第26回:『グランドキャニオンにドライビングシアター?』
2007.09.01 広告のススメ第26回:『グランドキャニオンにドライビングシアター?』
日の沈みかけたグランドキャニオンの頂上に、なんとドライビングシアターが出現!? 日産の4×4車をアピールする、フランスの広告を紹介。
地平線にかすかな光を残して、沈みかける太陽。てっぺんが平らになっている、広大なグランドキャニオンで、なんとドライビングシアターが開催されている。並ぶクルマは全て、日産の4WDだ。
写真を見る人は、景色の雄大さとあり得ない状況に目を奪われるが、本当にこんなことができるとは思わないだろう。グランドキャニオンを形成する土は風化していて、手で触っただけでボロボロと崩れる。垂直に近い絶壁は、いかに優秀な4WDでも上れるわけがない。
でもやっぱり写真が見る人を吸い寄せる。これが、広告のエンターテイメントである。誇張されたものと知りながら、見事なフィクションに拍手したくなる。
1964 年に、シボレーのコマーシャルがグランドキャニオンの上で撮影されたことがある。このときはクルマをヘリコプターで運びあげた。モデルは強い風に表情がこわばり、笑顔もままならなかったという。今日はヘリコプターでわざわざクルマを運ばずとも、さらにモデルを現地へ連れて行かなくても、コンピューターによるデジタル合成で非日常的な景色をつくることができる。広告のつくりかたも、時代とともに変わったが、優れたエンターテイメントは楽しいという事実は、永遠に変わらない。
(2002年12月21日)
NISSAN/Paris
アートディレクター:Stephen Cafiero
コピーライター:Vincent Lobelle
フォトグラファー:Marc Gouby
エージェンシー:TWBA paris

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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