トヨタ・シエンタX “Sエディション” (FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・シエンタX “Sエディション” (FF/CVT) 2006.06.17 試乗記 ……195万900円 総合評価……★★★ シエンタ、2度目のマイナーチェンジで加わった「X“Sエディション”」は、ボディ同色のエアロパーツやメッキドアハンドルなどを装着する新グレード。シート表皮なども変更された、新型の感触は?
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「日本の得意技」のいい例
日本の軽自動車やコンパクトカーのなかには、「よくもこれだけのスペースを稼ぎ出したよなぁ」と感心させられるクルマが少なくない。驚異的なパッケージングは、低燃費と並んで日本メーカーの得意とするところであるのは間違いない。
このシエンタはまさにそのいい例で、たかだか4100mmという全長に、3列シートを押し込むわけだから、足が組めるほどの余裕は端から期待していないが、サードシートに収まってみると、予想以上の広さに驚いてしまう。下手なクーペの後席よりも快適で、短時間なら乗せられても嫌な気はしないはずだ。
もちろん常時3列で使うのはツライだろうが、ふだんは2列で後席も荷室も余裕たっぷりと、そして、いざというときには3列で使えるとびきりコンパクトなミニバンがほしい人にはぴったりのシエンタなのである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年9月にデビューした、3列シート7人乗りのミニ・ミニバン。日産「キューブキュービック」やホンダ「モビリオ」の対抗車種である。エンジンは、1.5リッター直4DOHCのみ。トランスミッションは、FFがCVT、4WDには4 段ATが組み合わされる。「片手でポン!」をキーワードに、簡単操作を追求したシートアレンジや、両側スライドドアなどがセリングポイントだ。
2006年5月に2度目のマイナーチェンジをうけ、内外装を変更。肌にやさしいという“フレシール加工”を施したシート表皮を全車に採用するなどして、快適性を高めた。
(グレード概要)
グレードは、ベーシックな「X」と、上級「G」の2種類に大別される。“Sエディション”は、2度目のマイナーチェンジで追加されたモデル。Xをベースに、カラードサイドマッドガード、カラードリアバンパースポイラー、メッキドアハンドルを装着して、外装をドレスアップ。ほかに、フロントフォグランプが標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
他のモデルではアイボリーになるインテリアカラーだが、このX“Sエディション”だけは専用のグレーに設定される。ダッシュボードは上が濃いグレー、下が薄いグレーのツートーンで、細かい幾何学模様が与えられた素材は高級感こそないが安っぽさは感じられず、カジュアルな雰囲気づくりに一役買っている。
メーターパネルはダッシュ上部中央に設けられ、アナログの回転計と速度計というシンプルなデザインが好ましい。しかし、確認にはいちいち視線をそらす必要があり、煩わしさを覚えたのも事実だ。
(前席)……★★★
シートバックが緩やかにラウンドした立体形状のシートは、適度に張りがあって背中全体をやさしく包み込む感触が心地よい。この手のデザインは疲れやすいというイメージがあるが、シエンタに限ってはその心配はないようだ。
インパネシフトはレバーの位置が適切なので、とても操作しやすい。足踏式のパーキングブレーキを採用するおかげでサイドウォークスルーが可能なのも便利だ。
(2列目シート)……★★★★
着座位置がやや高めに設定されているので前方視界が良好なセカンドシート。スライドやリクラインは左右独立式で、スライド位置を最も後方にすれば足が組めるくらい余裕が生まれる。一方、横方向は3人座るにはやや窮屈だ。
サードシートを使うときや荷物が多いときには、前後スライドを2〜3段前に出すことになるが、それでも窮屈な思いをしないですむだろう。フロアが低いので、お年寄りなどでも乗り降りしやすいのもうれしい点だ。
(3列目シート)……★★★
ふだんはセカンドシート下に収納されているサードシートは、必要なときに簡単な操作で引き出すことが可能。ある程度の高い位置に座面があるため、膝を抱え込むような姿勢を強いられることはなく、また、セカンドシート下に爪先がすっぽり入るので、セカンドシートさえ前にスライドしてやれば大人でも十分なレッグスペースが確保できる。ただし、シートバックの横幅や長さは十分とはいえず、あくまで“いざというとき”のためのシートと考えたほうがいい。
(荷室)……★★★
サードシートを格納した状態なら、奥行き90cmほどの荷室が生まれ、さらに必要に応じてセカンドシートをスライドさせることで約140cmまで奥行きを拡大することが可能。フロアが低いので、重量物の積み下ろしも比較的ラクである。
一方、サードシートを使う場合には、奥行きはわずか30cmほどになり、小さなバッグを置くのが精いっぱい、というところだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
シエンタの前輪駆動モデルには、最高出力110ps/最大トルク14.4kgmの1.5リッターエンジンとCVTが搭載される。比較的出足はよく、街なかから高速まで必要十分なだけの性能を発揮する。高速の追い越しなどの際は、アクセルペダルを思いきり踏み込んでやると、エンジンは5000rpm付近を保ちながらじわじわとスピードを上げていくのがCVTならでは。気になるのは加速時のエンジン音で、それほどアクセルペダルを踏み込まない状況でも、騒々しいのが不満である。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
標準で175/70R14という、あまり偏平率の高くないタイヤが装着されることもあって、乗り心地はとてもマイルド。一般道では路面の荒れをタイヤが包み込んでしまう感じだが、大きめの入力は遮断しきれず、タイヤ頼みの快適性であることが伺える。ステアリング中央付近の手応えが乏しいのも気になるところだ。
背が高いわりにはロールは控えめなので、コーナーで不安を覚えることはないが、一方、高速などでは路面によって多少ピッチングが目立つこともあり、もう少し落ち着きがほしいと思った。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2006年6月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:895km
タイヤ:(前)175/70R14 84S(後)同じ(いずれもTOYO J36)
オプション装備:ディスチャージヘッドランプ(4万7250円)/SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)+セカンドシートセンターヘッドレスト+エンジンイモビライザーシステム(4万2000円)/DVDナビゲーションシステム<CD+AM/FMラジオ+TV+6スピーカー>(19万2150円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(5):山岳路(4)
テスト距離:367km
使用燃料:30.7リッター
参考燃費:11.95km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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