メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)
ただよう熟成香 2026.01.12 試乗記 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。フェイスリフト前の装備充実モデル
2015年以降、日本での新車販売で輸入車ナンバーワンの座にあり続けているメルセデス・ベンツ。これに貢献してきたのが、競合ひしめく輸入Dセグメントにおいて、常に存在感を示してきたCクラスだ。2008年以降、フルモデルチェンジが行われた2021年を除き、常に輸入新車販売のトップ10に名を連ねている。
W206/S206型の現行Cクラスが登場した2021年の翌年には、第2四半期にあのMINIすら抜いて新車販売で輸入車トップに輝くなど快進撃を続けてきたが、デビューから4年がたち、また2026年にはフェイスリフトが実施されるというウワサもあって、その人気も一段落した印象だ。
そんなタイミングで投入されたのが、「Sport(スポーツ)」と「Luxury(ラグジュアリー)」という2つのグレード。いずれも、「AMGラインパッケージ」をはじめ、人気のオプションを標準で備えた装備充実モデルで、1.5リッター直列4気筒直噴ガソリンターボを搭載する「C200」「C200ステーションワゴン」と、2リッター直列4気筒直噴ディーゼルターボの「C220d」「C220dステーションワゴン」に用意される。
そのなかから今回は、C220dがベースの「C220dラグジュアリー」を試乗する機会を得た。
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ラグジュアリーだってスポーティー
C200/C220dにスポーツとラグジュアリーという2グレードが追加されたというより、4気筒エンジンモデルがこの2グレードに置き換わったというのがCクラスの現状だ。名前だけ見ると、スポーティーなのと豪華なのですみ分けしているように思われるが、実際のところはどちらもスポーティーさを強調していて、さらにC200/C220dラグジュアリーでは豪華装備が追加されている、という関係である。
実際、従来の「アバンギャルド」が比較的すっきりした印象だったのに対して、このC220dラグジュアリーは、サメ顔のフロントグリルやスターパターングリルをはじめ、押しの強いデザインの前後バンパーやサイドスカート、スポーツより1インチ大きな19インチのアルミホイールなどにより、精悍(せいかん)なイメージを強めている。
ドアを開けると、パンチングレザーが施されたベンチレーション付きシートがドライバーを迎えてくれる。シート色はブラック単色に加えて、ブラウン/ブラック、レッド/ブラックの3パターンが用意されているが、黒を基調とした室内やブラックにシルバーのラインがあしらわれたウッドパネルには、このブラックのシートがよく似合っている。
さらに、パノラミックスライディングルーフから漏れ出す光が、Burmester 3Dサラウンドサウンドシステムのスピーカーを照らし、コックピットは心地よい空間に仕立て上げられ、スポーティーさとラグジュアリーさが実にうまく同居していると思う。
洗練の2リッターディーゼルターボ
C220dラグジュアリーに搭載される2リッターディーゼルターボエンジンは、最高出力197PS、最大トルク440N・mのOM654M型。ピークパワーは若干変わっているものの、2021年の導入当時と同じもので、9段ATを介して後輪を駆動する。マイルドハイブリッドシステムが搭載されるのもこのパワートレインの特徴で、エンジンとATの間にISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)と呼ばれるモーターを配置し、これが減速時にエネルギーを回収(回生)。加速時には最大で23PS、205N・mをアシストする。
その効果は絶大で、C220dラグジュアリーと前後して試乗した「GLA200d 4MATIC」に比べても、明らかにアクセル操作に対する反応が素早く、加速初期の力強さが感じられる。アイドリングストップからの復帰がスムーズなのも、マイルドハイブリッドシステムを搭載するメリットのひとつである。
ディーゼルターボだけに低回転からトルクには余裕があり、アクセルペダルを軽く踏むだけで即座に加速し、街なかを流すのであれば2000rpm以下で事足りてしまう。高速道路などでもアクセルペダルを深く踏み込む必要はほとんどなく、ゆったりと運転できるのがディーゼルターボの魅力といえる。加速時のエンジンからのノイズや振動が、よく抑え込まれているのもうれしい。
試しに高速道路の合流でアクセルペダルを奥まで踏み込むと、2000rpm手前あたりから力強さが増し、4000rpmを超えるまで勢いが続くほど、頼もしい一面を見せてくれた。
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気になるところも解消
加速には不満のないC220dラグジュアリーだが、ブレーキの感触が改善されていたのもうれしいところ。現行型のCクラスといえば、日本導入直後に試乗したとき、ブレーキの踏みはじめの反応が鈍く、奥まで踏むと急に利きはじめる感じがあった。どうしても“カックンブレーキ”になってしまい、その感触になじめなかった。しかし、最新版ではその感触がすっかり解消され、いい意味で普通にブレーキペダルが踏めるようになったのはうれしい。
C220dラグジュアリーの走りは実に快適だ。試乗車にはオプションのアダプティブダンピングシステム付きサスペンションが装着されていて、乗り心地は穏やか。ドライブモードで「コンフォート」を選ぶと、速度域によっては少しピッチングがあるが、「スポーツ」モードならシャキッとした動きになる。目地段差などを越えたときのショックは多少増すが、個人的にはスポーツモードのほうが気持ちいいくらいだ。
今回は都心に近いエリアでの試乗会だったためハンドリングを試すチャンスはなかったが、それでもオプションのリアアクスルステアリングを装着する試乗車は、後輪駆動らしい軽快さがさらに際立っていた。
充実した装備に加え、パワートレインやサスペンションなどの熟成も進み、これまでのCクラスよりぐっと魅力を増していたC220dラグジュアリー。昨今の価格高騰で900万円超という車両価格には驚くが、今後も値上げが続くとしたら、いまが買いどきなのかもしれない。
(文=生方 聡/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
テスト車のデータ
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4785×1820×1455mm
ホイールベース:2865mm
車重:1820kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:9段AT
エンジン最高出力:197PS(145kW)/3600rpm
エンジン最大トルク:440N・m(44.9kgf・m)/1800-2800rpm
モーター最高出力:23PS(17kW)/1500-2500rpm
モーター最大トルク:205N・m(20.9kgf・m)/0-750rpm
タイヤ:(前)225/40R19 93Y/(後)255/35R19 96Y(ピレリPゼロPZ4)
燃費:19.1km/リッター(WLTCモード)
価格:929万円/テスト車=968万2000円
オプション装備:ボディーカラー<ソーダライトブルー[メタリック](11万2000円)>/ドライバーズパッケージ<リアアクスルステアリング+アダプティブダンピングシステム付きサスペンション>(28万円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:1368km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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