三菱デリカD:5 G-Premium(4WD/CVT)【試乗記】
備えあれば憂いなし? 2007.06.08 試乗記 三菱デリカD:5 G-Premium(4WD/CVT)……375万8790円
悪路走破性能をウリにする「デリカD:5」。セールスポイントの真偽のほどは? オフロードコースでその実力を試した。
ミニバンの皮を被ったSUV
ミニバンでありながら、SUVに迫る悪路走破性を持つというのがデリカの特徴だ。この伝統は、2代目の「デリカスターワゴン」に4WDモデルが追加設定されたことから始まった。ちなみに、そのとき採用された4WDはパジェロと同じシステムだった。
もちろん、そんなSUV的な性格は、現行のデリカD:5にも受け継がれている。現行デリカの4WDは、パジェロのセンターデフ式ではなく、アウトランダーと同じ電子制御カプリング式を採用……、正確にはプラットフォームが、パジェロからアウトランダーと共通化された。こうなると「ミニバンの皮を被ったSUV」、現代風に表現すれば「ミニバンとSUVのクロスオーバー」というのが、デリカD:5なのである。
電子制御カプリングの4WDは、通常はFFに近い特性を持ち、必要とあらば電子制御カプリングを介して後輪にトルクを伝えるというものだ。そのため“オンディマンド4WD”と分類されることもある。リアにどのくらいトルクを配分するかは、4WDシステムのコンピューターが4輪の車輪速やドライバーの運転操作などから総合的に判断する。同じオンディマンド式でも、ビスカスカプリングなどを用いたタイプをパッシブ型と呼ぶのに対し、デリカの電子制御カプリング式はアクティブ型と呼ばれることもある。
電子制御カプリングは、電磁コイルに流す電流をコントロールすることで、リアに伝えるトルクを調節するもの。電流をゼロにするとリアのトルクはゼロ、すなわち、FFの状態になるし、反対に電流を強めれば、直結(ロック)に近い状態をつくることもできる。ドライバーがスイッチ操作でFFやロックの状態を選ぶことも可能だ。
衝撃的な走り
SUVとでさえ、ふだんなかなかオフロードコースを走る機会に恵まれない。ミニバンならなおさらのことだ。「ホントのところはどうなの?」 そんなギモンを解消するために三菱が開催したのが、この「三菱オフロード試乗会」だった。
さっそく試乗といきたいところだったが、その前に特別なデリカD:5に乗るチャンスが待っていた。それは2007年ダカールラリーでサポートカーを務めたクルマそのものだった。貴重なクルマだけにステアリングを握るわけにはいかなかったが、そのかわり、ダカールラリーでこのデリカD:5のドライバーを務めたラリイスト、田口勝彦選手の横でド派手なパフォーマンスを楽しむことができたのである。
このデリカD:5、ダカールラリーに臨むにあたり、足まわりの強化がなされたものの、2.4リッターのエンジンや組み合わされるCVT、そして、4WDシステムはノーマルのままということ。「加速はノーマルと同じですけどね」と余裕たっぷりに話す田口選手だが、コーナーに進入するスピードが信じられないくらいに高く、思わず手足を突っ張ってしまうが、デリカD:5は面白いように向きを変えて、オフロードコースを突っ走っていった。
同乗走行後、今度は私がノーマルのデリカD:5で同じコースを走った。もちろんスピードは田口選手の足元にも及ばないが、ある程度ロールを許しながらも安定した姿勢でコーナーを抜けるデリカD:5。その挙動に慣れてくるにつれて、ミニバンを操っているという意識は薄れ、SUVでオフロードコースを楽しむという感覚に近づいていった。そのうえ、4WDモードを選んでおけば、アクセルオンで十分なグリップが得られるから、運転は自ずと積極的になっていく。
これまでミニバンの4WDを「備えあれば憂いなし」的な機能として捉えていた私にとって、悪路で運転を楽しむという体験はとても衝撃的だった。同時に、ミニバンとSUVの魅力を併せ持つデリカD:5の真価を垣間見たような気がした。
(文=生方聡/写真=高橋信宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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