リアルに勝るものなし? 「ディフェンダー」のイベントで“特別”と“世界観”を体感
2024.10.10 デイリーコラムDESTINATION DEFENDERに名称を変更
多くの人にとっては今更の説明かもしれないが、英国ランドローバーの起源は1948年にさかのぼる。同年4月、オランダ・アムステルダムで開催されたモーターショーで四輪駆動モデル「ランドローバー」を発表したことが、同ブランドの始まりとされる。以来(一部モデルのバリエーションに前輪駆動車も登場したが)、四輪駆動車一筋で七十余年。ちなみにこの歴史は2028年に創立80周年を迎える、英国のスポーツカーブランド、ロータスと同じである。
ジャガー・ランドローバー・ジャパンは、今秋、始祖であるランドローバーのDNAを受け継ぐ直系ともいうべき「ディフェンダー」のオーナーとファンを対象としたライフスタイル体験イベント「DESTINATION DEFENDER POP-UP IN KARUIZAWA」を2024年10月5日~13日の9日間にわたり開催。舞台となるのは、長野・軽井沢のMMoP(モップ)だ。
MMoPには、国内外の写真作品を展示する御代田写真美術館のほか、地元の食材を用いたカフェやレストラン、北欧ビンテージやオリジナルの家具、工芸作家の作品を販売するショップ、インポートファッションを中心にラインナップするブティックなどが点在。さまざまなイベントが開催されてきたユニークなプレイスポットである。
これまでディフェンダーのイベントといえば、長野・白馬が舞台となった「DEFENDER DAY」や「LAND ROVER DAY」、全国各地で行われた「OFFROAD EXPERIENCE」が知られるところで、2023年には初の都市型イベント「DEFENDER EXPERIENCE」も開催。グローバルでは「ADVENTURE TRAVEL」と題したツアーが人気を集めている。
今回イベント名がDESTINATION DEFENDERとなったのは、グローバルで行われるユーザーエクスペリエンスの名称との統一を図ったからで、2024年11月15日~17日に東京・豊洲で開催が予定されるイベントは「DESTINATION DEFENDER TOKYO 2024」とされる。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
楽しさや世界観の共有を図る
DESTINATION DEFENDER POP-UP IN KARUIZAWAでは、日によって異なるプログラムが楽しめる。われわれが現地を訪れた際は、「ディフェンダー90」をモチーフとしたステンドグラスの制作体験と、ボルダリング体験が行われていた。別日にはハスの葉を使った「ボタニーペインティング」講座や星空観察会、軽井沢野鳥の森を歩きながらの「ネイチャーウオッチングツアー」といったプログラムも用意される。
ディフェンダーのパフォーマンスを味わえる試乗メニューも2つ。ひとつは会場周辺の一般道を走る「ウイークエンドテストドライブ」。もうひとつは軽井沢市街と林道を走行する「ウイークデイテストドライブ」で、オン/オフロードの両方でディフェンダーが有するケイパビリティーの一端を垣間見ることができそうだ。どちらも試乗車両はジャガー・ランドローバー・ジャパンが用意。試乗中はプロインストラクターも同乗するので、初めてディフェンダーに触れる人には心強く、次期愛車を選定中であれば車両の特徴を解説してもらいながら試乗できる貴重な機会となるだろう。
これらは来場者が誰でも参加できるプログラムだが、オーナー限定のエクスクルーシブミーティングも用意されている。それが「DEFENDER BREAKFAST」だ。朝食をともにしながらオーナー同士の交流を深めることを目的とし、ディフェンダーを所有することによってもたらされる楽しさや世界観を共有することができる。
ジャガー・ランドローバー・ジャパンは、DESTINATION DEFENDER POP-UP IN KARUIZAWAについて「豊かな自然に囲まれた心地よい空間で、冒険心を満たすライフスタイル体験を提供する」と開催の目的を説明。今後はDESTINATION DEFENDERの名の下に、より充実したユーザー体験を提供していくと抱負を述べている。フェスティバルと題したお祭り的なサーキットイベントを国内の自動車メーカーも時折開催しているが、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのユーザーイベントはそれとは少し趣が違う。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
リアルイベントならではの空気感
ジャガー・ランドローバー・ジャパンがユーザー体験イベントを開催する目的は大きく2つあるという。ひとつはジャガー・ランドローバー(JLR)が掲げる「REIMAGINE(リイマジン)」計画によりディフェンダーがブランド化されたことに関係している。
現在JLRは英国企業としてのアイデンティティーをそのままに、JLRの下にレンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリーそしてジャガーという4つのハウス・オブ・ブランドを置く新プランを推進している。日本ではランドローバーという名称こそ広く知られているが、ディフェンダーをブランドとして考えれば、レンジローバーやジャガーほどユーザー認知度は高くないのだという。これを引き上げて、本格オフローダーとしての地位を確固たるものにするのが第一の目的だ。
もうひとつはプレミアムブランドにふさわしい上質で個性あふれる特別な時間を、ディフェンダーのユーザーに体験してもらうことにある。車両のパフォーマンスに加え、他ブランドと差異化したディフェンダーの無二なる世界観の提供は、ロイヤルカスタマーの囲い込みや顧客満足度の向上に寄与する。そんな確立された世界観があれば、それに憧れ「いつかはディフェンダーに乗りたい」というファンも増えるだろう。
11月に東京・豊洲で行われる「DESTINATION DEFENDER TOKYO 2024」では、急坂やモーグル路を再現した特設コースでの試乗や各種ワークショップといったアクティビティーのほか、DEFENDER BREAKFAST、ミュージックライブ、ライブペインティングパフォーマンスの実施も予定されている。会場を訪れ、その空気感を味わいつつそこから広がる何かに触れる。スマホやPCを通じてさまざまな情報が簡単に手に入る現代でも、リアルイベントはやはり興味深い。
以前、クルマの面白さを感じるならリアルイベントに並ぶものはないとお伝えしたが、こうしたイベントに参加するたびにその言葉をしみじみとかみしめる。
(文=櫻井健一/写真=ジャガー・ランドローバー・ジャパン/編集=櫻井健一)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

櫻井 健一
webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。
-
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性NEW 2025.9.5 あのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。
-
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代 2025.9.4 24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。
-
マツダの将来を担う次世代バイオディーゼル燃料 需給拡大に向けた最新の取り組みを知る 2025.9.3 ディーゼルエンジンを主力とするマツダにとって、カーボンニュートラルを実現した次世代バイオディーゼル燃料は生命線ともいえる存在だ。関係各社を巻き込んで需給拡大を図るマツダの取り組みと、次世代燃料の最新事情を紹介する。
-
意外とクルマは苦手かも!? 自動車メディアの領域で、今のAIにできること、できないこと 2025.9.1 AIは今や、文章のみならず画像や動画もすぐに生成できるレベルへと発展している。では、それらを扱うメディア、なかでもわれわれ自動車メディアはどう活用できるのか? このテクノロジーの現在地について考える。
-
世界の議論を日本が主導! 進むハンズオフ運転支援機能の普及と国際基準制定の裏側 2025.8.29 世界的に開発と普及が進むハンズオフ(手放し運転)運転支援機能の、国際基準が改定された。先進運転支援や自動運転の技術の基準は、どのように決められ、またそこで日本はどんな役割を果たしているのか? 新技術の普及に必須の“ルールづくり”を解説する。
-
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
NEW
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。 -
第926回:フィアット初の電動三輪多目的車 その客を大切にせよ
2025.9.4マッキナ あらモーダ!ステランティスが新しい電動三輪車「フィアット・トリス」を発表。イタリアでデザインされ、モロッコで生産される新しいモビリティーが狙う、マーケットと顧客とは? イタリア在住の大矢アキオが、地中海の向こう側にある成長市場の重要性を語る。 -
ロータス・エメヤR(後編)
2025.9.4あの多田哲哉の自動車放談長年にわたりトヨタで車両開発に取り組んできた多田哲哉さんをして「あまりにも衝撃的な一台」といわしめる「ロータス・エメヤR」。その存在意義について、ベテランエンジニアが熱く語る。