「三菱デリカミニ」がフルモデルチェンジ 「グラベル」も選べる本格的なドライブモードセレクター搭載
2025.08.22 自動車ニュース![]() |
三菱自動車は2025年8月22日、軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」および「eKスペース」の新型を発表し、予約注文受け付けを開始した。同年秋の発売が予定されている。
2023年5月にデビューしたばかりの三菱デリカミニが早くもフルモデルチェンジ。といっても当時は「eKクロス スペース」(デリカミニと入れ替わりで終売)のビッグマイナーチェンジモデルとして登場したため、まっさらな新型はこれが初めて。自慢のアウトドアイメージをさらに高めただけでなく、機能装備の大幅な強化や内装の質感アップも図っており、商品力の全体的な底上げでシェア拡大を目指す。
一方のeKスペースは、軽スーパーハイトワゴンの王道というか売れ筋を追いかけるかのようなスタイルに生まれ変わり、スタンダードな魅力で幅広い世代の取り込みを狙う。主力はデリカミニかもしれないが、こちらも機能や質感の面では先代モデルから確かな進化を遂げている。
なお、現時点では新型のボディーサイズやエンジンのスペック、燃費等の詳細は未公表。価格帯はデリカミニが195万円~295万円、eKスペースが175万円~195万円となっている。
新型デリカミニのエクステリアは独特の半円形ヘッドランプシグネチャーの大型化によって親しみやすさがアップ。一方で前後のスキッドプレートを大型化し、ボンネットは厚みを強調した形状に変更。ボディー同色のダイナミックシールドも合わせてこれまで以上にタフネスを強調している。4WDモデルにはトレッキングシューズをモチーフにした新デザインのアルミホイールも装備する。なお、ボディー全体としてはフロントピラーの上端を前方に10cm移動し、サイドビューがより伸びやかなスタイリングに。もちろん前席前方の室内空間も拡大している。
インテリアはスタンダードグレード向けにはブラック×アイボリー、プレミアムグレード向けにはブラック×カーキの2つのコーディネートを用意。どちらも助手席前方にアシストグリップを兼ねた「DELICA mini」ロゴ入りのトレイが備わるほか、随所にステッチ調加工をあしらうなどして見栄えを手当て。シート表皮には防水加工を施している(プレミアム向けはブロック状のキルティング入り)。シフトセレクターの左側には軽らしからぬ立派なドライブモードセレクトダイヤルが備わっている(後述)。
カラーリングや質感ばかりではなく、メーター用の7インチとインフォテインメント用の12.3インチの2つのスクリーンを並べたダッシュボードはクラスを超えたぜいたくな眺めだ。インフォテインメントには軽自動車では初となるGoogleのシステムを採用しており、スタンドアローンで「Googleマップ」が使えるほか、会話のようなコマンドでナビゲーションやエアコン、オーディオ等が操作できる「Googleアシスタント」も搭載。アプリを追加すれば「YouTube」「Spotify」なども楽しめる(動画は停車時のみ)。
クラスNo.1をうたう650mmのスライドドアの開口幅や樹脂製ラゲッジボード&PVC製後席シートバック、左右合計6個のラゲッジフック、メーター前方のアッパーボックス、フラップ付きでさまざまなサイズに対応するカップホルダーなども採用し、軽スーパーハイトワゴンとしての基本性能も着実に強化。キーを持って車両に近づくとアンロック、離れるとロックする機能は軽自動車として初搭載となる。
運転しやすさにこだわったのも見逃せないポイントだ。運転席の着座位置を売れ筋の競合モデルよりも40mm高く設定したほか、ドライバーとステアリングホイールの距離を短縮して大柄な人でもきちんとした運転姿勢をとれるように改良。ウインドシールドを支えるA0ピラーとボディーの強度を確保するA1ピラーの間隔を広げ、斜め前方視界を拡大している。さらに三菱としては初となる周囲を立体的に確認できる3Dマルチアラウンドモニターも装備。車両を取り囲むような計8つの視点からのカメラ映像に加えて、丁字路の左右をワイドな映像で確認できるノーズパノラマビュー、車両下部の路面を合成映像で確認できるフロントアンダーフロアビューなどで安全運転をサポートする。
ウインドシールドには特殊遮音フィルムガラスを採用し、ドアには2層の遮音シートと下端のシーリングを施すなどして静粛性も手当て。50km/h走行時の会話明瞭度(前後席間)ではBセグメント車級をうたう。
前後のショックアブソーバーには乗り心地とライントレース性を高次元で両立したというカヤバの「プロスムース」を軽および三菱自動車として初採用し、専用チューニングを実施。高剛性スタビリンクやアルミベアリング、ブッシュ位置の変更等によって走行中のふらつきも抑制したという。
ダイヤルで選べるドライブモードは「ノーマル」「エコ」「パワー」「グラベル」「スノー」の全5種類。エンジンレスポンスとシフトマップ、スタビリティーコントロール、トラクションコントロールのレスポンス、ブレーキLSDのレスポンス、電動パワーステアリングの6つのパラメーターのコントロールによってさまざまな路面状況に対応。従来モデルと同様にヒルディセントコントロールも備わっている。4WDモデルの開発は「デリカD:5」のメンバーが担当したとされる。
エンジンとCVTは基本的に従来モデルと同じユニットとのことだが、マイルドハイブリッドは搭載しない。ただしピストンのフリクション低減などの改良によって同等の燃費レベルを達成したほか、CVTはアクセルペダルの踏み込み量に応じた自然な回転上昇を実現したという。
ボディーカラーはモノトーンが「ホワイト」「チタニウムグレー」「ブラック」「レッド」「ナチュラルアイボリー」「アッシュグリーン」「ミストブルー」に、新色の「サンドベージュ」「デニムブルー」を加えた全9色。ツートンは「ホワイト/ブラック」「チタニウムグレー/ブラック」「ナチュラルアイボリー/ブラック」「アッシュグリーン/ブラック」「サンドベージュ/ブラック」「デニムブルー/ブラック」の6タイプをラインナップする。
(webCG)