日産マーチがフルモデルチェンジ
2010.07.13 自動車ニュース「日産マーチ」フルモデルチェンジ、エコでフレンドリーなクルマに
日産自動車は2010年7月13日、コンパクトカー「マーチ」をフルモデルチェンジし、同日発売した。
■フレンドリーエコハッチバック
1982年に初代が登場し、日産を代表するコンパクトカーとして販売されてきた「マーチ」がフルモデルチェンジ。2002年2月デビューの先代「K12型」マーチから、およそ8年のロングスパンを経て、4代目となる「K13型」にバトンタッチした。
新型は、初代からの「フレンドリー」というDNAを引き継ぎ、現代の風潮に即した「フレンドリーエコハッチバック」をテーマに据えて作られた。特に新開発の1.2リッター直3エンジンと新開発のCVT、そしてアイドリングストップ機能の組み合わせによって得られる、26.0km/リッターという好燃費がセリングポイント。
FF車と4WD車が用意され、価格は99万9600円〜164万4300円。月の販売目標は4000台に設定される。
■軽量コンパクトな新プラットフォーム
新型のスリーサイズは全長×全幅×全高=3780(+55)×1665(+5)×1515(+10)mmで(カッコ内は先代モデルFF車比)、先代よりひとまわり大きくされた。ホイールベースは20mm延長の2450mmで、車内空間もより広げられた。
新型マーチには、新開発となるコンパクトカー用のVプラットフォームが用いられる。軽量であることも特徴で、先代に比べプラットフォーム単体で50kgの減量を果たしているという。
サスペンション形式は従来同様、前独立懸架ストラット式/後トーションビーム式を採用。駆動方式はFFのほかに、後輪をモーターで駆動するe-4WDがラインナップするのも先代と同じである。
「キビキビ」&「しっかり」というデザインコンセプトにのっとったエクステリアは、延長されたホイールベースと拡幅したリアトレッドが、踏ん張り感を強調。一方で、丸いヘッドランプとアーチ型のサイドウィンドウグラフィックなど、先代より踏襲されるアイデンティティもあり、国内でターゲットとされる独身女性に向けた“かわいい”デザインも失っていない。
インテリアは、円やゆるやかな曲線を基調とした、優しい印象のもの。収納をはじめとするユーティリティも充実。インフォメーションディスプレイメーター内に表示される「タイヤアングルインジケーター」は、前輪の切れ角を示し進行方向を表示するもので、運転の苦手な人向けな“フレンドリー”さもアピールされる。
■新開発づくしのパワートレイン
搭載されるエンジンは、新開発の1.2リッター直列3気筒エンジン。従来の4気筒に比べ低フリクションかつ熱効率がいいとアピールされる。さらに、アウターバランサーの採用により、3気筒エンジンで気になるアイドル振動を抑制しているという。
最高出力79ps/6000rpm、最大トルク10.8kgm/4400rpmのパフォーマンスは、従来型1.2リッター直4より11psと1.5kgm下げられた。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、同じく新開発のエクストロニックCVT(無段変速機)。コンパクトなプラットフォームに対応するべく、トランスミッションも小型化。それにより、変速のためのプーリーも小さくなったが、副変速機を付けることで8段AT並みという変速比幅を実現したという。同時に小型のプーリーは軽量化にも貢献し、さらにオイルパンから距離をとることでオイルとの攪拌(かくはん)抵抗が下がるなどの、フリクションをより低減することができたとうたわれる。
FF車、4WD車全てのグレードに上記のパワートレインが採用されるが、さらにFF車の一部グレードにはアイドリングストップ機能も標準装備される。これにより、10・15モード燃費は26.0km/リッター(FF、アイドリングストップ付き車)を記録する。
なお先のCVTは、HIGH側とLOW側の副変速機を同時につなぐことでギアをロックし、アイドリングストップ中に車両の後退を防ぐ、ヒルホールド的な機能も併せ持つという。
■品質はグローバル基準
国内では独身女性をターゲットにしたコンパクトカーと位置づけられる同車だが、一方で日産のグローバルカーとしての役割も持つ。世界各国で生産される予定で、日本で販売される車両はタイ生産のものが輸入される。
新型マーチには、世界中どの工場で作っても、同一の品質を確保するための設計思想が積極的に採用された。たとえば、部品点数を減らす等、構造をシンプルにすることで、あらゆる作業員の能力に対応できるようにしたとのこと。
(webCG 本諏訪)