トヨタ・クラウン3.5アスリート(FR/6AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・クラウン3.5アスリート(FR/6AT) 2006.01.10 試乗記 ……543万4800円 総合評価……★★★ トヨタ「クラウン」シリーズがマイナーチェンジを受けた。そのスポーティグレード「アスリート」に追加された、新開発3.5リッターV6エンジン搭載モデルに試乗した。スポーティに走りたいなら
活発な走りっぷりをもたらしてくれる力のあるエンジン、スムーズな変速を約束してくれる6段オートマチック、ゆったりくつろげる静粛で充分な広さの室内、豊富な装備。新世代のクラウンはトータルバランスの高さが売りである。なによりハンドリングに不満がないのは嬉しいかぎりだが、惜しむらくは乗り心地がやや硬い。クラウンが好きで、なおかつスポーティに走りたいひとにはお買い得のクルマだろう。乗り心地を最優先するならロイヤルサルーンがお薦め。ヨーロッパ生まれのアッパーミドルクラス・セダンほどの魅力には欠けるが、そう感じる人にはレクサスGSがある。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
トヨタの象徴モデルであり、同社を代表する高級サルーン「クラウン」。2003年12月にフルモデルチェンジした12代目は「ZERO CROWN」をキャッチフレーズに、プラットフォームやエンジン、トランスミッションなど、主要コンポーネントを一新。「静から躍動への変革」を掲げて、走行性能の向上や、スポーティなスタイリングが与えられた。ラインナップは、「ロイヤル」シリーズと、スポーティな「アスリート」の2種類。
2005年10月のマイナーチェンジでは、内外装の化粧直しに加え、従来のエンジンラインナップ(3リッターと2.5リッター)に、アスリート用として3.5リッターV6が追加。同時に、2.5リッター2WDモデルにシーケンシャルモード付き6段ATが設定され、2.5リッター4WDモデルのみ5段ATとった。さらに車内への不正侵入を感知するオートアラームも標準装備となり、セキュリティも強化。
(グレード概要)
テスト車は、スポーティな「アスリート」の上級グレード。2.5リッターのアスリートと比べ、3.5リッターモデルは、電動チルト&テレスコピックステアリングやマイコンプリセットステアリング、HDDナビゲーションシステムが標準で備わる。ヘッドアップディスプレイ付ナイトビューはオプションで選べる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
インストルメントパネルはデザイン的に優れてもいないし、とくべつ質感の高さも感じないが、いかにもトヨタらしくそつなくまとまっている。ウッドパネル風のパネルがプラスティッキーなのが残念。各種コントロールを中央に配したカーナビ周りに集めたレイアウトもご存知トヨタ流だが、スイッチの操作性を含めて使い勝手は悪くない。メーター類の視認性にもまったく問題はない。
いうまでもないことだが、ブレーキのABS、ブレーキアシスト、エアバッグ、オートエアコン、ディスチャージ・ヘッドランプ、電動式フロントシート、電動式ミラー等々、ほぼこのクラスのクルマに考えうる装備が揃う。テスト車には車庫入れの際に役立つクリアランスソナー、夜の田舎道で重宝するナイトビュー、G-BOOK ALPHA対応のHDDナビゲーションシステムといったオプションも追加され、至れり尽くせりだ。
(前席)……★★★
ジャカードモケットの表皮や色合いの好き嫌いはべつとして、シートのサポートはなかなかよい。身体がすっぽりシートに収まる感覚は、このクルマがドライバーズカーであることを主張しているかのようだ。ドライビングポジションも好みどおりに調整できる。天井と頭のクリアランスもたっぷりしており、窮屈な気分に陥ることはない。小物入れの数と容量に不足なく、日常での使用に困ることはなさそうだ。
(後席)……★★★★
ドアの立て付けはしっかりしており、重厚感があってよい。リアシートの中央部分のクッションは硬く、座面も高すぎるので、後席は2人乗りと割り切るべきだ。その中央部分を除けば座り心地は優れている。足元は広々、ヘッドルームにも余裕があり、気分を落ち着かせてくれる空間が確保されている。フロントシートのバックレストに付くアシストグリップは、足腰の弱った高齢者には歓迎されるはずである。
(荷室)……★★
充分な奥行きと幅があるものの、サスペンションが張り出していることで、空間そのものはきれいな直方体ではなく、また深くもない。ゴルフバッグを積むには問題ないが、少々嵩張ったものを載せるのは難しい。もっとも、クラウンで引越しする人もいないだろうから、これでいいのかもしれない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
V6エンジンはD-4Sと呼ばれるガソリン直噴ユニットである。2.5リッターのD4とは異なり、筒内噴射に加えてポート噴射を備えるが、きめ細かな電子制御のおかげもあって、じつに滑らかに吹け上がり、かつ低中回転域のトルクも豊かだ。1600kgを超える車重に対して充分以上の力があるので活発に走る。とくに発進時の弾かれるような出だしが、パワフルな印象を増幅させる。しかも全域にわたって静かなことも好ましい。
活発な動きは6段オートマチックの適切なギアレシオと伝達効率のよさのたまものである。どんな走行状況においても、変速はスムーズで、緻密な機械がきちんと働いてくれている満足感がある。
(ハンドリング+乗り心地)……★★★
かつてのクラウンとは次元の違うハンドリングが現行モデルの特徴といえるが、マイナーチェンジを受けてさらに軽快感は増した。ワインディングロードでのたしかなフットワークに安心感をおぼえる。ステアリングも正確で、狙ったラインを素直にトレースしてくれるのがよい。
ただし、ハンドリングの良さと引き換えに失っているものある。乗り心地だ。路面の突起を通過する時の突き上げはそれほど感じないとはいえ、基本的に乗り心地は硬い。しかも常に細かな振動が感じられ、プレミアム感が薄い。たしかにドライビングプレジャーを追求した結果なのだろうが、もう少ししっとりとした乗り心地を望みたいところだ。
(写真=清水健太、トヨタ自動車)
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2005年12月1日から5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:2881km
タイヤ:(前)225/45R18 91W (後)同じ(いずれもブリヂストン ポテンザ)
オプション装備:G-BOOK ALPHA対応HDDナビゲーションシステム<クラウン“マークレビンソン”プレミアムサウンドシステム>(37万3800円)/クリアランスソナー(4万2000円)/ナイトビュー(ヘッドアップディスプレイ付)(31万5000円)/ボディカラー(ホワイトパールクリスタルシャイン/3万1500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:442.5km
使用燃料:54.7リッター
参考燃費:8.1km/リッター

阪 和明
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