第2回:最新の「ルノー・キャプチャー」でパリのペリフェリック(っぽい道)を行く
2025.07.02 ルノー・キャプチャー日常劇場 拡大 |
マイナーチェンジした欧州のベストセラーSUV「ルノー・キャプチャー」がある日常風景をリポートする企画、第2回。新登場したマイルドハイブリッド車のステアリングを握って向かったのは、パリのペリフェリック(自動車専用の環状線)をほうふつさせる(?)日本を代表する環状ルートである。
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目を引くフロントフェイス
その日、撮影をお願いしたカメラマン氏に「日本でフランスを味わえる場所はどこですかね?」と、なんとなく尋ねた。webCGほったが連載第1回のリポートでぼやいて……、いや報告しているとおり、webCGマーケティング担当の大和より「今回は、おフランスなシチュエーションで」(ほぼ原文ママ)と、この『ルノー・キャプチャー日常劇場』の内容についてのリクエストがあったからだ。
撮影の合間、カメラマン氏は「そういえば北海道にルーブル美術館をモチーフとしたガラスでできたピラミッドっぽい建物があるらしいですよ」と教えてくれた。調べるとそれは北海道・札幌にあるモエレ沼公園の建物であることがわかった。
おお、ルーブル! ちょうどアマプラで映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を鑑賞して間もなかったので、一瞬気持ちは盛り上がったものの(映画は実に自分好みの内容でとても満足しました)、いかんせん北海道である。カメラマン氏も実際に行ったことはないらしく、話もそれ以上は広がらなかった。せっかくだったら「面白そうだからいっしょに行きましょうか」「えー本当にそんな長距離を付き合ってくれるの? だが断る」ぐらいまでのやりとりをしたかったのだが、『ジョジョ』ファン同士でもなければそれは望むべくもない。
ともかく、マイナーチェンジしたルノー・キャプチャーは、“ヴィダル顔”と呼ばれるルノーブランド・デザインディレクターのジル・ヴィダル氏の手になる横長のヘッドランプと、その下に位置するロザンジュ(ひし形)をモチーフとしたデイタイムランニングランプ、そしてポリカーボネートの小窓からボディーカラーが顔をのぞかせるグリルなどで構成されるフロントフェイスが特徴だ。従来型のCシェイプデイタイムランプに代表される丸みを帯びた細部のデザインも個性的であったが、進化したモデルは少し大人びた表情に魅力を感じる。
“じんわり”に対して“すんなり”
今回の試乗車両は、マイナーチェンジで新設定されたマイルドハイブリッドモデルである。従来型から継続してラインナップされる「フルハイブリッドE-TECH」が最高出力94PS、最大トルク148N・mの1.6リッター直4エンジンに同49PS、同205N・mの電動モーターと容量1.2kWhの駆動用バッテリーを組み合わせて搭載するのに対して、こちらは最高出力158PSの1.3リッター直4直噴ターボエンジンに、同20PSの補助モーター(BSG)と12Vリチウムイオンバッテリーを組み合わせている。
ルーブルを諦め、シャープな“ヴィダル顔”の奥に新しいマイルドハイブリッドシステムを搭載したキャプチャーで向かったのは、パリの中心部を取り囲むように配置されたペリフェリックと呼ばれる自動車専用の環状線……をほうふつさせる首都高・中央環状線(C2)である。パリは東京の姉妹都市。ならばペリフェリックを走ったつもりになってC2を行くのは悪くない(はず?)。
もっともペリフェリックは一周約37kmで片側4車線が基本。対するC2は一周約47kmで基本片側2車線、高架とトンネルで構成されているという違いはある。ついでにいえば、C2にPAはない。そんなこともあって、ショートカットルートになってしまうが、まずはカーマニアの聖地と呼ばれる首都高9号深川線の辰巳PAを目指すことにした(首都圏以外の方にはどうでもいいハナシですみません)。
カタログに掲載される車重は、フルハイブリッドE-TECHが1420kg、いっぽうのマイルドハイブリッドが1330kg。乗り比べると、マイルドハイブリッドのほうがより軽快で、俊敏であることがわかる。重厚感といかにも最新の電動車らしい走りが味わえる前者に対して、後者は内燃機関らしいエンジンの鼓動がダイレクトに感じられて、昭和生まれのベテランカーマニア(私です)はどこか安心してしまう。
コーナーの手前で感じるノーズの入り方にも差異はあり、フルハイブリッドは“じんわり”、マイルドハイブリッドは“すんなり”といったステアリングフィール。ただし、そうして印象は異なるのに、どちらもしっかりとしたグリップ感が味わえるのは面白い。ルノーといえば、昔からメカニカルグリップが高いブランドと感じているが、今回も同じ感想を得るに至った。ちなみにタイヤはいずれのモデルも225/45R19サイズ(大きい!)の「ミシュランeプライマシー2」であった。
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「Eco Score」は100点満点中76点
パワーユニット始動時の「マルチセンス」と呼ばれる走行モードは「COMFORT」がデフォルト。「ECO」と「SPORT」、そしてユーザー好みでドライブフィールや室内環境の設定が行える「PERSO」も用意されている。正直、COMFORTモードは良くも悪くも普通。ただ、ルノーの思惑とは異なるのかもしれないが街なかをきびきびと走りたい向きにはSPORTモード一択であると報告したい。COMFORTモードでは、他車の流れを阻害しないために軽く加速したいシーンや側道からの合流シーンなどで、ほんの少しじれったくなることがある。
SPORTモードでの走りは楽しい。ただし、他のモードよりも低めのギアを選択し多めにエンジンを回すだけあって、燃費の面で不利になることは否めない。今回は都内を中心に約100km走行して平均燃費は11.6km/リッター。ロングツーリングに出た連載第1回のwebCGほったに負けている。ただ、「Eco Score」という運転診断機能は、「前方交通予測に改善余地あり」という五輪フェンシングの銀メダリスト太田雄貴選手が繰り出す「振り込み」張りに精度の高い鋭い評価であったが、100点満点中のスコアは76点と、完全にほったの上をいく。どうよ。まあ、せまい社会で勝った負けたではないとは思う反面、街なかメインでこの数字はまずまずなのでは?
リファインされた内外装は、デザインも質感も年齢層が上がった印象で、「コンパクトなSUVは欲しいけれど、子供っぽいのはちょっと」というベテランドライバーにもおすすめできる。エントリーグレード「テクノ」の上に位置する「エスプリ アルピーヌ」グレードは、今回の試乗車両でもわかるとおり、華美ではないシックで上品なたたずまいと、さりげないアルピーヌ押しがバランスよくマッチ。インフォテインメント系はタッチパネル操作で、頻繁に使うエアコン関連のスイッチは独立した物理スイッチでというUIとレイアウトも配慮がなされている。
日本の道路事情にマッチしたボディーサイズに実用的な機能と装備が盛り込まれ、マイルドハイブリッド化によって燃費も向上しているとなれば、注目したくなる一台である。もしも本当にそう思っているのかと疑問に感じる向きには、岸辺露伴先生のギフト「ヘブンズ・ドアー」で、いま心の扉を開かれても問題なし、とお伝えしておく。
(文と写真と編集=櫻井健一/車両協力=ルノー・ジャポン)
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櫻井 健一
webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。
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