トヨタ・ヴィッツ1.5RS3ドア(5MT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴィッツ1.5RS3ドア(5MT) 2000.11.29 試乗記 ……146.1万円 総合評価……★★★老成したボーイズレーサー
ヴィッツシリーズ最大の1.5リッターユニットを搭載する「RS」。内外に専用パーツが与えられ、スポーティ感が押し出される。
サイドサポートを備えた専用シートは、しかしクッションで体が持ち上がられ、ただでさえ高い視点に輪をかける。回してもまるでハレないケ(日常)のエンジン、カサついたシフトフィール、よく路面をとらえるが「鈍」な足まわり。低いギア比と厚いトルクで加速はスバラシイが、古典派にはさっぱり「スポーティ」が感じられない。「老成したボーイズレーサー」。
反面、1.5リッターVVT-iユニットは、2000rpmでシフトしても940kgのボディをじゅうぶん活発に走らせる。粘り強い実用ユニットだ。
街なかをはいずり回ってもリッター10kmを軽々と超える小食さ。「日常」をまったく犠牲にしないスムーズな乗り心地。使いやすいシートアレンジメント。むしろ「知的で大人のコンパクト」をアピールした方が、素材のよさが引き立つんじゃないでしょうか。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年1月に発表されたトヨタの新世代コンパクトカー。欧州戦略車でもある。3ドア、5ドア、2種類のハッチバックボディをもち、エンジンラインナップは、当初1リッターと1.3リッター、2000年10月に1.5リッターが追加された。トランスミッションは、4ATか5MT。FFのほか、4WDモデルもある。グレードは、ベーシックなものから「B」「F」「U」、そしてレトロ調の「Clavia(クラヴィア)」、スポーティな「RS」で構成される。
(グレード概要)
「RS」は、「U」ユーロスポーツエディションに代わるグレードとして用意されたスポーティ版。1.3、1.5リッター、2種類のエンジンをもつ。トランスミッションは4ATか5MT。駆動方式はFFのみである。前後バンパーなどの形状をノーマルと変え、専用色を用意、インテリアにはタコメーター付きアナログメーター、専用シートほかを備える。拡大された排気量に合わせ、サスペンションを硬め、リアブレーキをドラムからディスクに強化、タイヤサイズも155/80R13から185/55R15になった。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
白い文字盤の専用アナログスピード&タコメーターや、黒と銀の2トーンカラーのステアリングホイールとシフトノブがうれしい「RS」。しかしセンターメーターは、進行方向から斜めに視線をそらす必要があるので、チラッと回転数を確かめたいときなどは、ちょっと不利。慣れが必要だ。インパネまわりは、過剰とも思える有機デザインで、センターコンソール脇とステアリングコラム下に、大きなモノ入れを上手に溶け込ませた。なんでも放り込めて便利。
(前席)……★★
モノトーン仕立ての専用シートが使われる。クッションが厚く、座面が凸状になっているのが気になるところ。体が浮いて、スポーティモデルとしては不安定に感じられるほど。ドライバーには相応の体重が必要とされる。背もたれのサイドサポートが雰囲気を盛り上げるが、見かけほどホールド感はない。着座位置が高く、腰高感が強いのもイヤだ。
(後席)……★★★★
ルノー・トゥインゴ同様、シート全体をスライドすることができる。座面がちょっと短く、全体に薄いクッションだが、座り心地は悪くない。はめ殺しの大きなサイドウィンドウが開放感をもたらす。ヘッドクリアランスは確保されるが、天井が後にいくほどさがるので、座高が高いヒトは気になるかもしれない。
(荷室)……★★
後席の居住性を重視したために、最小限になったラゲッジスペース。奥行き40cm、トノカバーまでの高さ55cm。床面最大幅は130cmあるが、サスペンション頂部が張り出すため、実用幅はズッと狭い。もっとも、後席背もたれが分割可倒式で、ヘッドレストを付けたまま容易に倒せるので、これを多用することでカバーできよう。リアシート座面を前に跳ね上げてから背もたれを倒す「ダブルフォールディング」も可能だ。すると、100cmもの奥行きをもつ荷室が現われる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
5速100km/hで3250rpmと、ずいぶん低めに設定されたギア比。高速クルージングではウルサイが、街なかでは小気味イイ、というより芯の太い加速を楽しめる。VVT-iの恩恵で、「1NZ-FE」ユニットはフラットトルク型。ボディが軽いこともあって、あまり回さないでも運転可能だ。シフトは、ストロークが大きく、フィールもガサツ。営業車のそれ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
街なか、高速道路とも、「スポーティ」を言い訳にする必要のない乗り心地。扁平率55の薄いタイヤを履くが、気になる突き上げもよく抑えられる。15mm車高を落とされ、前後にアンチロールバーを備えた足まわりは、破綻がないが、エクサイティングもない。高い視点のままロールするコーナリングは、ドライバーをして醒めさせる。ヴィッツカップ出場者のセカンドカーにはいいかも。運転、楽だし。
【テストデータ】
報告者 :web CG 青木禎之
テスト日 :2000年11月25日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式: 2000年型
テスト車の走行距離 :1278km
タイヤ :前)185/55R15 81V/(後)同じ(いずれもブリヂストン Potenza RE040) オプション装備 :ハイマウントストップランプ(0.8万円)
テスト形態 :ロードインプレッション
走行状態 :市街地(6):高速道路(4)
テスト距離 :--
使用燃料:--
参考燃費:--

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。
































