メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)
私が成功者です 2026.02.26 JAIA輸入車試乗会2026 ボンネットやソフトトップにおにぎり形エンブレムがちりばめられた「メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ」とは一体どんなクルマなのか。おしゃれと悪趣味の間で揺れ動く孤高のオープントップスポーツカーをドライブした。最大トルクを使わずに走る
センターコンソールのスイッチでドライブモードを「マイバッハ」に変える。画面に表示されるアイコンは「コンフォート」と同じ「C」だが、「C」の右肩にダイヤモンドが付いているのが違う。これで足まわりが金剛石のように硬くなる……のではなく、むしろその逆だ。ダイヤのマークはあくまで富の象徴である。
マイバッハモードで走らせるSL680の足まわりはこの上なく柔らかい。路面の凹凸をコトリコトリとやりすごす一方で、高めの速度域ではサスペンションが動きすぎてタイヤの重さを感じることもある。といっても実際に大きなタイヤを履いているのだから当然といえば当然の現象である。
マイバッハモードはドライブトレインのセッティングも面白い。2速発進ではないものの、アクセルをよほど深く踏み込まない限りは2000rpmをリミットにこまめにシフトアップを繰り返す。長いボンネットの下に積まれる4リッターV8ツインターボエンジンは最高出力585PS/5500-6500rpm、最大トルク800N・m/2500-5000rpmという途方もないスペックを誇るが、つまりマイバッハモードではわざわざV8エンジンの上澄みだけをすくい出し、あえて最大トルクの発生領域を外して使っている。もちろんグイッと踏めばきちんと回転が上がってあきれるほどの加速をみせてくれるものの、先に書いたように少しタイヤが暴れるので積極的にやろうとは思わなかった。飛ばす気にさせない、これこそがマイバッハモードの神髄である。
室内はシートが白、ドアの内張りも白、フロアマットどころかフロアカーペットまで真っ白だ。さらにはソフトトップの裏張りまで白い。この純白の空間に包まれ、ソフトな乗り心地と優しいセッティングのパワートレインに身をゆだねていると、自分の心まで真っ白に洗われたような気分になるから不思議なものだ。実際には汚したらどうしようという不安が先に立ってしまうが、汚れたら買い替える。それくらいの度量なくして保持できるクルマではないということだ。
ボンネットやソフトトップ、そして低い位置のグリルにはマイバッハのおにぎり形エンブレムがたくさん並んでいる。これが唯一無二の個性を付与している一方で、少々悪趣味ではないかという声もあるはずだ。ただし、そもそも目立ちたくない人はこんなにも背が低くてワイドなオープンカーを選ばないだろう。クルマは派手だが、ドライバーはもっと派手。このクルマに負けないほどの強烈な個性を持っている人。「もっと俺を見てくれ」「私が成功者です」などといったマインドになれるお金持ちの方には、ぜひこのクルマで沿道の人々を活気づけていただきたい。
(文=藤沢 勝/写真=峰 昌宏/編集=藤沢 勝)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4697×1915×1358mm/ホイールベース:2700mm/車重:2050kg/駆動方式:4WD/エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ターボ/トランスミッション:9段AT/最高出力:585PS(430kW)/5500-6500rpm/最大トルク:800N・m(81.6kgf・m)/2500-5000rpm/タイヤ:(前)275/35ZR21 103Y XL/(後)305/30ZR21 104Y XL(ピレリPゼロ)/燃費:7.1km/リッター(WLTCモード)/価格:3650万円

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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