フェラーリがルマンで優勝したレーシングマシンベースの限定車「499Pモディフィカータ」を発表
2023.10.30 自動車ニュース![]() |
伊フェラーリは2023年10月28日(現地時間)、ごく少数を限定生産する非競技用途のサーキット専用モデル「499P Modificata(モディフィカータ)」を、フェラーリ最大のカスタマー向けサーキットイベント「フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ」で発表した。
499Pモディフィカータは、同年6月に100周年記念となったルマン24時間レースで総合優勝を飾ったレーシングマシン「499P」をベースに開発。フェラーリは「サーキット走行の興奮に、新たなベンチマークを打ち立てることを目指したモデル」とアナウンスしている。
前述のとおりプロダクションモデルではなく、レーシングマシンからテクニカルレギュレーションの制約がないサーキット専用車を直接開発したのが、同モデルにおける最大の特徴だ。レーシングマシンをベースとしているものの、FIA世界耐久選手権(WEC)に課されるレギュレーションに縛られないため、フェラーリのエンジニアリングチームは「パフォーマンスをより引き出しやすいモデルに仕上げることができた」という。
デザインはフラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリスタイリングセンターが担当。波打つシンプルなフォルムで高度な技術やエアロダイナミクス、そしてフェラーリのDNAを表現したと紹介される。
低速でも電動アクスルを用いた4輪駆動が可能とされ、163PSの出力増加をドライバーが選択できる「プッシュ・トゥ・パス」機能(一回7秒間作動)の搭載や、ピレリが開発した専用タイヤの採用などが499Pからの主な技術的変更点として挙げられる。サスペンションのセットアップや電子制御システム、エンジンのマッピングも499Pモディフィカータ用に改められている。
パワーユニットはリアミドに搭載されるV6エンジンとフロントアクスルの電動モーターを組み合わせたハイブリッドシステム。モーター単体での最高出力は272PS、システム全体の出力は870PSに達する。トランスミッションは7段シーケンシャルで、サブフレームにマウントされたエンジンは荷重を担う構造部材としても用いられている。
ボディーやシャシーもレーシングカー譲りで、カーボンファイバー製のモノコックシャシーやプッシュロッド式のサスペンション、バイワイヤ式のブレーキシステムを採用。電動フロントアクスルにはエネルギー回生機構が組み込まれている。コックピットは499Pと同じシングルシートレイアウトとなる。
フェラーリのコルセクリエンティ部門は、2024年に「スポルトプロトティピクリエンティ」プログラムをスタート。フェラーリは499P専用のサーキットイベントを開催し、オーナーに対してメンテナンスや技術、輸送のサポートを行うとしている。
(webCG)