【F1 2022】第21戦サンパウロGP続報:ラッセル&メルセデス初優勝、レッドブルに垂れ込めた“暗雲”

2022.11.14 自動車ニュース bg
F1第21戦サンパウロGPを制したメルセデスのジョージ・ラッセル(写真)。24歳のイギリス人にとっては初優勝、また昨シーズンのチャンピオン、メルセデスにとっても今季初の勝利となった。(Photo=Mercedes)
F1第21戦サンパウロGPを制したメルセデスのジョージ・ラッセル(写真)。24歳のイギリス人にとっては初優勝、また昨シーズンのチャンピオン、メルセデスにとっても今季初の勝利となった。(Photo=Mercedes)拡大

2022年11月13日、ブラジルはサンパウロにあるアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで行われたF1世界選手権第21戦サンパウロGP。残り2戦となって復調著しいメルセデスがシーズン初勝利を飾った一方で、チャンピオンチームのレッドブルは後味の悪いレースを終えた。

今季3回目のスプリントでは、ミディアムタイヤを履くレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真左)と、ソフトで猛追するメルセデスのラッセル(同右)が激しいトップ争いを繰り広げ、ラッセルが首位でゴール。2位にはフェラーリのカルロス・サインツJr.が入ったが、パワーユニット交換による5グリッド降格によりルイス・ハミルトンが繰り上がり、レースはメルセデスが今季初のフロントロー独占というかたちでスタートすることとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
今季3回目のスプリントでは、ミディアムタイヤを履くレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真左)と、ソフトで猛追するメルセデスのラッセル(同右)が激しいトップ争いを繰り広げ、ラッセルが首位でゴール。2位にはフェラーリのカルロス・サインツJr.が入ったが、パワーユニット交換による5グリッド降格によりルイス・ハミルトンが繰り上がり、レースはメルセデスが今季初のフロントロー独占というかたちでスタートすることとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
初優勝に向けてひた走るラッセル(写真)。レース終盤のセーフティーカー明けには、背後に迫ったチームメイトのハミルトンからのプレッシャーに緊張が走ったようで、「セーフティーカーを見たときは『参ったな、これは大変な最後になるぞ』と思った」とレース後に語っていた。チームは2人に自由にレースをさせる一方、ラッセルのマシンに起きていた水漏れについては彼に伝えず、ドライビングに集中させる気遣いもみせていた。(Photo=Mercedes)
初優勝に向けてひた走るラッセル(写真)。レース終盤のセーフティーカー明けには、背後に迫ったチームメイトのハミルトンからのプレッシャーに緊張が走ったようで、「セーフティーカーを見たときは『参ったな、これは大変な最後になるぞ』と思った」とレース後に語っていた。チームは2人に自由にレースをさせる一方、ラッセルのマシンに起きていた水漏れについては彼に伝えず、ドライビングに集中させる気遣いもみせていた。(Photo=Mercedes)拡大

“金曜予選”でマグヌッセン&ハースが初ポール

今年3回目にして最後のスプリントの舞台はブラジル。過去2回のスプリントを制したマックス・フェルスタッペンは「より多くのポイントを取れるレースを前にすれば、スプリントではリスクをおかすことはできない」と、本番レースの3分の1の距離で争われる短期決戦を否定的にみているようだが、来シーズンは6回に増える予定で、つまりは通常より忙しくなる週末が倍になるということである。

たった1回のプラクティスの後に行われた金曜日の予選は雨がらみ。予選開始前の降水でハーフウエットだった路面は徐々に乾き始めていたものの、トップ10グリッドを決めるQ3では再び天候が崩れる予報だった。ドライで走れるセッション冒頭に真っ先にコースインし、ミスのないドライビングで最速タイムをたたき出したのはハースのケビン・マグヌッセン。その直後、メルセデスのジョージ・ラッセルがコースオフ、グラベルにつかまり赤旗が出ると、いよいよ雨脚は強まり始め、到底タイムアップなど望めないコンディションとなってしまった。

これでマグヌッセンが自身140戦目にして初ポールポジション、2016年からF1で戦っているハースにとっては、143戦して初めての予選P1を獲得となった。運も味方につけたとはいえ、ハースのピットガレージが歓喜に沸いたのは言うまでもない。

ラップをうまくまとめられなかったレッドブルのフェルスタッペンは2位となり、ラッセルは3位、マクラーレンのランド・ノリス4位、フェラーリのカルロス・サインツJr.は5位だった。その後ろにはアルピーヌの2台が続き、エステバン・オコン6位、フェルナンド・アロンソ7位。メルセデスのルイス・ハミルトン8位、レッドブルのセルジオ・ペレス9位、そしてQ3でただひとり雨用インターミディエイトタイヤに賭けるも失敗したフェラーリのシャルル・ルクレールがノータイムで10位となった。

表彰台の頂点に立ったチームメイトのラッセル(写真右)と握手を交わすメルセデスのハミルトン(同左)。今季初めてのフロントロー、2位からレースに臨むも、序盤にフェルスタッペンと接触し8位に後退。しかしこの日のメルセデスには一日の長があり、レッドブル、フェラーリといった強豪を次々とかわして2位でゴールした。今週末のメルセデスの活躍が「チームの士気を大いに高めた」とし、確かな手応えをつかんでいた。メルセデスにとっては2021年の第21戦サウジアラビアGP以来となる勝利。1-2フィニッシュは、2020年の第13戦エミリア・ロマーニャGP以来となる久々の快挙だ。悪戦苦闘した今シーズン序盤からの復調を印象づけるシルバーアローの躍進となった。(Photo=Mercedes)
表彰台の頂点に立ったチームメイトのラッセル(写真右)と握手を交わすメルセデスのハミルトン(同左)。今季初めてのフロントロー、2位からレースに臨むも、序盤にフェルスタッペンと接触し8位に後退。しかしこの日のメルセデスには一日の長があり、レッドブル、フェラーリといった強豪を次々とかわして2位でゴールした。今週末のメルセデスの活躍が「チームの士気を大いに高めた」とし、確かな手応えをつかんでいた。メルセデスにとっては2021年の第21戦サウジアラビアGP以来となる勝利。1-2フィニッシュは、2020年の第13戦エミリア・ロマーニャGP以来となる久々の快挙だ。悪戦苦闘した今シーズン序盤からの復調を印象づけるシルバーアローの躍進となった。(Photo=Mercedes)拡大
フェラーリのサインツJr.(写真前)は3位表彰台。スプリントで2位となったが、パワーユニット交換のペナルティーで5グリッド降格、7番グリッドからスタート。レースでは早々にヘルメットの“捨てバイザー”がブレーキのダクトをふさいでしまうトラブルでピットインを余儀なくされるも、終盤のセーフティーカーでソフトタイヤを装着すると勢いを増し、今季9回目のポディウムを獲得した。チームメイトのシャルル・ルクレールは、ランド・ノリスのマクラーレンと接触し後退、4位まで挽回してチェッカードフラッグ。ゴール目前、自らのドライバーズチャンピオンシップ2位のため、チームにサインツJr.とポジションを替えてもらえないか相談するも聞き入れてもらえなかった。ルクレールはペレスと同点で並んだが、勝利数でランキング2位に上がり、接戦のまま最終戦を迎える。(Photo=Ferrari)
フェラーリのサインツJr.(写真前)は3位表彰台。スプリントで2位となったが、パワーユニット交換のペナルティーで5グリッド降格、7番グリッドからスタート。レースでは早々にヘルメットの“捨てバイザー”がブレーキのダクトをふさいでしまうトラブルでピットインを余儀なくされるも、終盤のセーフティーカーでソフトタイヤを装着すると勢いを増し、今季9回目のポディウムを獲得した。チームメイトのシャルル・ルクレールは、ランド・ノリスのマクラーレンと接触し後退、4位まで挽回してチェッカードフラッグ。ゴール目前、自らのドライバーズチャンピオンシップ2位のため、チームにサインツJr.とポジションを替えてもらえないか相談するも聞き入れてもらえなかった。ルクレールはペレスと同点で並んだが、勝利数でランキング2位に上がり、接戦のまま最終戦を迎える。(Photo=Ferrari)拡大

今季3度目のスプリント、フェルスタッペンを抜いたラッセルが制す

距離にして100km、周回数にして24周のスプリントでは、タイヤ選択が勝敗を分けるファクターとなった。

マグヌッセンのリードは3周しかもたず、フェルスタッペンにトップを奪われると、翌周にはラッセルにも抜かれ3位に後退。最終的に8位でチェッカードフラッグを受け、1点を手にして終わる。順位は落としたが、チャンピオンシップでアルファタウリと1点差というハースにしっかりポイントを献上できたのだから、及第点といっていい結果ではあった。

フェルスタッペンのスプリント3連勝を阻止したのはラッセル。レッドブルがミディアムタイヤで苦戦する一方、ほとんどのドライバーが選んだソフトタイヤで快調に飛ばしていたメルセデスの若手は、残り10周で首位を奪うとスプリントの1位に与えられる8点を追加した。

2位7点を獲得したのはフェラーリのサインツJr.、3位で6点を追加したのはハミルトン。フェルスタッペンは、サインツJr.と接触しウイングを壊しながら4位でゴールした。ペレス5位、ルクレール6位、ノリス7位、そしてマグヌッセン8位までが得点。アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは9位、アルファタウリのピエール・ガスリーは10位だった。

なおサインツJr.はパワーユニット交換による5グリッド降格で7番グリッドに落ちることになり、メルセデスの2台がフロントローからスタートすることとなった。

両タイトルを決めたレッドブルにとっては「好事魔多し」なサンパウロGPになってしまった。フェルスタッペン(写真)はスプリントでミディアムタイヤを選択し失敗、4位。サインツJr.の降格で3番グリッドからスタートしたレースでは、ハミルトンと接触し5秒ペナルティーを受けたばかりか、最後にはチームオーダーを無視してペレスに6位の座を返さず、後味の悪い終わりを迎えた。ペレスは7位となり、ドライバーズチャンピオンシップでルクレールに同点とされ、勝利数でランキング3位に転落した。フェルスタッペンは「ポジションを返さなかった自分なりの理由がある」とだけ語り、それ以上は公にしていない。レッドブルの連勝は「9」でストップ。フェルスタッペンは前戦メキシコシティGPで年間最多14勝を記録しているが、今回勝てなかったことでミハエル・シューマッハーの年間勝率を上回ることはできなくなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
両タイトルを決めたレッドブルにとっては「好事魔多し」なサンパウロGPになってしまった。フェルスタッペン(写真)はスプリントでミディアムタイヤを選択し失敗、4位。サインツJr.の降格で3番グリッドからスタートしたレースでは、ハミルトンと接触し5秒ペナルティーを受けたばかりか、最後にはチームオーダーを無視してペレスに6位の座を返さず、後味の悪い終わりを迎えた。ペレスは7位となり、ドライバーズチャンピオンシップでルクレールに同点とされ、勝利数でランキング3位に転落した。フェルスタッペンは「ポジションを返さなかった自分なりの理由がある」とだけ語り、それ以上は公にしていない。レッドブルの連勝は「9」でストップ。フェルスタッペンは前戦メキシコシティGPで年間最多14勝を記録しているが、今回勝てなかったことでミハエル・シューマッハーの年間勝率を上回ることはできなくなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
最悪のスプリントから最高のレース結果に結び付けたのがアルピーヌ勢だ。スプリントでは、エステバン・オコン(写真前)とフェルナンド・アロンソ(同後ろ)が2度も接触し、オコン16番グリッド、アロンソ17番グリッドと後方に沈む結果に。マクラーレンからコンストラクターズランキング4位を守りたいチームとしては、6番グリッドスタートのライバル、ランド・ノリスの動向を気にしつつ、自らはより多くのポイントを取りたかったのだが、レースではノリスがまさかのトラブルでリタイア、マクラーレンが無得点に終わってくれたばかりか、アロンソ5位、オコンも8位でチェッカードフラッグを受けたのだから願ったりかなったり。これでマクラーレンとのギャップは19点に拡大し、最終戦に向かうこととなった。(Photo=Alpine F1)
最悪のスプリントから最高のレース結果に結び付けたのがアルピーヌ勢だ。スプリントでは、エステバン・オコン(写真前)とフェルナンド・アロンソ(同後ろ)が2度も接触し、オコン16番グリッド、アロンソ17番グリッドと後方に沈む結果に。マクラーレンからコンストラクターズランキング4位を守りたいチームとしては、6番グリッドスタートのライバル、ランド・ノリスの動向を気にしつつ、自らはより多くのポイントを取りたかったのだが、レースではノリスがまさかのトラブルでリタイア、マクラーレンが無得点に終わってくれたばかりか、アロンソ5位、オコンも8位でチェッカードフラッグを受けたのだから願ったりかなったり。これでマクラーレンとのギャップは19点に拡大し、最終戦に向かうこととなった。(Photo=Alpine F1)拡大

ラッセル首位キープ、フェルスタッペンとハミルトンは接触

最前列に復調著しいメルセデスの2台、2列目に今季王者のレッドブル勢と、昨季激しいタイトル争奪戦を繰り広げたトップ2チームが上位グリッドを分け合った今回。真っ向勝負が期待されたレースでは、シルバーアローの優勢が際立つことになった。

71周レースの幕開けは、1位ラッセル、2位ハミルトン、3位フェルスタッペン、4位ペレスらが順当にスタートを切るも、ダニエル・リカルドのマクラーレンがマグヌッセンのハースに追突し両者がクラッシュ、早々にセーフティーカーの出番が回ってきた。

7周目に再開すると、ターン1で2位ハミルトンに並びかけたフェルスタッペンが続くコーナーで接触、マシンを壊したレッドブルは緊急ピットインを余儀なくされ、またハミルトンも8位までダウンした。さらにノリスとルクレールも接触し、ノリスは4位をキープするも、バリアーに当たったルクレールは大きく後退。フェルスタッペンとノリスには5秒ペナルティーが科されることになった。

トップのラッセルを追うのは2位ペレスと3位サインツJr.。このなかで最初にピットへ飛び込んだのはサインツJr.で、18周目にミディアムタイヤからソフトに交換すると、遅れを取り戻したハミルトンが3位に上がり、メルセデスがレッドブルをサンドイッチするかたちとなる。このトップ3は同じソフトタイヤを履きながら、しかしペレスは徐々にラッセルから離され、20周を過ぎると3秒のギャップができていた。

レッドブルは24周目にペレスをピットに呼び、ソフトからミディアムへ交換。翌周にはラッセルもこの動きにならい、ハミルトンは30周目までタイヤ交換を伸ばした。最初のピットストップを終え、1位ラッセル、4.7秒差で2位ペレス、そこから2.9秒離れて3位サインツJr.、そして4位ハミルトン。「タイヤはどう?」と無線で聞かれたラッセルは「いいよ」と答えるほど順調に周回を重ね、ペレスとのギャップを広げていくのだった。

金曜日の予選で初めてのポールポジションを獲得、破顔一笑のケビン・マグヌッセン(写真中央)とハースのチームクルー。30歳のデンマーク人マグヌッセンにとっては、2014年のデビュー以来140戦目で手にした初の予選P1。シーズン開幕直前、ロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンが契約解除されるまでは世界耐久選手権に参戦するはずだったのだから、いろいろな意味で彼にとって2022年はラッキーな年である。ハースとしては参戦7年目、143戦目にして初ポールとなり、BARが持っていた87戦を抜き初ポールまでの最長記録を更新した。先頭からスタートしたスプリントでは8位入賞で1点獲得と及第点の内容だったが、レースではダニエル・リカルドのマクラーレンに追突されてスピン、惜しくもリタイアとなってしまった。(Photo=Haas)
金曜日の予選で初めてのポールポジションを獲得、破顔一笑のケビン・マグヌッセン(写真中央)とハースのチームクルー。30歳のデンマーク人マグヌッセンにとっては、2014年のデビュー以来140戦目で手にした初の予選P1。シーズン開幕直前、ロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンが契約解除されるまでは世界耐久選手権に参戦するはずだったのだから、いろいろな意味で彼にとって2022年はラッキーな年である。ハースとしては参戦7年目、143戦目にして初ポールとなり、BARが持っていた87戦を抜き初ポールまでの最長記録を更新した。先頭からスタートしたスプリントでは8位入賞で1点獲得と及第点の内容だったが、レースではダニエル・リカルドのマクラーレンに追突されてスピン、惜しくもリタイアとなってしまった。(Photo=Haas)拡大
アルファタウリの角田裕毅(写真)は、またしても難しい週末を迎えていた。予選で19位、スプリントでは他のドライバーのペナルティーで2つ繰り上がり15位。グリップ不足でペースが上げられず、スプリント・フォーマットによる走り込み不足もあってマシンを仕上げられずにいた。レース前にフロアを変更したほか、前後ウイング、サスペンションなどのセッティングを調整したことでピットレーンスタート。しかし若干の改善はみられたもののペースは伸びなかった。終盤のセーフティーカーでは、通常周回遅れのマシンはセーフティーカーを抜かしてラップ遅れを取り戻すことができることになっているのだが、なぜか角田はとどまるように指示され、周回遅れのまま17位でレースを終えた。チームメイトのピエール・ガスリーは、予選12位、スプリント10位、そしてレースではピットレーンのスピード違反で5秒加算され14位。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリの角田裕毅(写真)は、またしても難しい週末を迎えていた。予選で19位、スプリントでは他のドライバーのペナルティーで2つ繰り上がり15位。グリップ不足でペースが上げられず、スプリント・フォーマットによる走り込み不足もあってマシンを仕上げられずにいた。レース前にフロアを変更したほか、前後ウイング、サスペンションなどのセッティングを調整したことでピットレーンスタート。しかし若干の改善はみられたもののペースは伸びなかった。終盤のセーフティーカーでは、通常周回遅れのマシンはセーフティーカーを抜かしてラップ遅れを取り戻すことができることになっているのだが、なぜか角田はとどまるように指示され、周回遅れのまま17位でレースを終えた。チームメイトのピエール・ガスリーは、予選12位、スプリント10位、そしてレースではピットレーンのスピード違反で5秒加算され14位。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

113人目のF1ウィナー誕生、レッドブルの“後味の悪さ”

2度目のタイヤ交換は、やはりフェラーリが口火を切り、37周目にサインツJr.がソフトからミディアムへ交換。3位に上がったハミルトンはペレスとの差をどんどん詰め始め、45周目のターン1で2位の座を奪うと、48周目にペレス、翌周ハミルトン、続いてラッセルと2度目のタイヤ交換に踏み切った。

これで順位は、1位ラッセル、2位サインツJr.、3位ハミルトン、4位ペレス。52周目にノリスのマクラーレンがコース脇にストップしたことでバーチャルセーフティーカー、後にセーフティーカーが出ると、チャンス到来とばかりにフェラーリはサインツJr.にソフトを与え、ペレスの後ろで戻した。

これで旗色が悪くなったのはペレスだ。温まりの悪いミディアムタイヤを履き続けなければならず、60周目にリスタートすると、ソフトのサインツJr.の猛攻を受けることになる。サインツJr.は63周目に前に出てペレスを表彰台から引きずり下ろし、またその後ろにいたルクレールもレッドブルをかわし、これでラッセル、ハミルトンのメルセデス1-2の後ろにフェラーリが3-4で続くオーダーとなり、このままレースは幕を閉じるのだった。

81戦目にして初優勝、史上113人目のF1ウィナーとなった24歳のラッセルは、「言葉もない」と喜びをかみしめていた。弱小チーム、ウィリアムズでの3年間の修行期間を経てメルセデスに移籍した今シーズン。ニューマシンの出遅れに足を引っ張られたものの、7冠王者のチームメイトを出し抜いてメルセデスに今季初勝利を献上することができ、今後の自信につながる1勝となった。また、3戦連続で2位となったハミルトンも満面の笑みを浮かべ、チームメイトの勝利とチームの躍進を素直に褒めたたえていた。

快勝に歓喜するメルセデス勢の陰では、レッドブルが後味の悪いレースを終えていた。終盤にペレスはアロンソにも抜かれ、速いソフトタイヤでポジションを回復していた僚友フェルスタッペンにはチームオーダーで道を譲り、7位まで落ちていた。チームはフェルスタッペンにアロンソ追撃を任せたのだが、アロンソの攻略が難しくなったとみるや、ペレスに再び6位を返すようフェルスタッペンに指示。しかしチャンピオンはこれに従わず、6位のままゴールしてしまったのだ。フェルスタッペンは「(ポジションを返さなかったのは)自分なりの理由がある」とだけ語っているが、おかげでペレスはドライバーズチャンピオンシップでルクレールと同点となり、勝利数でランキング2位の座を失ってしまったのだから始末が悪い。

今季散々苦しんだチームが復活し、勝ち続けてきたチームに暗雲が垂れ込めた、そんなレースだった。

いよいよ2022年シーズンは1レースを残すのみ。第22戦アブダビGP決勝は、1週間後の11月20日に行われる。

(文=bg)

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