トヨタ・カムリ ツーリング“ナビパッケージ”(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カムリ ツーリング“ナビパッケージ”(4AT) 2004.12.14 試乗記 ……304万5000円 総合評価……★★★★ アメリカで莫大な販売台数を誇るが、日本では人気薄のFFサルーン「カムリ」は、マイナーチェンジで顔つきを変え、装備をグレードアップした。上級グレード「ツーリング“ナビパッケージ”」に、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。
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大きい、走る、低価格
コストパフォーマンスは抜群に高い。これだけ大きくて低価格ならば、お買い得感は上々だ。
それだけでなく、走行性能も不満がほとんどない。路面からの入力が大きくなると突き上げ感や上下動が気になり、多少高級感を削ぐものの、通常遭遇する道路の8割くらいを占める、程度のよい路面では快適である。
ATは4段ながら設定は適切で、動力性能としては3.5リッターくらいのエンジン排気量をもつクルマとトントンに走る。エンジンを上までいっぱいに回して走り切る感覚は、無駄なものを所有する罪悪感をもたずに済むというものだ。速い流れに合流する際など、ブレーキペダルを踏みつつエンジン回転をあげても、一部のドイツ車のようにエンジンがストールする悪癖がないのもよい。
ただ、どうしても馴染めないのは、トヨタにかぎらず多くのメーカーが採用する、サイドブレーキの2度踏みリリース方式である。同じ操作でまったく逆の仕事を行う点、走行中に誤って踏んでしまった場合解除しにくい点、主ブレーキが故障した場合、フェードさせないように反復使用できない点など、問題が多い。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年9月27日に日本での販売が始まったトヨタの世界戦略車。特に北米では、先代が1997年から4年連続でベストセラーカー(乗用車)に輝いた。5代目となった今回は、「新世紀、World Major」を開発テーマに、広い室内をさらに拡大すべく、ホイールベースを50mm延ばし、ボディも全長で15mm、全幅は10mm、そして全高が70mm大きくなった。空力特性のよさもジマンで、Cd値はわずか0.28。エンジンは、2.4リッター直4一本。コンベンショナルな4輪ストラットの足まわりをもつ。
2003年7月23日に、DVDナビ搭載車の追加、G-BOOK対応の一部改良が施され、2004年7月6日には、内外にマイナーチェンジを受けた。
(グレード概要)
国内版カムリは、「2.4G」と「ツーリング」に大別される。ツーリングは、ノーマルより1インチアップの16インチアルミホイールを履き、リアスポイラーや2本出しのエグゾーストパイプを装着してスポーティに装ったモデル。インテリアは、センターコンソールなどにメタル調パネル(2.4Gは木目調)が用いられる。セミアクティブダンパー「H∞-TEMS」、リアサンシェードは標準装備。“ナビパッケージ”は、CD/MD/チューナーの機能を含む、G-BOOK対応DVDナビゲーションシステムを装着する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
過剰な装備もないが、不足もないという適切な設定。つくりやデザインはシンプルながら、メーター類も見やすい。ダッシュボードなどに使われる樹脂やビニール類の処理は、けして高級ではないものの安物感を与えず、しっかり造られており品質感は上々だ。目に見えるスイッチ類がすくないから、無用な煩雑さもない。主要な操作はステアリングスイッチなどを使えば、手近ですませられる。
(前席)……★★★
ボンネットの両端がちょっと見えて前方の眺めは良好。シートはサイズがたっぷりしており、調整機構を完備する。ドライバーズシートは電動調節に加え、電動式ランバーサポートも備わる。ハンドルはチルトのみでテレスコピック調整はないが、シート調節がカバーするため腕のリーチに狭苦しさはなく、それほど不満は感じなかった。高めのヒップポイントにより、乗り降りに際しても横移動が自然である。
(後席)……★★★★
FFゆえにフロアは広い。センタートンネルの張出しすがくないことによる、足元の余裕は前輪駆動ならではだ。またプロペラシャフトやドライブシャフト、デフなどの回転物がない静けさも好ましい。いかに高級指向の高価格車といえども、後輪駆動の場合はけしてゼロにはできない。FF大型車ゆえの大きなメリットである。シートの容量はたっぷりしており、シートバックも寝過ぎておらず、折り畳めるタイプにしてはクッションの厚みもある。
(荷室)……★★★★★
いかなる基準をもってしても広大だ。たくさん積めるのは、誰もが見ただけでわかる。フロアからの天地寸法なども十分に高い。実用車のトランクはかくあるべしという見本だ。リアシートを倒してトランクと繋げることにより、かなり長いものも収容可能。コンビニの買い物などビニール袋を引っかけるフックが備わるなど、親切で便利。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
上まで回すと多少やかましいが、許容範囲に収まっている。トルク感、レスポンスともに良好。総合的に見てかなり速いクルマでもある。4ATはスペック的にはやや流行遅れながら、実用上の不便はまったくない。プラス/マイナスのマニュアルシフト機構など持たないが、良好なトルク特性や適切なギア比のセッティングにより、Dレンジに入れっぱなしで十分。右足の動きひとつで緩急自在である。長く造り続けられてきた信頼感は安心材料でもある。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
5段階でダンピングを切り替えられるダンパー「H∞TEMS」は、広範囲に好みをカバーする。今回の試乗では固い方から2番目あたりで、姿勢がフラットで良好な乗り心地を得られた。一番ソフトな設定は「これぞ伝統的なアメリカ車!」というフンワリした動きであり、ダンピングを嫌う人に向く。ただし、高級感という意味では、やや上下動を許すことから並。ハンドリングは素直で安定している。
(写真=峰昌宏/2004年11月)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年11月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2975km
タイヤ:(前)215/60R16 95H/(後)同じ
オプション装備:チルト&スライド電動ムーンルーフ(9万4500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(4):高速道路(3):山岳路(3)
テスト距離:214.3km
使用燃料:25リッター
参考燃費:8.6km/リッター

笹目 二朗
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