クライスラーPTクルーザーカブリオリミテッド(4AT)【試乗記】
見た目だけじゃない 2004.06.24 試乗記 クライスラーPTクルーザーカブリオリミテッド(4AT) ……333.9万円 デザインコンシャスなクルマの代表格「クライスラーPTクルーザー」に、さらに人目を惹くオープンモデル「PTクルーザーカブリオ」が登場。自動車ジャーナリスト、生方聡の評価やいかに?まずはカタチでしょ!
「クライスラーPTクルーザー」は、一目惚れで買うクルマである。なにせ一度見たら忘れられないフロントマスクや、ワゴン以上に使い勝手がいいのに、そうは見えない独特のフォルムなど、見た目の強烈さは他に類を見ない。レトロなのに新しい雰囲気があるあたりを、よく「フォルクスワーゲン・ニュービートル」と比較されるが、タイプは違うにせよ、インパクトが強いデザインであることはたしかだ。
そんなPTクルーザーのオープンモデル「PTクルーザーカブリオ」は、さらに注目度の高いスタイルが最大の魅力。人に見られてナンボのオープンカーだからこそ、これくらい濃いキャラクターが求められるのだ。
そのPTクルーザーカブリオが、ついに日本に上陸した(販売は、2004年7月1日から)。ラインナップは「PTクルーザーカブリオリミテッド」の1モデルで、ハンドル位置は左のみ、価格は333.9万円である。
ラインナップは「リミテッド」のみ
乗り込んでさっそく幌を開けんとするが、現代のカブリオレだけあって、操作はいたって簡単だ。フロントウィンドウ上のフレームにあるハンドルを捻って幌のロックを外し、センターパネルにあるスイッチを操作するだけ。約10秒後には、無限のヘッドスペースが手に入る。
走り出してすぐに気づいたのは、後頭部あたりがザワザワしないこと。一般道を法定速度で流す程度なら、後ろからの風の巻き込みが気になることはない。これは、Bピラーを結ぶ「スポーツバー」の賜物で、ボディ剛性の向上だけでなく、空力特性の向上にも貢献しているというから驚く。
試しにオープンのまま高速を走ったが、サイドウィンドウを下ろしたままでも70km/hくらいまでなら、キャビンは快適だった。それ以上の速度でも、不思議と頭のまわりだけは穏やかだったが、キャビンへの風の侵入は目立つようになり、約100km/hではサイドウィンドウを上げても下半身は風にさらされる。海沿いの一般道を流れに任せて走る……といった状況が一番気持ちがよさそうだ。
頼れる2.4リッターエンジン
走りっぷりも、なかなか好印象だ。それを支えるのが、ノーズに搭載される2.4リッター直列4気筒エンジン。セダンに搭載される2リッターエンジンのロングストローク版は、最高出力143ps/5200rpm、最大トルク21.8kgm/4000rpmの実力を持つだけあって、1500kgを超えるボディでも力強く引っ張ってくれる。しかも、あらゆる回転域で豊かなトルクを発生するから、扱いやすさの点では不満をおぼえることはないだろう。
装着される「グッドイヤー・イーグルNCT5」がやや硬めであるが、サスペンションそのものはゴツゴツした感じはなく、コーナーなどではむしろよくストロークしている印象だ。スポーツバーのおかげもあって、ボディ剛性にも不満はないが、荒れた路面ではフロアに伝わる振動が気になることもあった。まあ、そうはいっても、オープンカーとしては十分合格のレベルである。
プラスアルファの魅力
一方、いい意味で意外だったのが、後席の居住性とラゲッジスペースだ。4人乗りのオープンカーといっても、必ずしも後席が広いとはかぎらないのだが、PTクルーザーカブリオの後席は、大人でも十分なレッグスペースと横方向の余裕が確保される。これなら、後席に押し込まれてもツラくない。惜しいのはスポーツバーが多少視界を邪魔することで、この点だけは後席の乗員に目をつぶってもらうしかない。
ラゲッジスペースの使い勝手は、オープンカーとは思えないほどだ。後席を使っている状態でも、209.5リッターのスペースが確保されるという荷室は、奥行きが約75cm、幅が約90〜120cmと、下手なハッチバックより大きいほど。さらに、分割可倒式の後席背もたれを前に倒して、そのまま前に跳ね上げれば、奥行き120cm、376.6リッターまで拡大可能だ。これならたいていの荷物が収まるだろう。後席といい、荷室といい、なにか得した気分である。
クルマ選びは人それぞれだが、実用性より楽しさを追求するオープンカーやスポーツカーなら、「エクステリアデザインに一目惚れ。誰がなんといおうとこのクルマ!」という人もすくなくないはずだ。もし、そんな動機でPTクルーザーカブリオを手に入れたとしても、実用性で後悔することがないのが、このクルマのいいところかもしれない。
(文=生方聡/写真=峰昌宏/2004年6月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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