分ではない。

現地は陽光降り注ぐ快晴だったこともあり、試乗中はほとんどの時間をオープンで過ごしたが、風の巻き込みは80km/h前後までならまったく問題なく、120km/hでも風が強くなければ十分使えると感じられた。これなら雨の日以外は、いつもオープンだって構わない。

しかしソフトトップを閉じるのも悪くないのだ。後端をフィン形状としたソフトトップの独特のシェイプは踏襲され、閉じても美しいスタイリングをつくりだしている。クローズ時の室内の静けさも印象的。実は新しい素材の使用で、音環境は後に出るクーペより良いのだと開発メンバーがこっそり教えてくれた。

天地がさらに薄くなったリアウィンドウは単独で開閉できる。ちなみにこのリアウィンドウの開閉方法は荷室容量を稼ぐという目的もある。容量はクローズ時の350リッターに対してオープン時でも300リッターを確保。長さ46インチのゴルフバッグ2つを飲み込む。

駆け足で紹介してきた、この6シリーズ・カブリオレ。実は日本導入はもう間近に迫っている。早めにオーダーすれば、春から初夏あたりまでの気候のもっとも良い時期に、心地良いオープンエアドライブを満喫できるはずだ。

(文=島下泰久/写真=BMWジャパン)

島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

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