三菱グランディススポーツギア 6人乗り(FF/4AT)【ブリーフテスト】
三菱グランディススポーツギア 6人乗り(FF/4AT) 2005.12.13 試乗記 ……326万250円 総合評価……★★★ 2005年5月にマイナーチェンジされ、内外装を一新した「三菱グランディス」。追加された新グレード「スポーツギア」に試乗した。
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コワオモテで存在感アップ
2005年5月、デビューから2年が経過した「グランディス」に小変更が施されるとともに、新グレード「スポーツギア」が追加された。スポーツギアは専用グリルやフェンダーアーチモール、ビルトインルーフレールなどを装着し、標準よりも最低地上高を15mmアップ。ミニバンにSUVテイストを加えたとされるこのモデルは、「パジェロ」という看板SUVを持つ三菱ならではのラインナップといえる。
ファミリーで乗るミニバンといえども、大人しい顔よりも多少コワオモテのほうがウケるのだろう、好き嫌いは別にして、存在感が増したのも確かだ。
ただ、スポーツギアを仕立てるにあたり、マッド&スノーのタイヤを履かせ、ルーフレールを装着し、車高を上げたせいか、快適性の面で犠牲を伴ったのも事実。高速走行時のロードノイズと風切り音が気になったのは残念。イメージで選ぶのもいいが、高い快適性を求めるなら標準タイプをオススメする。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「グランディス」は、1983年に誕生したピープルムーバー「シャリオ」を始祖とするミニバン。3代目の「シャリオ・グランディス」で3ナンバーサイズへ移行し、2003年5月にフルモデルチェンジした現行4世代目で、伝統の車名「シャリオ」を捨て、「グランディス」となった。親会社のダイムラークライスラーから派遣された乗用車デザイン本部長、オリビエ・ブーレイ氏が、ゼロから手がけた初のモデルでもある。
キャプテンシートの6人乗りか、ベンチシートをもつ7人乗り仕様を設定。パワートレインは、バルブコントロール機構「MIVEC」を備えた2.4リッター直4SOHC16バルブ(165ps)に、「INVECS- II」スポーツモード付き4段ATの組み合わせのみ。駆動方式はFF(前輪駆動)と、「2WD」「4WD」「デフロック」3つのモードから選択できる電子制御4WDの2種類となる。室内の特徴は、助手席の座面を跳ね上げて荷物スペースにできる「ユースフルシート」や、クッション角度を3段階に調節できる。リラックスモード付セカンドシートなど。サードシートは、左右分割して床下に格納することができる。
(グレード概要)
2005年5月26日のマイナーチェンジで、全グレードのフェイスリフト等が行われたと同時に追加された新グレードが「スポーツギア」。マルチセレクト4WDシステム(4WDモデルのみ)やASC、トラクションコントロールといった電子デバイスが標準装備される。さらにスキッドプレート調バンパーガーニッシュ付きバンパーなどを装着し、車高をノーマルより15mm高めるなど、SUVテイストを高めたモデルである。17インチのマッド&スノータイヤを装着。6人と7人乗りを選ぶことができ、駆動方式もFFと4WDが用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
今回の小変更により、インストゥルメントパネルがツートーンカラーになり、以前に比べてすっきりしたが、スイッチ類のデザインなどは従来のまま。久しぶりに乗ると、どこを押していいのか瞬時に判断できないのがツライ。
メーターはスイッチオンで昼間でもレッドの照明が光る「ハイコントラストメーター」を採用する。中央の速度計、左側の回転計とも大きく見やすいのがいい。
(前席)……★★★
スポーツギアには標準でアルカンターラ地のシートが装着される。多少サイドサポートが張り出してはいるがタイトさはない。サイドサポートに挟まれたところにはメッシュ状の素材が使われ、適度に硬めのサポートでしっかりと身体を支えてくれる。
運転席と助手席の間には格納式のテーブルが備わり、収納すれば前後ウォークスルーが可能。インパネシフトや足踏み式のパーキングブレーキのおかげでサイドウォークスルーも可能としている。とくに新しさはないが、使いやすいデザインといえる。
(2列目シート)……★★★
今回の試乗車は、2列目にキャプテンシートを備える6人乗り仕様だ。そのメリットは横方向のスペースがゆったりとしていることだが、当然3列目へのアクセスの良さも見逃せない。いちいち2列目を動かさなくても3列目に出入りできるので、2列目にチャイルドシートを設置する場合などはとくに重宝する。
スライド可能なシートは3列目とのバランスでポジションを決めることになるが、5つあるポジションのうち、前から2番目以降なら大人でもなんとか座ることができる。快適なのは4番目以降で、レッグルーム、ヘッドルームともに十分広い。
(3列目シート)……★★★
3列目にはスライド機構はないが、リクラインは可能。2列目を前から4つ目のポジションにした場合でも前のバックレストと膝とのあいだになんとかスペースは確保されるが、余裕を求めるなら前から3つ目が妥協点。ただ、着座点が低いために大人では膝が立ってしまい、長時間乗るには窮屈かもしれない。バックレストが平板なのと高さが肩より低いのも気になる点だ。
(荷室)……★★★★
シートをすべて起こした状態では、ラゲッジルームの奥行きは40cmほどで、6人で泊まりがけの旅行に出かけるには心細いサイズ。3列目は左右別々に床下収納が可能で、収納すれば奥行き120cmほどのフラットなフロアが現れる。それでも足りないなら、2列目のシートクッションを跳ね上げて前にスライドすればさらに大きな空間を生み出すことができる。
なお、スポーツギアには電動テールゲートが標準装着される。室内のスイッチやリモコンキーでの開閉が可能だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
グランディスに用意されるエンジンは、4G69型の2.4リッター直列4気筒SOHC16バルブの1タイプで、これは変更前と同じものだ。トランスミッションもスポーツモード付きの4ATと変わらないが、排気量に余裕があるぶん低回転域からトルクが豊かで、さらに回してやれば4000rpm付近をピークに十分なトルクを発揮する。タウンスピードから高速の追い越しまで、ふつうに使うなら不満を感じる場面はないだろう。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
最低地上高が上がり、タイヤもマッド&スノー仕様になって、以前よりもソフトになった乗り心地だが、それでも高速道路を法定速度で走るかぎりは十分なフラットさを確保している。目地段差を越えたときのショックの遮断も良好だが、荒れた路面では215/55R17のいかにも重そうなタイヤがバタつくこともあった。
最低地上高が高いぶん、一般道では左右に揺れる感じもあるが、コーナーではそれほど気にならない。小変更により進化したのはそのスタビリティで、もともと直進性は高かったが、変更後はステアリング中立付近のあいまいさが解消され、これまで以上にリラックスしてステアリングを握ることができる。長距離移動が多い人にはうれしい改良だ。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2005年10月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年式
テスト車の走行距離:8821km
タイヤ:(前) 215/55R17(後)同じ(いずれもヨコハマジオランダー)
オプション装備:DVD-MMCS&7インチ液晶マルチディスプレイ+AM/FMラジオ付MDプレーヤー&6連奏CDチェンジャー+6スピーカー+TVアンテナ(35万7000円)/後席7インチ液晶ディスプレイ(10万5000円)/デュアルアラウンドモニター(9万9750円)/寒冷地仕様(3万1500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:305.8km
使用燃料:38.4リッター
参考燃費:8.0km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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