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日産リーフB5 X(FWD)

身近な実力派 2026.07.06 試乗記 生方 聡 先に登場した「B7」の容量78kWhに対して、少し控えめな容量55kWhの駆動用バッテリーを搭載する「日産リーフB5」。日常使いをシミュレートしながら、現実的な一充電走行距離や走り、使い勝手を、購入を真剣に検討するカスタマー目線でチェックした。
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ずっと気になっていたB5

2026年2月のメディア向け試乗会でドライブし、その性能と完成度の高さから「次期マイカーの最有力候補」に急浮上した新型リーフ。試したのは78kWhのバッテリーを搭載し、670kmの一充電走行距離(WLTCモード)を誇る最上級グレードの「B7 G(プロパイロット2.0装着車)」だった。

最上級グレードだけに装備も充実しているのはいいが、車両本体価格が599万9400円で、メーカーオプションの「プロパイロット2.0」(40万9200円)と、これとセットの「NissanConnectプロパイロットプランG」(2万8580円)を追加しただけでも643万7180円になり、気軽に「じゃあ買います」といえる金額ではないのが悩ましいところだ。

その点、バッテリー容量が55kWhと控えめなB5なら、装備充実の「B5 G」が564万8500円、必要十分な装備の「B5 X」であれば473万8800円と、ぐんと身近になる。それでも、一充電走行距離は469kmと十分に感じるし、高速道路でハンズオフドライブが可能なプロパイロット2.0はなくても、いわゆるアダプティブクルーズコントロール機能のプロパイロットが標準で装着されるから、それでいいのではないかと思うのである。

なので、「買うならB5 Xだなぁ」と妄想を膨らませていたら、そんな気持ちを察したかのように、webCG編集部がほぼ私が狙っている仕様のリーフB5 Xを試乗用に手配してくれたのだ。まずは編集部のSさんに感謝である。

2025年10月に登場した3代目「日産リーフ」。容量55kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載する「B5」は、3カ月遅れの2026年1月に追加設定された。
2025年10月に登場した3代目「日産リーフ」。容量55kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載する「B5」は、3カ月遅れの2026年1月に追加設定された。拡大
「リーフB5」の駆動用モーターは最高出力177PS、最大トルク345N・mを発生。先に登場した「B7」よりも出力が41PS、トルクが10N・m抑えられている。
「リーフB5」の駆動用モーターは最高出力177PS、最大トルク345N・mを発生。先に登場した「B7」よりも出力が41PS、トルクが10N・m抑えられている。拡大
今回試乗したのは車両本体価格が473万8800円の「リーフB5 X」。最上級の「G」グレードではフロントグリル部分に左右のヘッドランプを結ぶようにLEDランプが備わるが、このXグレードでは省略されている。
今回試乗したのは車両本体価格が473万8800円の「リーフB5 X」。最上級の「G」グレードではフロントグリル部分に左右のヘッドランプを結ぶようにLEDランプが備わるが、このXグレードでは省略されている。拡大
「G」グレードのリアコンビランプが3Dホログラムを用いた凝ったデザインであるのに対して、「X」グレードではシンプルな形状が採用される。
「G」グレードのリアコンビランプが3Dホログラムを用いた凝ったデザインであるのに対して、「X」グレードではシンプルな形状が採用される。拡大
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シフトスイッチに違いを発見

約束の場所に着くと、すでにリーフが私を待ち構えていた。「ディープクリムゾン」というワインレッドのボディーカラーとブラックのルーフによる2 トーンの外装色が、落ち着いた雰囲気を醸し出しているのがいい。

Xグレードのエクステリアに関して、私は全然構わないのだが、Gグレードとの違いを気にする人もいるだろう。Gグレードではフロントグリル部分に、左右のヘッドランプを結ぶようにLEDランプが備わるが、このXグレードにはない。また、リアランプもGグレードでは3Dホログラムを採用する凝ったデザインとなるのに対して、Xグレードではシンプルな形状でやや素っ気ない。ホイールもGグレードが19インチなのに対して、Xグレードは18インチ。見た目にこだわるなら、買ってから後悔しないよう、Gグレードを選ぶことをお勧めする。

一方、室内に目をやると、Gグレードのレザー風電動シートとは異なり、マニュアル調節式のファブリックシートが採用される。頻繁にドライバーを交替するような使い方であればポジションメモリー付き電動シートのほうが便利だろう。その点、私の場合は、基本的にひとりで使うのでマニュアル調節式でも困らない。シートヒーターも標準で装着され、私にはこのXグレードで十分なような気がする。

運転席に座ると、センターパネルにあるシフトスイッチのデザインがGグレードとわずかに違うことに気づく。Gグレードでは前進が「D」となるのに対して、このXグレードでは「D/B」に変えられているのだ。これに付随して、Gグレードのステアリングホイールにあるパドルが、このXグレードでは省かれている。この違いは何かというと、Gグレードではステアリングホイールのパドルで回生ブレーキの強さを4段階に調整できるのに対し、XグレードではD/Bのスイッチによる2段階になるのだ。これについては、実際に走りだしたところで、その効果を試してみることにする。

「リーフB5 X」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4360×1810×1550mm、ホイールベースは2690mm。今回試乗した車両の外板色は「ディープクリムゾン/スーパーブラック 2トーン」と呼ばれる7万7000円の有償色。これを含め新型「リーフ」では、全8種類からボディーカラーを選択できる。
「リーフB5 X」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4360×1810×1550mm、ホイールベースは2690mm。今回試乗した車両の外板色は「ディープクリムゾン/スーパーブラック 2トーン」と呼ばれる7万7000円の有償色。これを含め新型「リーフ」では、全8種類からボディーカラーを選択できる。拡大
12.3インチの大型デュアルディスプレイが採用され、ダッシュボードやドアにソフトなファブリック素材が用いられるコックピットの基本デザインは、上級グレードの「G」に準じたもの。
12.3インチの大型デュアルディスプレイが採用され、ダッシュボードやドアにソフトなファブリック素材が用いられるコックピットの基本デザインは、上級グレードの「G」に準じたもの。拡大
センターパネルにあるシフトスイッチは、「G」グレードでは前進が「D」となるのに対して、「X」グレードでは「D/B」に変更されている。
センターパネルにあるシフトスイッチは、「G」グレードでは前進が「D」となるのに対して、「X」グレードでは「D/B」に変更されている。拡大
235/45R19サイズのタイヤが装着される「G」グレードに対して、「X」グレードでは215/55R18を採用。今回の試乗車は「ダンロップeスポーツマックス」タイヤを装着していた。
235/45R19サイズのタイヤが装着される「G」グレードに対して、「X」グレードでは215/55R18を採用。今回の試乗車は「ダンロップeスポーツマックス」タイヤを装着していた。拡大

加速性能に不満なし

まずはDレンジを選んでブレーキを踏む右足を緩めると、リーフはゆっくりとクリープを始める。そこから軽くアクセルペダルを踏んでいくと、鋭さこそ感じないものの、十分に力強い加速が得られることに、まずはひと安心。実はバッテリー容量の多いB7とこのB5ではモーターのスペックが異なり、B7が最高出力218PS、最大トルク355N・mであるのに対して、B5は同177PS、同345N・mと少し抑えられているのだ。しかし、実際に運転してみて、一般道を走行する場面はもちろんのこと、高速道路で120km/hまで加速するときでも、ストレスを感じることはなかった。

回生ブレーキの利きは、Dレンジではさほど強くなく、アクセルペダルだけで速度調整するならD/BスイッチでBレンジに切り替える必要がある。Gグレードのようにパドルで調整はできないが、それが不便だとは思わなかった。「e-Pedal」をオンにすればさらに強い回生ブレーキが得られるが、Bレンジとの差はそれほど大きくはなく、e-Pedalを選んでも、アクセルオフだけでクルマを完全停止させられるわけではない。こうした設定であれば、Dレンジでは回生ブレーキを利かせない、いわゆるコースティングとする一方、Bレンジとe-Pedalで回生ブレーキの利きにもっと差をつけてもいいのではないかと思う。

回生ブレーキに関連して、あらためて重宝したのが「インテリジェントディスタンスコントロール」である。この機能を有効にすると、先行車との距離に応じて回生ブレーキの利きを自動でコントロールし、車間距離を適切に調整してくれるのだ。似たような仕組みは他のBEVにもみられるが、先行車がいなくなった途端に回生ブレーキが利かなくなり、惰性で走行する設定になっているケースも少なくない。そのため、信号待ちで停止しようとした際、自車が先頭だと減速せず、慌ててブレーキペダルを踏む……なんてこともよくあるのだ。

その点でも、このインテリジェントディスタンスコントロールは使い勝手が優れている。先行車が存在しない状況でも、あらかじめ選択した回生ブレーキの強さを維持してくれるため、減速フィールが変わらず扱いやすい。もちろん先行車がいる場合は、その動きに合わせて減速し、先行車が停止すれば自車も停止する。ドライバーが余計な気を使わずに済む、よく考えられた制御といえるだろう。

ワインディングロードでは、素直なハンドリングと、しなやかに動くサスペンションのおかげで運転が楽しい。「e-Pedal」をオンにすれば、より強い回生ブレーキが得られるが、Bレンジとの差はそれほど大きくはない。
ワインディングロードでは、素直なハンドリングと、しなやかに動くサスペンションのおかげで運転が楽しい。「e-Pedal」をオンにすれば、より強い回生ブレーキが得られるが、Bレンジとの差はそれほど大きくはない。拡大
「G」グレードのレザー風電動シートとは異なり、マニュアル調節式のファブリックシートが採用される「X」グレード。グレーまたはブラックの内装色が選択できる。
「G」グレードのレザー風電動シートとは異なり、マニュアル調節式のファブリックシートが採用される「X」グレード。グレーまたはブラックの内装色が選択できる。拡大
フロントシートと同様の素材・デザインで仕立てられる「リーフB5 X」のリアシート。大人が乗っても余裕が感じられる頭上スペースが確保されている。背もたれには積載物に合わせてアレンジできる60:40の分割可倒機構が組み込まれている。
フロントシートと同様の素材・デザインで仕立てられる「リーフB5 X」のリアシート。大人が乗っても余裕が感じられる頭上スペースが確保されている。背もたれには積載物に合わせてアレンジできる60:40の分割可倒機構が組み込まれている。拡大
「プロパイロット2.0」搭載車のステアリングスイッチがピアノブラックのタッチ式となるのに対して、「プロパイロット」搭載車では、オーソドックスな物理スイッチが採用される。従来型でステアリングホイールの右側にあったプロパイロットの操作スイッチは、新型では左側にレイアウトされている。
「プロパイロット2.0」搭載車のステアリングスイッチがピアノブラックのタッチ式となるのに対して、「プロパイロット」搭載車では、オーソドックスな物理スイッチが採用される。従来型でステアリングホイールの右側にあったプロパイロットの操作スイッチは、新型では左側にレイアウトされている。拡大

航続距離も十分

リーフの走りは、このB5 Xでもマイルドな乗り心地と、高速走行時の落ち着いた動きを両立し、申し分のない仕上がり。ワインディングロードを走るチャンスもあったが、素直なハンドリングと、しなやかに動くサスペンションのおかげで運転が楽しい。235/45R19タイヤが装着されるGグレードに対して、215/55R18を履くXグレードでは快適さがより向上している。走行時のロードノイズが低く抑えられるのも、快適なドライブに貢献している。

気になる電費や航続距離だが、小田原厚木道路の大磯パーキングエリアで満充電にすると、メーター内の走行可能距離は329kmになった。その後、高速道路と一般道を7対3程度の割合で約330km走り、館山道の市原サービスエリアに到着した時点で、バッテリーは14%、走行可能距離も約50km残っていた。電費は、プロパイロットを使って高速道路を100km/h巡航したときが7.2km/kWh、比較的空いた一般道を走行したときが8.9km/kWhと良好。平均でも6.6km/kWhとなり、一般道の比率が高ければ、400km超の航続距離が期待できる。これなら55kWhのバッテリー量でも十分実用的といえる。

しかも、新型リーフは急速充電時の受け入れ性能も高く、その残り14%の状態で市原サービスエリアの150kW急速充電器を使用したときには最大で109kWに達し、30分の充電で37.1kWh、平均で74kWの出力で充電できた。充電後のバッテリー容量は78%、走行可能距離は277kmまで回復。短時間の充電でも一気に走行可能距離を伸ばせるのが実に頼もしい。

ただ、前述のプロパイロットについては、ひとつ不満も。プロパイロット使用時に渋滞で車両が停止し、3秒程度経過すると、自動で再発進をせず、アクセルペダルを踏んだり、ステアリングの「RES」スイッチを操作したりする必要があるのだ。これに対して、オプションのプロパイロット2.0では、同じ状況でも短時間であれば自動で再発進するぶんラクである。素のプロパイロットでもぜひ対応してほしいところだ。

ついでにいうと、Gグレードの専用装備の「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」を、Xグレードでもオプションで選べるようにしてほしいとか、リアワイパーを設定してほしいとか、細かい要望はあるものの、私にとってはリーフB5 Xは十分に実用的かつ魅力的なクルマであり、やはり自分で選ぶならこのグレードだと確信した。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一/車両協力=日産自動車)

後席使用時の荷室容量は420リッター。機内持ち込みサイズの一般的な形状のスーツケースなら4個、9.5インチのゴルフバッグなら2個積載できる。
後席使用時の荷室容量は420リッター。機内持ち込みサイズの一般的な形状のスーツケースなら4個、9.5インチのゴルフバッグなら2個積載できる。拡大
バッテリー残量や走行可能距離などを表示するEV画面。今回の試乗では、プロパイロットを使って高速道路を100km/h巡航したときが7.2km/kWh、比較的空いた一般道を走行したときが8.9km/kWh、平均でも6.6km/kWhと電費は良好であった。
バッテリー残量や走行可能距離などを表示するEV画面。今回の試乗では、プロパイロットを使って高速道路を100km/h巡航したときが7.2km/kWh、比較的空いた一般道を走行したときが8.9km/kWh、平均でも6.6km/kWhと電費は良好であった。拡大
フロントのアームレスト手前にはQi対応のワイヤレスチャージャーが備わる。「B5 X」グレード以上の車両にはUSB Type Cポートがセンターコンソールボックスの前方に2個、後方にも2個設置されている。
フロントのアームレスト手前にはQi対応のワイヤレスチャージャーが備わる。「B5 X」グレード以上の車両にはUSB Type Cポートがセンターコンソールボックスの前方に2個、後方にも2個設置されている。拡大
遮熱機能付きの調光パノラミックガラスルーフは、サングラスホルダー付きオーバーヘッドコンソールやルーフレールとのセットになる22万5500円の有償オプション。
遮熱機能付きの調光パノラミックガラスルーフは、サングラスホルダー付きオーバーヘッドコンソールやルーフレールとのセットになる22万5500円の有償オプション。拡大
回生ブレーキの利きは、「D」レンジではさほど強くない。アクセルペダルだけで速度を調整するなら、「D/B」スイッチでBレンジに切り替える必要がある。ただ、「G」グレードのようにパドルで調整はできないが、今回の試乗においてはそれが特段不便だとは感じなかった。
回生ブレーキの利きは、「D」レンジではさほど強くない。アクセルペダルだけで速度を調整するなら、「D/B」スイッチでBレンジに切り替える必要がある。ただ、「G」グレードのようにパドルで調整はできないが、今回の試乗においてはそれが特段不便だとは感じなかった。拡大

テスト車のデータ

日産リーフB5 X

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4360×1810×1550mm
ホイールベース:2690mm
車重:1770kg
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:177PS(130kW)/3600-1万1700rpm
最大トルク:345N・m(35.2kgf・m)/0-3500rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(ダンロップeスポーツマックス)
一充電走行距離:469km(WLTCモード)
交流電力量消費率:131Wh/km(WLTCモード)
価格:473万8800円/テスト車=529万5840円
オプション装備:ボディーカラー<ディープクリムゾン/スーパーブラック 2トーン>(7万7000円)/100V AC電源<1500W、センターコンソールボックス1個、ラゲッジ1個>(6万6000円)/オーバーヘッドコンソール<サングラスホルダー付き>+ルーフレール+調光パノラミックガラスルーフ<遮熱機能付き>(22万5500円)/後席ヒーター付きシート+リアヒーターダクト+バッテリーヒーター(9万1300円) ※以下、販売店オプション ウィンドウはっ水12カ月<フロントウィンドウ1面+フロントドアガラス2面 はっ水処理>(1万3640円)/フロアカーペット(5万0600円)/フレキシブルラゲッジボード(3万3000円)

テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:4375km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:639.8km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:6.6km/kWh(車載電費計計測値)

日産リーフB5 X
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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