プジョー2004北海道ツーリング(前編)【試乗記】
プジョー2004北海道ツーリング(前編) 2004.07.23 試乗記 プジョー307CC S16(5MT)/307SW(4AT) ……430万5000円/295万500円 「206」「307」シリーズをもっと知ってもらおうと、プジョージャポンが北海道ツーリングを開催。『webCG』コンテンツエディターのアオキが、4車種を乗り継いだ。復習の旅
「プジョー206&307」シリーズのプレス試乗会が、北海道で開かれた。本土の梅雨を避けて当地が選ばれたはずが、当日はあいにくの雨。帯広空港で出迎えてくれた、プジョースタッフの表情も冴えない。
ブルーライオンことディーラーネットワークを地道に拡充し、スタイリッシュな「205」に続いて、「106」「306」と魅力的なモデルが発表され、さらに206、307といったモデルが人気を高め、この10年間、販売成績を伸ばし続けてきたプジョージャポン。しかし、ニューモデルの端境期にあたる2004年度は厳しく、現在、前年と比較して2割ダウンの状況だという。
ジュネーブショーでデビューした「407」が日本に導入されるのは来春の予定で、それまでは、206、307シリーズで広く展開したバリエーションを、「お客さまにより知っていただくことで」もちこたえたい。つまり今回は、帯広を基点に、足寄、陸別、翌日は富良野、美瑛、旭川と巡る、206、307シリーズ、復習の旅である。
ちょっとヤリすぎ
最初に割り当てられたのは、エーゲブルーに塗られた「プジョー307CC S16」。ドアを開けると洒落たアイボリーの革内装で、フロアからはマニュアル5段のギアレバーが生える。
開閉可能なハードトップをもつ307CCは、全車レザーシートで、ベーシックな「307CC」(378万円)、インパネ上部も革で覆われる「307CC プレミアム」(401万1000円)、ナビゲーションシステムを搭載した「307CC プレミアムAVN」(432万6000円)、そしてスポーティ版「S16」(430万5000円)で構成される。
いずれも2リッター直4エンジンながら、S16のそれは、ノーマルより高い11.0の圧縮比から、40psアップの177psを発生する。トランスミッションは、他CCが4ATなのに、S16は5MTのみ。いまの日本では運転できるヒトが限られる、アグレッシブな設定である。
いまにも泣き出しそうな空を睨みながら、空港を出る。さっそく、2車線の道を広い畑が挟む。ポンポンと見える淡い紫色は、ジャガイモの花だろうか。
S16のピークパワーの発生回転数は、1000rpmズラされた7000rpm。マニュアルを活かしてフルスケール回すと、屋根を閉めていても快音が飛び込む。307CCを買うのに、わざわざマニュアルギアボックスを選ぶラリーフリークにはウレシイだろう。ちなみに、最大トルクも、1.2kgm太い20.6kgm/4750rpmとなる。
スポーティバージョンらしく、ひとまわり大きな「205/50R17」のタイヤを履く足まわりは、硬い。市街地ではゴツゴツする。“プジョーの猫足”といった広告コピーにひかれた向きには、予想外の乗り心地のはずだ。
試乗コースには、北海道ラリーの舞台となる未舗装路が用意されていた。日本初のWRC(世界ラリー選手権)の舞台として興味津々。でも、いくら307CC(ルック)のWRカーが活躍しているからって、ノーマル車で未舗装路を走らせるのは、ちょっとムリがあると思うぞ。オモシロイけど。
ちなみに、第7戦トルコラリーが終わった時点で、プジョーのマニュファクチャラーズランキングは第4位。エース、マーカス・グロンホルムも、ドライバーズで同じく4位につけている。
特等席
次の試乗車は、307SW。ハッチバック/CCより110mm長い2720mmのホイールベースに、3列7人乗りのボディを載せる。屋根全体がガラスになったかの「パノラミックガラスルーフ」がジマンだ。
307シリーズは、5ドアハッチと「ブレーク」ことワゴンに1.6(108ps、15.0kgm)と2リッター(137ps、19.4kgm)、SWとCCに2リッターが設定される。
SWのステアリングホイールを握って走りはじめると、乗り味がしっとりしている。ガラスを多用するSWは、ウェイトがハッチモデルより100kg以上重い1430kg。動力面では不利だが、乗り心地のよさには貢献しているのだろう。タイヤは「205/55R16」と標準的なもの。
2リッター直4は、ちょっとガサついたフィールだが、さして回さずとも十分なアウトプットを提供してくれる。「ミニバン調スタイルをとる307のミニバン」との先入観のせいもあってか、SW、意外なほどよく走る。
この手のクルマは、たいがいセカンドシートの居心地がよく、ことに3人分の独立シートをもつ307SWの左右席は、座り心地がいい。センターシートの背もたれを倒せば、小さなテーブルとして活用できる。
一方、サードシートは座面前の床が高いため、乗員は膝を折った、いわゆる“体育座り”を強いられる。が、パノラミックガラスルーフを見上げていると、曇天の下、後ろに流れていく枝の緑がきれいだ。感受性ゆたかな小さな子供にとって、放り込まれた3列目は狭いけれど、ひとつの特等席になるかもしれない。(中編につづく)
(文=webCGアオキ/写真=郡大二郎/2004年7月)
プジョー2004北海道ツーリング(中編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015513.html
プジョー2004北海道ツーリング(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015515.html
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青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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