第3回:タイヤよ! あれがパリの灯だ 新しい「ルノー・キャプチャー」を試す
2025.07.09 ルノー・キャプチャー日常劇場いざ「日本のパリ」へ
新しい「ルノー・キャプチャー」を前にすると、パリに行きたいという気持ちが首をもたげてきた。もちろんフランス車だからというのがその第一の理由だが、よりスマートに刷新されたフロントまわりと、あまり変化のないリアまわり。すなわち未来と過去を見事に融合した新しいエクステリアデザインが、伝統と革新が同居するフランスの首都を思い起こさせたといえるだろう。
業務の合間を縫ってのパリ旅行はちょっと難しいが、キャプチャーで日本のパリに行くのはどうだろうか。2005年以降、日本全国津々浦々に「〇〇のダルビッシュ」が現れては消えていったが、われわれ『笑点』ファンにとって日本のパリといえば答えは決まっている。なにしろそこに住む人々の朝食はクロワッサンとカプチーノであり、市内にはセーヌ川が流れているという。アラン・ドロンの出身地でもあるらしい。
中央自動車道を富士吉田方面に曲がって1つ目のICで降りれば、そこは山梨県の大月市である。まずは市内の名所である猿橋を目指す。猿橋は長さも水面からの高さも30mほどある木造橋だが、橋脚を使っていないのが特徴だ。その代わり両岸から小さな橋が重なり合いながら川の中央に向かって伸びており、両岸を結ぶ一番上の橋を支えている。由来書きによればその起源は推古天皇の時代にまでさかのぼるらしい。パリならフランク王国の時代ということになるが、猿橋がまたがっているのはセーヌ川ではなく桂川だ。
現代的に生まれ変わったインテリア
平日の早朝ということもあり、私のほかに観光客はゼロ。橋はもちろんのこと、切り立った白い崖がまた見事である。近くの石段を下り、大きな石をよけながら少し歩けば、橋の下、すなわち桂川の河川敷に降りられる。木々がうっそうとしていた橋のたもととは一転、そこには陽光を妨げるものがひとつもない開けた景色が広がっており、思わず「ああ」と声が漏れる。私のような田舎出身の人間でなくても、日本の原風景とはこういうものだと感じるに違いない。
猿橋に夢中ですっかりほったらかしにしていたが、新しいキャプチャーについても触れねばなるまい。すでに編集部の別の者がいろいろ紹介しているので詳細はそちらに譲るが、変更点が多いのは外装よりも内装であり、特にダッシュボード中央に据えられた10.4インチのタッチスクリーンは、縦型レイアウトも相まって目立つ存在だ。大きくなっただけでなく表示クオリティーもまるで別物に変わっている。ソフトウエアも刷新されており、設定可能な項目がこれまでとは段違いに多い。メーター用の液晶はサイズが小さくなったとのことだが、こちらも表示クオリティーは向上しているので、むしろいいモノ感が増している。
ダッシュボード中央に並んだ鍵盤状のエアコン用スイッチもぜひ紹介したいポイントだ。これらはドライバー側に向けられると同時に、少しだけ上向きにレイアウトされている。温度や風量を上げてアップ、下げてダウンというのは直感的に分かるが、実はデフロスターや内気循環などもすべて上げても下げてもオン/オフができる。斜めになっているので上げるというよりは押す、つまりこのスイッチは押し下げると押し込むの2つの操作に対応している優れものなのだ。右ハンドルなのに温度調整が一番左、エアコンオフが一番右になっているのはご愛嬌(あいきょう)である。
アルピーヌの名に恥じない走り
本題に戻ろう。猿橋近くにいた人から情報を得て、今度は深城ダムを目指す。国道139号を東京方面に少し戻りながら山道を上ることになる。紹介が遅れたが、このキャプチャーはマイナーチェンジで追加設定された「エスプリアルピーヌ マイルドハイブリッド」である。デュアルクラッチATのダイレクト感の強い変速、ダイレクト感の強い足まわりなどが乗り味の特徴といえるが、こうしたワインディングロードでは胸のすく走りが味わえる。連続するコーナーをひらりひらりと駆け抜ける際の楽しさは、まさにアルピーヌの名にふさわしい。堂々たるスタイリングでありながらボディーの全幅は1800mmを切っているため、初めての道にも自信をもって踏み入れられる。
ダムの湖面を眺めながら澄んだ空気を味わい、再び市内の中心部へ。どこを回っても古い宿場町の風情であり、三遊亭小遊三はどうして「日本のパリ」などと呼んでいるのだろうか。そのあたりは今後の『笑点』で確かめたいと思う。
大月市はパリではなかったけれど、雄大な自然に囲まれながら都心からのアクセスが良好な素晴らしい街である。新しいルノー・キャプチャーはパリの石畳もさぞ似合うことだろうが、日本の宿場町や大自然でのたたずまいもなかなかいい感じだ。
(文と写真と編集=藤沢 勝)

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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