暑い! 熱い! アツい今、クルマの「暑さ対策機能」を知る
2025.08.25 デイリーコラムスマホがかなえる車内予冷
それにしても暑い!
「39度のとろけそうな日♪」とセンチメンタル・バスが歌っていたのは1999年夏のこと。歌詞のなかで「39度」と言っているのは甲子園球場のことらしいけれど、当時社会人になりたてだった筆者は「さすがに39度は暑すぎだろう」と曲を聴くたびに思ったりして。懐かしいなあ。
あれから四半世紀。2025年の日本は、ニュースで「40度超え」なんていう衝撃ワードが飛び交っていて、とにかく暑い。そこで今回のテーマは「今どきのクルマに採用されている熱対策」である。
クルマの熱対策といえばなんといってもエアコン……であることは今も昔も変わらないが、今どきのクルマはその前にやれることがある。乗車前のリモートスタートだ。
「そんなの後付けのリモートエンジンスターターとかEV/PHEV限定の装備でしょ?」と思うかもしれないけれど、昨今は事情が違う。多くのクルマがコネクテッドカーとなりスマホとつながった結果、スマホを通じてのアプリ操作で遠隔エンジンスタート(=乗車前のエアコン始動)ができるクルマが増えている。「マツダ・ロードスター」だって最新モデル(のAT車)はできるほどだ。
これが真夏にはめっちゃ効く。ほんの数分間とはいえ、あらかじめエアコンをかけておくことで、ドアを開けて乗り込んだ時の殺人的な熱気を和らげることができるし、乗り込んでから車内の温度を下げて出発するまでの時間も短縮してくれる。乗り込む時の快適性を高めるためには、そんな機能を搭載する新車を選ぶのがいいだろう。
要はエアコンをどう生かすか
「スマホによるインターネット経由」に比べると操作できる範囲は狭まるけれど、リモコンキーのスイッチから遠隔始動できる車種もある。部屋から見渡せる範囲にクルマを止めているなら、なんとか操作できるかも。
外気温が高くなると重要なのがエアコンの能力だが、昨今はコンプレッサーの作動をエンジンの力に頼らない「電動エアコン」なんてものが出始めている。いや正確に言えば「出始めている」というのは間違った表現で、かなり普及している。EVに加えて“マイルドハイブリッド以外”のハイブリッドカーは例外なく“電動式”だからだ。なぜならエンジン停止中もしっかりと冷気を送るためである。
これは個人的な印象だが、同じ車種で機械式エアコン(ガソリン車)と電動エアコン(ハイブリッド車)がある場合、電動のほうがエアコンの効きがいいように思う。
そして室内が広いクルマになると、後席用に「リアエアコン」というもうひとつのエアコンを装備することになるが、昨今は夏の暑さの厳しさが増しているためか“下のクラス”でも採用車種が拡大中。「トヨタ・ノア/ヴォクシー」「日産セレナ」「ホンダ・ステップワゴン」が三つどもえの戦いを繰り広げる“Mクラスミニバン”ではもはや常識装備で、最近ではさらに小さな“Sクラスミニバン”にも波及。「トヨタ・シエンタ」には用意されていないけれど「ホンダ・フリード」には設定があるので、ご参考までに。
また、リアエアコンとまではいかないけれど前席の頭上付近に送風機を設置して、エアコンの冷たい空気を後席へと送る仕掛けもある。「リアサーキュレーター」だ。これは、暑い日に後席の空間に熱がこもりがちな、背の高い軽自動車やリッターカーに備わるもので、あるとないとではやっぱり後席の快適性が違う。
水際ならぬ窓際対策
ところで、車内の機器で対処する以前に、窓で暑さを防ごうというアイテムもある。それが「IRカットガラス」だ。IRとは赤外線のことで、それ自体が熱を持つわけではないが肌などに当たると熱を生む。太陽が照りつけるとジリジリと肌が熱くなる理由がこれなのだ。
それを防ぐのがIRカットガラス。赤外線をカットすることで、乗員の肌のジリジリを軽減するし、シートなど内装の発熱を抑えることで(わずかではあるが)車室内の温度上昇も抑えてくれる。ちなみにUVカットとはこれとは異なり、日焼けの原因となる紫外線をカットするもので暑さとは関係がない。「スーパーUVカット」をうたうガラスであれば紫外線を99%以上減らしてくれるというスグレモノだ。
そんなIRカットガラスは一部の車両に組み込まれているけれど、そうじゃなくても大丈夫。窓に貼ることでその機能を追加できるフィルムも市販されているから、後から追加できるのだ。なんと便利な世の中になったものだろうか。
ところで、駐車中のフロントウィンドウにサンシェードを立てているクルマを見かけることがあるけれど、あれは駐車中の車内の温度上昇対策として効果があるのか?
結論から言えば「ある」。しかしかつてJAFがおこなった実験結果(関連記事)を見ると、外気温35度の炎天下で4時間駐車した結果、車内の最高温度はシェードなしに比べて2度低いだけ(シェードなしが52度でシェード装着は50度)。効果はあるけれど「ほんのわずかで誤差程度」なのだ。
しかし注目すべきは、同実験によると、ダッシュボードの最高温度がシェードなしの74度に対してシェードありでは52度と大幅に下げられていること。長期的にみるとダッシュボードの劣化対策に効くと期待できる。サンシェードのメリットは車内の温度上昇対策ではなく、そこにあると考えていいだろう。
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熱を地球外にまで放出するアイテム!?
しかしながら、世の中にはすごいサンシェードもある。日産が純正アクセサリー品として用意している「Radi-Cool(ラディクール)」という技術を使った車外に取り付けるサンシェードだ。
「放射冷却メタマテリアル技術」を採用していて、なんでも「表面に施された特殊素材によって、太陽光を反射するだけでなく、放射冷却により物体表面の熱を宇宙に放出します」(日産公式ウェブサイト)とのこと。えっ……宇宙に放出!? はっ!? 話が壮大になってきたなあ。
その効果は絶大で、サンシェードなしに比べて真夏において停車中の車室内の温度を10度以上下げられるというからすごい。値段は1万3000円以上とちょっとお高いけれど、これだけ自信満々に効果をうたうんだから、しっかり働いてくれるに違いない。ここだけの話、日産純正品だけどサイズがだいたい合えば日産車以外にも装着できるのだから、気になる人は日産ディーラーを尋ねてみるのもアリだろう(そもそも車種専用設計ではなく3つのサイズで展開している)。
ちなみに、日産純正用品ではこの技術を使ったハーフボディーカバーやカーサイドタープもあるので、気になる人は要チェックだ。
ところで冒頭で書いた「39度のとろけそうな日」に関して気になって調べてみた。気象庁のデータを見ると「最高気温40度」という衝撃ワードが夏のニュースで飛び交うようになったのは21世紀に入ってから。ではここ四半世紀で東京都心の8月の気温はどのくらい上がったか?
1999年8月に34.8度だった最高気温は2024年には35.9度に、32.3度だった最高気温の月平均は33.6度へと上がっている。上がってはいるけれど大騒ぎするほどは上がってないように感じるのは気のせいだろうか(あくまで個人の感想)。来年も再来年も夏が暑いのは変わらないだろうけれど。
ちなみに気象庁が持つデータにおける東京都心の8月の最高気温は1994年夏に記録した39.1度とのこと。「7月」であれば2004年7月30日に39.5度を記録している。あくまで記録上だが、この日が東京都心が史上最も「40度」に近づいた日だ。
(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車、webCG/編集=関 顕也)
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工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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