ボルボ XC90 T-6【ブリーフテスト】
ボルボ XC90 T-6 2004.04.18 試乗記 ……759万5700円 総合評価……★★★ ツインターボを積むボルボのSUV! どんなヒトに向いているのか? 『CAR GRAPHIC』編集局長の阪和明が乗った。
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都会で暮らしたい人向き
ボルボの作ったSUVがこのクルマ。本格的な“泥んこ遊び”にはそれほど興味なく、どちらかといえば都会で暮らしたい人向きだろうか。いうなればボルボのステーションワゴンAWDの車高を上げたクルマであり、XC90ならではの個性には乏しい。しかし、そのことこそがXC90の売りかもしれない。アグレッシブな性格ではないので、構えずに乗れる上品なSUVといえないこともないからだ。
テスト車はパワフルな6気筒ツインターボを積んだモデルだが、どちらかといえば、高速道路を移動する機会の多い人にふさわしい。フットワークのよさや軽快感を求めるなら、動力性能にも不満のない低圧ターボの2.5リッター5気筒モデルを選んだほうが賢い。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ボルボのフラッグシップ「S80」をベースにつくられたXC90は、世界最大の自動車マーケットたるアメリカのSUV人気をうけて開発された、同社初の本格SUV。2002年のデトロイトショーでデビュー、翌年の5月から日本に導入された。欧州メーカーでは「BMW X5」「フォルクスワーゲン・トゥアレグ」「ポルシェ・カイエン」らをライバルとする。全長4800mmのボディに、3列シート7人乗り(本国には2列5人乗りもあり)のシートレイアウト。ボルボらしく、環境と安全にこだわりあり。強化ピラーでキャビンをカゴのように囲う「セーフティゲージ」で乗員を保護、7席分の3点式シートベルトや前席&サイド&カーテンエアバッグを装備する。挙動が乱れるのを防ぐ「DSTC」に加え、背の高いSUVの転倒を防止する「RSC」(ロールスタビリティコントロール)といった、アクティブセーフティデバイスも充実。車高の低い車両と衝突した際や、対歩行者へのダメージ軽減策など、コンパティビリティも考慮した。
(グレード概要)
日本でのラインナップは、2.5リッター直5ターボ(209ps)+5ATを積む、エントリーグレード「XC90」とレザー内装の「XC90 2.5T」、S80譲りの2.9リッター直6ツインターボ(272ps)+4ATを搭載する「X90 T-6」の3種類。駆動方式は、いずれも電子制御ハルデックスクラッチを使うオンデマンドAWD(4WD)である。全グレードにわたって装備は充実する。2.5Tの、ベーシックモデルに対するアドバンスは、レザーシートに加え、前席パワーシート、クルーズコントロール、ウッドステアリング、ハイパフォーマンスオーディオ(160W、8スピーカー)など。トップグレードのT-6は、プレミアムサウンドオーディオ(305W、11スピーカー)や、電動ガラスサンルーフを標準装備。タイヤは、225/70R16インチよりひとまわり大きい235/65R17インチを履く。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
シートに座れば、いや、ドアを開けて室内を覗いた瞬間、まぎれもないボルボだとわかる。シンプルな意匠のインストルメントパネルは乗用車然としていて、SUVとかクロカン的な野性味とは無縁の世界。清廉はイメージはボルボ・ファンにはたまらないだろう。
XC90は言うまでもなく4WD(メーカー自身はAWDと呼ぶ)で、それがこのクルマのキャラクターを決定づけている。もっとも、オフローダーの性格は強くなくて、通常は前輪駆動、滑りやすい路面状況で4WDに切り替わるシステムを搭載している。安全に関する装備はたいへん充実しており、同様に快適空間を約束してくれる装備、アクセサリーも「なんでもあり」といった具合だ。
(前席)……★★★
いくらS60と同様のサルーン的なデザインのインパネまわりになっているとはいえ、着座位置はSUVらしく高い。だから眺めはとてもいい。本革シートの出来もよく、しっとりとした座り心地である。しかし滑りやすいのは玉に瑕、積極的に飛ばしたいときにはちょっと困る。シートの調整はすべて電動、ステアリングホイールも上下前後に微調整が効くので、どんな体型のドライバーでも満足のいくポジションが得られるはずだ。
(2列目シート)……★★★
天井と頭との空間は充分に確保されている。膝周辺に余裕があり、加えてつま先をフロントシートの下に滑り込ませられるので、ゆったりとした気分に浸れるのがいい。クッションもたっぷりしているから居心地に不満はない。リアシートの中央部分にチャイルドシートがビルトインされているのもボルボらしい装備といえるだろう。
(3列目シート)……★★
窮屈である。オケージョナリーシートの域を出ない。シートのクッションも薄めで、シートバックも貧弱。ヘッドルームはぎりぎりで、髪の毛が天井に触れてしまう。とりあえず大人2人は座れるものの、どうみても快適とはいえない。あくまで、体の小さな子供用か、いざというときのための居場所と考えていたほうがいい。それなら腹が立たないし、そう割り切れば便利な装備になる。
(荷室)……★★
ボディサイズから想像するほどトランク容量はたいしたことない。普段使うぶんには問題ではないだろうが、3列目のシートを使用した状態でのトランクは、けっして大きくはない。もちろん、3列目シートを使用しないか、片側だけ畳んでおけば、アウトドアライフ用品を積み込む際にも、まったく不自由することはないだろう。トランク内に張り出しはなく、使い勝手は悪くないとはいえ、シートを収める関係で床は高い。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
横置きされる直列6気筒ツインカムターボは、とても滑らかに吹けあがり、パワーもある。ハイプレッシャー仕様ゆえにトルクがもりもり沸き上がってくる。とても2トンを超えるクルマとは信じられないほど、クルマの動きには活気がある。
トランスミッションは5気筒モデルとは異なり4段ATなるが、エンジンのトルクが太いことで5段ではなくてもドライバビリティには優れている。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
サスペンションはかなり柔らかい設定で、だから、乗り心地もソフトである。いささか柔らかすぎるほどで、街なかではいいにしても、山道を走るようなステージでは少々心もとない。ロールスピードも速いし、鼻先の重さも感じるから、いうまでもなく峠道で楽しむクルマではない。コーナリング中のダイアゴナルな揺れも気になった。またオプションで装着されていた18インチのホイール/タイヤは、荒れた路面でバタバタして芳しくなかった。見た目を優先したい気持ちもわからないではないけれど、標準設定の17インチのほうがよさそうだ。
(写真=峰昌宏/2004年4月)
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【テストデータ】
報告者:『Car Graphic』阪和明編集局長
テスト日: 2004年2月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)235/70R16(後)同じ
オプション装備:スノーブレード(1万5750円)/カーナビゲーションシステムHDX300(21万6300円)/アルミホイール“Aquarius”(6万6150円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

阪 和明
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