日産リーフ G(FF)【試乗記】
14%増えたワケ 2013.01.09 試乗記 日産リーフ G(FF)……417万5850円
発売から2年、電気自動車の代名詞となった「日産リーフ」がマイナーチェンジを受けた。新型の見どころは、航続距離の延長や利便性を向上させたところ。その仕上がり具合をチェックする。
見えない部分を改良
大きく進化して、「日産リーフ」ますます先行。電気自動車(EV)としてだけでなく、セダンとしての機能も磨かれた。去る2012年11月20日に発表されたマイナーチェンジの内容は、(1)航続距離の増大、(2)制御機器類の集約化、(3)軽量化、(4)荷室の使いやすさ向上、(5)IT機能の充実、などが中心。これからEV発売をめざすライバル各社にとって、最強の目標となったのは間違いない。
まず(1)の航続距離(JC08 モード)は、これまでの200kmから228kmへと14%長くなった。たいした差ではないように見えても、どこにでも充電スポットが完備しているわけではない以上、少しでも延びればユーザーは大助かり。
注目すべきは、床下に搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量(24kWh)を増すことなく、モーターや制御系を設計し直し高効率化することによって目標を達成したこと。バッテリーを大型化すれば航続距離増大は簡単だが、そのぶん重くなり、価格も上がり、充電所要時間も延びる。
(2)の制御機器の集約化も大きい進歩。これまでは車載普通充電器が後席直後に搭載されていたから、ハッチバック内部の荷室の奥に高い段差があった。今回はDC/DCインバーターやコントローラーのほか、充電器などを小型軽量化し、効率も高め、ひとまとめにしてフロントのモーターの上に移したので、本格的ハッチバックと呼べる荷室になった(折り畳む後席との間にはまだ10cmほどの段差は残るが)。
これらを中心に各部を徹底的に見直したのが(3)の軽量化で、重量1430〜1460kgと、これまでより60〜90kgもの減量に成功している。だから航続距離も長くなった。(4)は(2)の副産物。(5)は最初からリーフの売り物だったが、スマホに専用アプリをインストールすることによって、遠隔操作で充電したり、バッテリー残量を確認できたりするのに加え、今度は各地の充電インフラを持つ販売店の営業時間帯を検索したり、充電器ごとの満空状況をリアルタイムで知ったりできるようになった。
その他、充電操作のやりやすさ、エアコンの効率アップによる節電など、ほとんど重箱の隅をつつくような改良が施されている。
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EVとしての使いやすさが向上
早速テストに引っ張りだしたのは、3グレードのうち最上級の「G」(413万3850万円)。そういえば、これまでは「G」と「X」(375万7950円)だけだったが、今回のマイナーチェンジでさらに安い「S」(334万9500円)も加わった。
走りだした第一印象は、基本的に従来のリーフと同じ。モーターの最大トルクは28.6kgmから25.9kgmへと諸元表では低下しているが、アクセル操作に対する反応が素早くなったため、かえって力感は増した。
こんな力を常にフル活用する必要などないので、うまくECOモードを多用するのが節電のコツ。これまではセレクターノブの操作でDレンジとECOレンジを交互に使い分けていたが、新型ではステアリングスポークのECOボタンに変更。これまでのECOポジションは、一段と回生効果の大きいBレンジ(新設)になった。ただし、最廉価版のSグレードにはBレンジがなく、ECOモードも従来と同じ。
このように機能を使い分け、バッテリーの残量に気を付けるのがEVドライブの基本だが、その点おおいに助かるのが、新たに計器盤に残量がパーセンテージ(数字)で表示されるようになったこと。これまでのバッテリー残量計(12ドット)も残されているが、さらに細かく情報を得られるようになったのは心強い。
低い重心が効いている
走りに関しては、リーフのスポーツカー的な性格が、まったくそのまま受け継がれている。後部の低い位置からフロントのモーターの上に制御系を移したため、厳密に言えば前輪荷重が増えたが、それより床下の巨大なバッテリー搭載による低い重心(しかもホイールベースの真ん中だ)が効いていて、大げさに言えば、どんなコーナーも全開で突破できてしまう。こんな芸当は、普通のエンジン車だったら、かなり高度なスポーツカーでなければ不可能だ。それをほとんど無音(というか、ちょっと古い冷蔵庫ぐらい)でサラッとやってのけるのだから、ムーミンパパみたいな外観から想像するより、ある意味すごく走り屋的でさえある。
そんな日産リーフ、2010年末のデビュー当初、カルロス・ゴーン社長が「初年度5万台!」と進軍ラッパを吹いて世の中を驚かせた。それから2年後の現時点で累計やっと4万台を超えたばかりだから、だいたい予定の半分。しかし、それは最初の号令が華々しすぎただけで、取りあえず敢闘賞ものと言えるのではないか。こんなに売れたEVなど、クルマの歴史136年を通じて空前の存在なのだから。
そのうえで、こんなに完成度を高めたマイナーチェンジだが、あえて注文を付けるなら、自慢のIT装備をさらに深めてほしい。現状では、リーフからスマホへの情報伝達に少し時間がかかるし、各地の充電器の満空状況にしても、検索できる対象が少なすぎる。これは、ユーザーもいっしょになって育てていくべきかもしれない。
(文=熊倉重春/写真=高橋信宏)

熊倉 重春
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