トヨタ・アイシスL 1.8(4AT)【ブリーフテスト(中編)】
トヨタ・アイシスL 1.8(4AT)(中編) 2004.10.29 試乗記 ……231万1050円 総合評価……★★★★ 1890mmの“間口”を持つミニバン「トヨタ・アイシス」。別冊CG編集室の道田宣和が指摘する、このクルマ第一の美点とは何か?ベーシックな1.8リッター「L」グレードの試乗記、その車内&荷室空間編。【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
第一印象があまりパッとしないのは、ややボテッとしたスタイリングもさることながら、多分にテスト車の色も関係あるに違いない。曖昧な「ベージュメタリック」のボディカラーもそうなら「フォーン」と呼ばれる内装色もそのひとつ。ドアを開けた瞬間目に飛び込んでくるのは、妙に厚ぼったく見えて実際より部屋が狭く感じられるシートそのものなのだ。
「ポルテ」を試した後とあって、全体にデザインが保守的に見える。後述するステアリングホイールのせいもあって、従来どおりその奥に位置するメーター類は時として陰に隠れて見づらいことがあるし、いわゆる“ポケッテリア”の見本市と化した最近のこの種のクルマにしては「有効な」小物入れの数がすくなめだ。
世の中に出始めた頃は過剰な装備とも思えたパワースライドドアやオートクローザーだが、使い慣れてみるとやはり便利な代物には違いない。しかし右側には確実なロックを約束してくれるオートクローザーすらないのが少々心許ない。
(前席)……★★★★
もしかしたら、このクルマ第一の美点は話題のセカンドシートでなく、案外ドライバーズシートかもしれない。乗用車的に自然な車両感覚とワンボックス的な視界の良さを両立させたアイポイントの高さが絶妙なのである。
実際、セダンと横に並ぶと着座位置が大差ない一方、それでも彼らの後ろに回るとそのルーフ越しに前方が見渡せたりして状況把握に重宝することがある。
前項での記述と矛盾するようだが、視界の面ではコンベンショナルなダッシュボードが大いに貢献している。低く上面が真っ平らなため、鼻先こそ確認しづらいが直前はよく見えるし、またそのおかげで5ナンバー枠内の全幅とは思えないほど横方向への広がり感がある。
ヘッドルームも充分以上で、開放感は「オデッセイ」を確実に上回る。しかし、絶対的なサイズが限られているためか、ウォークスルーが可能なことは可能だが、通路の幅はミニマムである。
(2列目シート)……★★★★
前述のとおり、見かけは単なる4ドア+テールゲートのハイトワゴンなので別にどうということもなく、肝腎のフロントドアやスライドドアにしてもそれぞれ別個に開ける限りでは何のドラマも起こらない。
ところが、驚くべきはそれら2枚を同時に開けた時。ボディの横っ腹にいきなり幅1890mmもある巨大な“間口”が出現して度肝を抜かれるのである。
それは「開口部の大きなボディは剛性が低い」という、これまでの常識を根底から覆すもので、まさに革命的。実際、ドアそのものにビルトインされた骨太のピラーや3カ所に増設されたドア-ボディ間のロックが効いてか、走行中もボディのしっかり感は保たれたままだ。ハンドリングへの影響はむろんのこと、建て付けの悪さや軋み音の類もいっさい看取されなかった。
これに助手席のタンブル機能が加わって、謳い文句どおり「傘を広げたまま乗り降りができる」ほどアクセスがいいのはたしかだ。この状態ではセカンドシート左端に席を占める同乗者がストレッチリムジン並みのレッグルームを愉しめる。天井も前席以上に高い。
カンペキじゃないか! そう思うのも無理はないが、実は不満がまったくないこともない。それはスプリット式ベンチシート(60:40)の小さい方に座るため、惜しいかなクッション自体は幅が狭めで、想像するほどには寛いだ気分になれないのだ。
そもそもアクセスの良さにしても、このクルマの場合はドア2枚を同時に開けなければ真価が発揮できず、そのくらいであればスライドドア1枚でほぼそれに近い効果が得られるポルテの方がよほどクレバーではないかと思ってしまうのだが、いかがだろうか?
(3列目シート)……★★★★
エクストラシートとしては上出来。すくなくとも子供2人には充分だし、大人でもまずまず我慢できる程度のスペースは確保されている。
シートは前席やセカンドシート以上に平板で硬いが、代わりに乗り心地が案外悪くないのは収穫だった。リアアクスルの真上に位置するわりには突き上げやバウンシングがすくなく、かといって無闇に硬くもなく、他の席と大差ない乗り心地を提供するのは稀有な例だからだ。
(荷室)……★★★★
3列のシートをフルに使ってもその背後にセダン並みのラゲッジスペースが残されているのは立派。しかも、バスタブのように深く抉られたそこには巧妙な仕掛けによってサードシートが後方に転回する形できれいに収められ、その背面、すなわち裏返しになったシートの底とそれに繋がる荷室のフロア全体が完全にフラットになるのがすこぶる使いやすく、また見た目にも気持ちがいい。転回そのものも50:50で左右独立して行えるのが便利である。(後編につづく)

道田 宣和
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