第51回:290万円の高額グレードが約4割で受注1万台! バカ売れ「デリカミニ」の衝撃
2025.11.28 小沢コージの勢いまかせ!! リターンズいまどきの軽は高いほうから売れるのか?
不肖小沢、驚き桃の木ビックリ仰天です。2025年10月末発売の“たった2年でフルチェンジ”の軽スーパーハイトワゴン「三菱デリカミニ」がいきなり受注1万台。それだけでも驚きなのに、内訳を見ると290万円超の最上級グレード「TプレミアムDELIMARUパッケージ」(4WD)が全体の約4割。
「N-BOX」をはじめ軽スーパーハイトワゴンが200万円を超えるのは当たり前だったが、もはや300万円近いとは!
TプレミアムDELIMARUパッケージ(4WD)に限らず、12.3インチディスプレイ+10年間のGoogle使用料込みで50万円強も値段がはね上がる「DELIMALUパッケージ」の比率が全体の67%!
高市総理の所得倍増計画が始まったとはいえ、いまだビンボーなハズの日本人が軽に300万円払うのがフツーになってるとは。
確かに新デリカミニ、内装質感はバカ高だし、林道走ってもメチャ頼れるし、部分的に質感は王者N-BOX超えを果たしてるとはいえ、この三菱の奇跡はなんなの? 旧知の開発エンジニア、厚海貴裕さんを直撃だ。
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たった2年でのフルチェンジ、怒られなかった?
小沢:なんかすごく売れてるようで。
厚海:ありがとうございます。10月29日に発売されて1万台を超える受注をいただいています。
小沢:何が成功したんでしょう?
厚海:新しいのが出るぞ! ということでご期待をいただいた。しかも結構変わるぞっていうところを訴求させていただいて。
小沢:でも実はたった2年で初代からのフルモデルチェンジ。初代オーナーから怒られませんでした? 先日買ったばかりなのにって。
厚海:それがお乗り換えいただくこともすごく多くて、逆に待ってました! と。
小沢:みんな景気がいいというか、イイモノに弱いんですね(笑)。ただ、私のYouTubeのコメント欄に初代の「Tプレミアム」(4WD)を買った人がいて「今回の新型は、マイルドハイブリッドなしでパドルシフトなしで、ルーフレールもハンズフリードアもなしで」と細かいご不満が。
厚海:確かにご指摘の部分はあるんです。単純に装備面だけでいうと、グレードによってはマイナス面もある。実際にハンズフリードアがなくなっているグレードもあるんですけど、違うところに注力しておりまして。例えば、マイルドハイブリッドをやめたぶん、フロントに遮音ガラスを採用したり、ドライブモードセレクターが付いたりと、性能はかなり上がっています。カタログの最後のページ(装備一覧)だけ見てしまうとそう思われてしまうかもしれませんが。
小沢:確かに走りの質感は相当アップしてるし、デジタル性能に、何よりもインテリアの質感アップがハンパじゃない。デカく目ヂカラが増したヘッドライトを含め、デリカらしさが増したみたいな感じはあるかと。
厚海:われわれとしてはやりたかったデリカミニというのがあって、前回は言ってしまえばビッグマイナーチェンジだったのでやりきれなかった。そこが今回できたのは大きいですね。
小沢:実際の手応えは?
厚海:先日のジャパンモビリティショーでも、公開初日から「予約しました」「見に来ました」っていう方がすごく多くて驚きました(笑)。
高くても納得してもらえる
小沢:それより驚いたのは値段と売れ行きです。そもそもDELIMARUパッケージは50万円も値段が上がるので結構高いな~と思ってたら、一番高いTプレミアムDELIMARUパッケージ(4WD)が全体の約4割で、これの2WDや「GプレミアムDELIMARUパッケージ」(2WD&4WD)も含めた販売割合は約7割! マジですかと。最上級の4駆でも230万円と高いのに、DELIMARU付きだと290万円超え。これで中古のベンツ買えますけど(笑)。
厚海:ただ結局、他社さんもスーパーハイトワゴンは200万を超えてきてまして、それに必要な装備、ナビとかETCとかもろもろ付けると300万近くになってしまうという。
小沢:確かに。最近ディーラーで軽の見積もりをとってみるとビビりますね。
厚海:ショーに来ていただいたお客さまも「高いね」とはおっしゃっていて。でも価格の中身をご説明すると結局同じくらい。妥当だねと。
小沢:手応え的にどのあたりが?
厚海:デザインはもちろん、内装などが普通車と同等ぐらいのレベルになっているので。本当に軽自動車ですか? って言ってくださるお客さまもいらっしゃって。
小沢:特に内装はイイですよね。革調の質感とかソファのようなシートとか本当に軽じゃなくなってると思います。
DELIMARUパッケージは走るスマホか?
小沢:とはいえDELIMARUパッケージ、12.3インチのビッグモニターとGoogleの10年間の利用料を含めて50万円強! コレは高いなと。
厚海:それだけじゃないですよ。デジタルルームミラーとかドライブレコーダー、ETC2.0も込み(笑)。
小沢:とにかくよく付けるなと。最近、自動車のスマホ化みたいなことが言われてますけど、これがそうなのかと。みんなよくお金払えるなってか、なんかデリカミニ付属のスマホ買ってる感じですかね?
厚海:Googleもそうですけど、結局ナビに表示するのはGoogleマップなので毎日新しい地図なんですよ。
小沢:新しい地図? 元スマみたいな?
厚海:今までのナビって2年に一度とかの地図更新が必要だと思うんですけど、Googleマップは毎日新しい。ってことは毎日通信してるんです。いわゆるOTAですが、皆さんの携帯と同じで通信料金がかかっちゃう。そこに10年分の通信料が含まれてるんです。
小沢:50万円の一部は車載Googleソフトの料金じゃなくて単純に通信料だと。ハードが35万円で10万円分ぐらいですかね?
厚海:具体的にお答えするのは難しいですが、月々のスマホ料金で一番格安プランで月1000円とか、そのぐらいをイメージしていただけたら。
小沢:やはり走るスマホなんですね。今は三菱だけでなく、日産とかホンダとかボルボまでGoogleになっていて、これも時代だなと。とはいえハード込みで50万円。これ結構勇気が要りませんか?
厚海:もちろんです(笑)。
小沢:なんせ「日産ルークス」にはこの設定がないし、普通は最初の1年とか3年が無料で後は課金制。ただそうすると、途中でやめちゃう人がいると思うんですよ。やっぱり、車載Googleスマホ的に使いたいユーザーが結構いると?
厚海:あの、どっちかというと逆で。
小沢:逆?
厚海:これはいいね……って感じてもらうには使っていただくしかないので。そこに心理的、お金的な壁をつくると逆に使われなくなっちゃう。ただし、使ってもらえればAndroidスマートフォンみたいな感じでいくらでもアプリも追加できるし、音声操作もできる。
小沢:なるほど。じゃ結構、スマホ性能的には自信ありと。実際に装着率67%ってすごいですね。
厚海:本当にありがたい限りです(笑)。
ってなわけで単純にデリカ味が濃くなったという進化はもちろん、事実上のクルマの走るスマホ化の促進という意味も大きいとみた新型デリカミニ。
とはいえ小沢的には、全体の高級感や走りもさることながら、オフロードでの走りやすさも印象的。デコボコの草道でもしなやかに動く足まわりと、腐った丸太を避けるには最適な新インフォテインメントのシースルービューの効果などなど。
いやしかし、こうやって時代は変わっていくんですねぇ。
(文と写真=小沢コージ/編集=藤沢 勝)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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