トヨタ・アイシスG Uセレクション 2.0(4WD)【ブリーフテスト】
トヨタ・アイシスG Uセレクション 2.0(4WD) 2004.11.11 試乗記 ……321万4050円 総合評価……★★★★ 助手席側のBピラーをなくすことで、大開口を実現した「トヨタ・アイシス」。装備が充実した「G」グレードに、二玄社自動車部門編集局長の阪和明が試乗した。一本筋の通ったミニバン
街なかでのピープルムーバーとして、はたまた家族揃って長距離移動するためのツールとして相応しい1台である。7人乗りとはいえ、大人4人に限定してしまえば、実に快適、贅沢な気分を味わえる。スペースユーティリティと安楽さにおいて充分納得できるに違いない。そうした使い勝手に優れるだけでなく、このミニバンの美点はなによりサスペンションの味付けにある。柔らかな乗り心地を実現しながら、ミニバンにありがちなコーナリング時の頼りなさとは無縁なのが嬉しい。走りっぷりも悪くない。基本がしっかりしている、一本筋の通ったミニバンである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ガイア」の後を継ぐ5ナンバーミニバン「アイシス」は、ボディ左側のBピラーを廃して実現した、開口1890mm「パノラマオープンドア」が自慢。サイズは、全長×全幅×全高=4610×1695×1640mm、ホイールベース=2785mmである。乗降口の地上高を380mmと低く設定し、スムーズな乗り降り、荷物の揚げ降ろしなどを可能としたのもポイント。 もちろん、3列7席のシートをアレンジすることで得られるユーティリティ性も訴求点のひとつだ。
エンジンは「ウィッシュ」からキャリーオーバーした2種類。1.8リッター直4「1ZZ-FE型」ユニットは132ps/6000rpm、17.3kgm/4200rpm、2リッター直噴「1AZ-FSE(D-4)型」は155ps/6000rpm、19.6kgm/4000rpmと、アウトプットも変わらない。
トランスミッションは、1.8リッターに4段AT「Super ECT」を、2リッターに無段変速機「Super CVT-i」を組み合わせる。CVTには、カーナビゲーションの情報をもとに道路に適したシフト制御を行う「NAVI・AI-SHIFT」を採用。さらに、エアロパーツで身をかためたスポーティグレード「プラタナ」には、マニュアル感覚でギアチェンジできる7段「スポーツシーケンシャルシフトマチック」が備わる。
装備では、「ステアリング感応式クリアランスソナー」に注目。路地などの狭い場所での運転をサポートするために、ハンドル操作と連動して進行方向の障害物を予測し、ブザー音で知らせる、トヨタいわく「世界初」の装置だという。
駆動方式は、1.8リッターと2リッターにFF、2リッターにのみ4WDを用意する。
(グレード概要)
グレードは大別して3車種。スポーティな最上級「プラタナ」と、装備が充実する「G」(2リッターのみ)、そしてベーシックな「L」だ。
テスト車は、Lに15インチアルミホイールやディスチャージヘッドランプ、除菌イオンを発生する「プラズマクラスター」などを追加した「G」に、さらに運転席側パワースライドドア(助手席側は全車標準)や、進行方向にある障害物をブザーで知らせる「ステアリング感応式クリアランスソナー」、リモコン操作で自動開閉できる「パワーバックドア&電気式ドアハンドル」などを盛り込んだ「Uセレクション」である。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
「嫌味がない」、これがインパネの見た目の印象である。ただ、エアコンの調節ダイヤルのある、ATセレクターレバーの生える部分のウッド風パネルはいただけない。本物の木ならいいがプラスチック然としたウッド風である。高級感を出そうとしているかもしれないが、これではかえって貧乏臭いのが玉に瑕だ。それ以外、基本的なデザインやスイッチ、ダイヤル類の位置や使い勝手に不満はない。
安全性に関わる装備は充実している。前席エアバッグはもちろんのこと、オプションながらサイドエアバッグとカーテンシールドエアバッグも揃う。サードシートのシートベルトが3点式であるのもありがたい。ブレーキは四輪ディスクが奢られる。
オートエアコン、ディスチャージヘッドランプ、電動格納式ドアミラーなどなど快適装備もひととおり付く。Uセレクション仕様のテスト車は、オプションのビークル・スタビリティ・コントロール(VSC)&トラクション・コントロール(TRC)、DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーションなども備わる充実ぶりだ。
このモデルにのみ標準で備わる「ステアリング感応式クリアランスソナー」は、作動する機会はすくないかもしれないが、左右の障害物に対する安全性向上に寄与するだろう。
(前席)……★★★
高さ調整機構(シートリフター)のあるシートは適性なポジションをとりやすいのがマル。頭と天井とのスペースはびっくりするほどあり、シートを目一杯上げてもまだまだ余裕がある。ATセレクターは操作しやすい位置にあるだけでなく、動きそのものも滑らかでよい。シート形状は別段語るべきところはないものの、長時間の運転でも疲れないから、よくできていると言えそうだ。惜しむらくはクッションの前後長が短めなこと。小物入れがすくないのも残念な点で、有効な収納場所はドアポケットくらいしかない。ドリンクホルダーに占領されているセンターコンソールあたりにぜひとも小物入れが欲しい。
(2列目シート)……★★★
足もとのスペースは狭いとは感じないが、けっして褒められたものではない。全長が4.6mあるクルマなのだから、もうすこしパッケージングを詰めて欲しかった。ただ、シートの形状は悪くないので、常にゆったりとした気分に浸れる。そしてアイシス最大の装備というと両サイドの大型スライドドアである。しかも電動で開閉できるのがミソ。個人的には電動であることの必要性を感じないが、それはそれとして、センターピラーレスのスライドドア自体は普通のドアに比較して乗降性に優れるのがメリットだ。
(3列目シート)……★★
2人分の3点式シートベルトを備えるのはメーカーの良心といえるが、あくまで非常用か小学生用のシートである。クッションは硬いし、とにかく狭い。前後も上下もスペースはミニマムである。短時間の移動を前提にしたほうが懸命。大人が長時間座り続けたらエコノミークラス症候群になりそうなほど窮屈だ。もっとも、3列目シート単独で使用することより、休憩の際に2列目シートと組み合わせることで、ベッドに近いらくちんなシートをつくりだせることを優先したと言えなくもない。
(荷室)……★★★★
3列目のシートを使っている状態でも、トランク容量はたっぷりある。深いだけでなく、四角い空間なので物を積むのが楽そうだ。もちろん、シートを畳めば荷室は変幻自在である。特に優れているのは2列、3列それぞれのシートバックを前に倒しただけで床がフラットになるところで、旅の道具だけでなく、荷物を運ぶにも重宝しそうだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
排気量が2リッターあるだけに力不足を感じないですむ。車重が1500kg以上もあるクルマとは信じられないほどの加速性能を示す。打てば響く、というほどではないが、必要にして充分のパワーとトルクがある。高速道路での登り勾配にさしかかっても、スピードが徐々に落ちてしまうようなことは皆無だ。
CVTも良好である。エンジン回転と車速との関係がリニアではないことに好き嫌いが分かれるだろうが、これもCVTならではの特性だし、変速自体はスムーズなのだから致し方ない。もちろん低速域でギクシャクすることもない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
フラットかつソフトな乗り心地がいい。一部同じフロアパンを使う「ウィッシュ」と比べるとサスペンションの硬さがなく、快適な気分にさせてくれる。全体に足まわりは柔らかめの設定だが、コーナーの続くようなステージでもフットワークのよさに驚かされる。ステアリングも素直な感触だから、少々飛ばしても不安はない。テスト車が4WDであることも幸いしているはずだが、それは基本的な足腰がきちんとしていればこそだ。ロードノイズがいくらか耳障りであることを除き、室内もまずまず静粛である。
(写真=荒川正幸/2004年11月)
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2004年10月15日-20日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)195/65R15 (後)同じ
オプション装備:VSC&TRC(6万3000円)/SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(8万9250円)/アイシス・ライブサウンドシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション)(31万2900円)/ETCユニット(1万8900円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:235.1km
使用燃料:24.5リッター
参考燃費:9.5km/リッター

阪 和明
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
NEW
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
NEW
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。





































