シトロエンC4 1.6(FF/4AT)【ブリーフテスト】
シトロエンC4 1.6(FF/4AT) 2009.04.30 試乗記 ……270万3965円総合評価……★★★★★
デビューから3年を経て、小変更が実施された「シトロエンC4」。最廉価グレード「1.6」を試したリポーターは、その実力に感銘を受けたという。
才色兼備なコンパクト
評価点がすべて「5」というのも何ですが、無理にマイナス点をあら探しすることもない。高得点を連ねるだけの実力はある。自分で実際に購入するかどうかとなると、価格のことやMTが無いことなど、それなりの事情もあるが。
ともかく、C4はいいクルマだ。業界屈指の個性派実用車を造っているシトロエンの手によるという先入観を抜きにしても、日常生活で使う際の実用性能は高い。
シトロエンというブランドに期待される先進性やユニークさを考えれば、たとえば油圧サスペンションが欲しいとか、4WDがいいとか、はたまたハイブリッドであってほしいといった要求は出てくるかもしれない。
それでも、同じPSAグループのなかにあって徹底的な正統派といえるプジョーの「307」との兄弟車であることを考えれば、外観デザインや内装の違い、走行性のチューニングの違いは、十分にシトロエンの独自性を主張しているといえる。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「クサラ」の後継、コンパクトな「C3」とミディアムクラス「C5」の間を埋める3ドア&5ドアのハッチバックモデルとして2005年6月に発売された。ボディは、「プジョー307」と同型のプラットフォーム。個性的なエクステリア&インテリアをウリにする。
発売当初の日本仕様は、エンジンが3種類(2リッター直4が2種と、1.6リッター直4が1種)。シーケンシャルモード付き4段ATに加え、クーペの2リッター・スポーティモデル「2.0VTS」には5段MTが組み合わされた。サスペンションは、前マクファーソンストラット式、後カップルドビーム式を採用。シトロエンのお家芸ハイドロニューマチックではなく、コンベンショナルなコイルスプリング式である。
2008年8月にはマイナーチェンジが実施され(2009年2月末に日本で発売)、フロントまわりやタコメーターなどの意匠は小変更、BMWとPSAが共同開発した新エンジンが搭載された。
排気量は1.6リッターのみ。NA(120ps、16.3kgm)とターボ(140ps、24.5kgm)の2種類から選べる5ドアと、NAだけが搭載される3ドア(受注生産)のラインナップとなる。
(グレード概要)
テスト車は、ラインナップ中の最廉価グレード「1.6」。ノンターボの1.6リッターユニットを搭載する、5ドアハッチバックモデルである。パノラミックガラスルーフや、シートカラーが2色から選べるレザーパッケージといった豊富なオプション群がジマンである。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
誰からも見えるセンターメーターは、情報を得やすい。文字は大きめで遠くにあるから、年配の老眼者にとっても読みやすい。
デザインもすっきり。センターパッド固定のステアリングは、最初は違和感をおぼえるかもしれないが、スイッチそのものは固定されているがゆえに操作しやすい。ステアリングホイールのリムに隠れて見えないハザードスイッチが唯一の欠点か。センターコンソールはシンプルで各スイッチ類の操作性も良好。日本ではカーナビの居場所が問題になりそうだが、今ではいろいろなタイプがあるので問題はないだろう。
(前席)……★★★★★
ドア内張りの処理は室内幅を広く見せるもので、開放感あり。シートはサイズたっぷり、形状も下半身全体を包み込むようなホールド性を重視したものだ。表皮はすべりにくくクッションの配分も良好。座面後傾斜角も適正。長時間座っていても疲れにくい。ヘッドレストがルノーのように首筋近くまで調整できれば、さらによい。ステアリングホイール、ペダル類、目の高さなどの位置関係は自然で好ましい。ノーズは見えないが、その長さは短いから不安になるようなことはない。
(後席)……★★★★★
全長4.3mのクルマとは思えないほど前後の空間は広く、室内幅も前席同様十分に広く感じる。シートはダブルホールディング方式で折り畳めるが、平板さを感じさせないクッションのストロークがあり、座面後傾斜角も適切。バックレストも寝過ぎていない。腰が前にズレにくいのは、座面フレームのレベルからして、丸く先端が持ち上がった造形とされているから。丸いルーフはヘッドクリアランス上の圧迫感がない。ヘッドレストは持ち上げて使うタイプで、未使用時は後方視界を妨げることがない。
(荷室)……★★★★★
外から想像するより広い空間が確保されている。ライトバン並みに使えるあたり、ハッチバック本来の持ち味といえる。内装も、シンプルながらフルトリム。樹脂部分が少なく安っぽくは見えない。フロアはもとより横壁もフラットで、ボクシーな空間がより使いやすさを感じさせる。フロアは低いがバンパーの敷居があるので、バックドアを開けた瞬間に中から荷物が転げ落ちる心配なし。スプリット可倒式のシートバックを倒せば、さらに大きな空間が利用できる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
今回のマイナーチェンジで一番大きく変更された箇所がエンジンだ。BMWと共同開発したエンジンは、以前のエンジンに比べビックリするほどパワフルでもなければ滑らかということもないが、低回転からトルクがあって街なかでも使いやすい特性。もちろん高回転までスムーズに吹けあがる。
4段ATの「AL4」も変速動作がスムーズになり不満なし。4段は今ではスペック上は不利かもしれないが、エンジンの回転上昇のフィーリングを好む向きにはいい。かえってこの方が節度あるシフトとそれぞれのポジションにおける伸びやかな加速を実感できる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
車体はフラットな感覚を崩さず、適当にフンワリ感もあってフランス車らしい乗り味が楽しめる。シトロエンらしさを求めるならば、BX時代にはあったハイドロサスが欲しいところだ。数10万円高くなっても、高級グレードとして欲しがるユーザーはいると思うのだが、PSAグループ全体の車両展開を考えれば止むなしか。
ちょこまか曲がる機敏さとは対極にあるが、ゆったりした挙動は安定感にもつながる。ホイールベースが2610mmあるクルマにしては、回転半径5.7mは切れる方。扱いやすい仕上がりになっている。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2009年3月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:2474km
タイヤ:(前)205/55R16(後)同じ(いずれも、ミシュラン ENERGY)
オプション装備:ETCユニット(1万3965円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:315km
使用燃料:31.9リッター
参考燃費:9.87km/リッター

笹目 二朗
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