三菱グランディス スポーツ-X 6人乗り(4WD)【試乗記】
ミニバンに遊び心 2003.05.22 試乗記 三菱グランディス スポーツ-X 6人乗り(4WD) ……304.3万円 群雄割拠のミニバン市場に現れた三菱「グランディス」。自動車ジャーナリストの森口将之は、ライバルとはちょっと違う個性の持ち主という。 その違いとは……。特徴的なカラーリング
いままでの国産ミニバンは、「パッケージング」や「シートアレンジ」といった機能的な部分をアピールするクルマが多かった。しかし「三菱グランディス」は、それらとは ちょっと違うパーソナリティの持ち主に思える。「デザイン」と「カラーリング」にこだわっているからだ。
プロポーションはオーソドクスだが、ミニバンというと平板になりがちなサイドパネルは、彫刻的なプレスラインのおかげでかなりメリハリがある。ボディカラーが10色も用意されていることも特徴だが、「イエロー」や「ライトグリーン」「パープル」など、従来のミニバンにはなかったような明るく鮮やかな色が多い。生活に彩りを添えてくれそうだ。
インテリアは、デザイン的な特徴ではないが、「インパネ上面」「センターパネル」「シート/ドアトリム」がそれぞれ2色ずつ用意されていて、8通りのコーディネイトが選べるようになっている。スピードメーターまで「オレンジ」と「ブルー」が使い分けられるというこだわりだ。
なかでも新鮮なのがインパネの色で、「バイオレット」と「マルーン」という、国産車ではお目にかかることができなかったようなカラーを用意している。この2色は、茄子や焼杉の色をモチーフにしたという。ボディカラーも、パープルは藤、ライトグリーンは若葉など、自然界から取られたものが多いらしい。鮮やかなのに落ち着きを感じるのは、自然の温もりが伝わってくるからかもしれない。
不満はない
フロアは高めで、ボディサイズのわりには解放感はあまり感じなかった。シートは、フルフラットや回転対座などはできず、アレンジは「スライド」と「リクライニング」「折り畳み」だけ。でもおかげで、サイズが小さかったり、形が平板だったりということはなく、椅子としての性能は優れている。モードが少ない分、操作がわかりやすいのもメリットだ。
2.4リッターのエンジンは、旧型の「シャリオ グランディス」用をベースにGDI機構を廃止し、代わりにMIVEC機構を組み込んだもの。音は4気筒そのもので、高級感はあまりないが、扱いやすさはトップレベルだ。アクセルペダルに対する反応は自然で、どんな回転域でも、踏んだ分だけトルクを生み出してくれる。初期のGDIとは別物のような素直さだ。
加速は必要にして十分。今回は1名乗車というミニバンらしからぬ状況だったが、2WDより80kg重い4WDでも、余裕で流れをリードすることができた。ATは4段だが、エンジンが扱いやすいので、不満はない。
乗り心地は、厚いフロアが生み出す剛性の高さが効果を発揮しているようだ。旧型よりは硬めだが、鋭いショックはほとんど伝わってこない。サスペンションがきちんとストロークして、ショックを吸収してくれる。フラット感も高く、ロードノイズもよく遮断されていた
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ミニバンには珍しく
ステアリングは低速ではかなり軽いが、60km/hを越えると重みが増し、しっとり感が出てくる。フィーリングは滑らかだが、高速では反応に遅れが見られることもあった。しかし、直進安定性に不満はなかった。
コーナーは安定している。ロールは少なく、徐々に傾く感じなので、着座位置の高さからくる不安はない。試乗車が4WDということもあって。、ロードホールディングはミニバンとしては高めで、とくに荒れた路面での接地感に優れている。ブレーキの効きも確実だった。
新開発の4WDシステムは、ミニバンとしては珍しく、「2WD」や「ロックモード」も選べる。2WDではスリップして前に進めなくなる場所でも、4WDを選べばすんなり脱出することができた。ロックモードならさらに確実感が増すはずだ。ふだんは2WDで走り、スリップしたときに切り替えていくような使い方をすると、安全装備として役立つはずだ。
グランディスは、走りについては、扱いやすさや快適さを重視したクルマだった。ミニバンというクルマの置かれた立場を考えれば、これでいい。それよりも、メリハリのあるデザインや多彩なカラーバリエーションを備えた点を評価したい。移動のための箱になりがちだったミニバンに遊び心を含ませたという点で、ユーザーに喜ばれるはずだ。
(文=森口将之/写真=峰昌宏(M)/高橋信宏(T)/三菱自動車/2003年5月)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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