電気自動車「レクサスUX300e」の改良モデル登場 航続距離が512kmにアップ
2023.03.30 自動車ニュース![]() |
トヨタ自動車は2023年3月30日、電気自動車「レクサスUX300e」に一部改良を実施し、同日、販売を開始した。
クルマから家へ給電できる“V2H”に対応
レクサスUX300eは、コンパクトSUV「UX」をベースとした100%電動モデルであり、ブランド初のEVとして2020年に登場(参照)。個性的なデザインと取り回しのしやすいボディーサイズ、EVならではの上質な走りと優れた静粛性で、好評を得ているという。
今回の改良では、電池容量のアップによる航続距離の拡大、予防安全・運転支援システム(ADAS)をはじめとする先進装備の強化、動的質感の改善など、全方位的に手が加えられた(参照)。
具体的には、新開発の電池パックの採用により、電池の容量をこれまでの54.4kWhから72.8kWhに増強。一充電走行距離は367kmから512kmへと、約40%拡大した(いずれもWLTCモード)。また車両から家などへの給電を可能にするV2H(Vehicle to Home)にも対応。満充電の状態なら、約2.5日分の電力を供給できるとしている(消費電力400W時)。
動的質感に関する部分では、サイドドアおよびバックドア周辺のボディー開口部にスポット溶接を20打点追加し、ボディー剛性の向上を図っている。さらに電動パワーステアリングやショックアブソーバー、ブレーキなどのチューニングも変更。あらゆる走行シーンで、減速・操舵・加速がシームレスにつながる気持ちよさや、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答を追求したという。
新たにドライバー異常時対応システムを採用
機能・装備の拡充も図っており、スマートフォンのアプリによってドアの施錠・解錠やパワートレインの始動が可能となるデジタルキーを採用したほか、車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助する「パノラミックビューモニター床下透過表示機能」などを新たに採用した。
ADASについても機能を強化しており、「プリクラッシュセーフティー」は交差点右折前に前方からくる対向直進車や、右左折時に前方からくる横断歩行者も検知可能に。またドライバーのハンドル操作をきっかけに車線内での操舵をアシストする「緊急時操舵支援機能」などを新たに追加した。
また車線維持支援機能「レーントレーシングアシスト」では、車線認識にAI技術を活用することで、よりスムーズで途切れにくい操舵支援を実現。全車速対応型のアダプティブクルーズコントロールには、カーブの大きさに合わせてあらかじめ減速する「カーブ速度抑制機能」を追加した。
このほかにも、新規の機能として「ドライバー異常時対応システム」を採用した。これは、急病などでドライバーが運転不能になった場合を想定したシステムで、レーントレーシングアシストの作動中に無操作状態が続いた場合、音と表示、緩やかな減速によってドライバーに警告。さらにハザードとホーンで周囲に異常を報知しながら自車線内で減速・停止し、事故を予防、ないし事故被害を軽減するというものだ。停車後には自動でドアを解錠するとともに、ヘルプネットに自動接続して救命要請を実施。ドライバーの救命・救護に寄与するとしている。
通信アップデートでソフトウエアを更新可能に
インフォテインメントシステムも従来型から刷新しており、操作インターフェイスには大型化・高解像度化した12.3インチタッチディスプレイを搭載。ナビや音楽、車両設定などの選択アイコンを運転席側に常時表示するなど、画面レイアウトの最適化も図っている。
機能も強化しており、ナビゲーションシステムにはクラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き状況をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。音声認識機能については、ステアリングホイール上のスイッチによる起動に加え、ディスプレイ上のアイコン操作や発話による起動も可能とした。さらに、スマートフォンのアプリを車載のディスプレイで使用できるミラーリング機能「Apple CarPlay」「Android Auto」にも対応。インターネット接続により、ウェブサイトの閲覧を可能とするウェブブラウザー機能も搭載された。
このほかにも、コネクテッドサービスや「G-Link」などの機能も拡充。無線通信によってソフトウエアの更新が可能となる「OTA(Over The Air)ソフトウエアアップデート機能」も搭載され、購入後もマルチメディアの性能向上や新機能の追加ができるようになった。
また、タッチスクリーンの採用にともないインストゥルメントパネルやセンターコンソールのスイッチレイアウトも変更。空いたスペースに充電用のUSBポート(Type-C)を2個新設したほか、ワイヤレスチャージャー「おくだけ充電」のスペースも上下方向に拡大。LED照明を追加するなどして、利便性を向上させている。
価格は以下のとおり。
- UX300e“バージョンC”:630万円
- UX300e“バージョンL”:685万円
(webCG)